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M&A業界の転職市場を解説!気になる年収事情は?

ヒュープロ編集部 川辺
M&A業界の転職市場を解説!気になる年収事情は?

M&A業界は、企業の合併や買収に関わる総合的な助言や支援をする人が働く業界です。高年収が期待できる仕事として人気の転職先ですが、専門的なファイナンスに関わる知識やスキルはもちろん、ハードワークに耐える体力なども必要になってきます。今回はそんなM&A業界における転職市場について解説します!

M&A業界とは?

M&A業界は、企業のM&A(合併や買収)の専門家や企業が活動する業界です。自社を売りたい会社と買いたい会社をマッチングさせ、その手続きを完結させることで企業の成長や存続をサポートをするのが、M&A業界で働く人の役目です。
この業界にはM&Aアドバイザリー(M&Aコンサルタント)M&A仲介といった職種があり、企業との位置付けによって分けられています。

M&A市場の動向は?

M&A業界は2000年以降、市場の拡大が続いています。取引額については2018年に29兆8800億円と過去最高を記録しており、その後のコロナウイルス感染症の影響で2020年には落ち込んだものの、景気の回復とともにM&A市場も拡大を続けています。
日本においては企業の後継者不足が深刻な問題となっており、2023年の日本企業の後継者不在率は53.9%でした。下表の通り、2021年以降は低下傾向にあるものの、いまだに高水準となっています。

一方で、M&Aの普及が改善に一役買っていると言われています。首都圏や大企業で行われることが多かったM&Aが地方や中小企業でも認知が広まり積極的に行われるようになったことが一因のようです。また後継者の育成が次の課題として焦点が当てられており、改善が止まるリスクも十分あるため、引き続きM&A業界のニーズは高まっています。
出典:帝国データバンク 全国「後継者不在率」動向調査(2023年)

M&A業界の転職市場の状況は?

M&A業界へのニーズが高いため、M&A企業の採用は活発に行われています。しかしM&Aの普及が進んでいることや競合他社が多い影響で、市場の取り合いがハイレベルになってきていることもあり、採用要件は上がってきているのが現状です。また、採用は活発なものの転職市場においても認知が高まり人気の業界となりつつあるため、狭き門であるといえます。

M&A業界の業務内容

M&A業界は先述の通り、M&Aアドバイザリー(M&Aコンサルタント)M&A仲介の2種類の職種があります。それぞれ立ち位置は違うものの、どちらも「売りたい企業」と「買いたい企業」のM&Aの完了までの戦略コンサルティングや、その後の経営コンサルティングを行います。業務の流れは自体は同じですので、大きく3つの業務内容に分けて、紹介していきます。

ソーシング

ソーシングはM&Aをするターゲット企業を選び、その企業との交渉を行うことを指します。お互いのニーズができる限り合致した相手を見つける必要があるので、M&Aを成立させるために極めて重要なプロセスです。

オリジネーション

M&Aの案件を打診・発掘して、取得するのがオリジネーションです。具体的には、売り手と買い手の企業同士をマッチングさせて、M&A戦略を立案・提案することがオリジネーションのおもな内容です。

エグゼキューション

M&Aにおける一連の事務手続きの実行や管理がエグゼキューションです。基本合意書の締結からデューデリジェンスに至り、最終契約書を締結してクロージングするまでがエグゼキューションに含まれます。エグゼキューションは、仲介会社の中でも弁護士や公認会計士などの専門家が中心となって行われます。

M&Aアドバイザリー(M&Aコンサルタント)とM&A仲介の違い

両者の違いは先述した通り、その位置づけにあります。「売りたい企業」および「買いたい企業」からみると契約の違いとも言えます。
M&Aアドバイザリーは売り手と買い手いずれかの企業の担当になるのに対し、M&A仲介は両者と契約を行います。M&A仲介は両者から報酬を受け取るのが一般的ですが、M&Aアドバイザリーは契約した一方のみから報酬を得ることが多いです。

M&A業界の年収事情

M&A業界は一般的には年収が高水準です。その理由は、無形商材のため費用が少なくて済むのと併せて、1件単位の売上金額が高いことにあります。最低でも500万円程度の年収は確保できる可能性が高いので、年収をアップさせたい転職希望者にとってはかなり魅力的に映るとは思いますが、その分それなりのポテンシャルやスキルが必要になってきます。また、インセンティブが組み込まれている企業がほとんどなので、うまく売り上げを上げていければ、基本給の何倍も稼ぐことも可能になります。

M&A業界で求められるスキルや経験

当然、M&AアドバイザリーやM&A仲介の経験があるに越したことはありません。しかし、業界での経験がなくても応募可能な求人はあります。ただし、全ての未経験者が対象になるわけではないので、プラス評価になりやすいスキルやM&A業界以外の経験をいくつか紹介していきます。

ファイナンス領域での経験

M&Aに直接かかわっていなくてもファイナンス関連の仕事をしていた経験は一定数求められています。具体的には銀行や証券会社などの金融機関、会計事務所、企業の財務職などが当てはまります。

公認会計士資格・税理士資格

ファイナンス領域の職種の経験が求められてるのと同様、それに関わる資格である公認会計士や税理士を所持していると経験がなくても相応の知識を有しているとみなされ、選考で優遇されることが多いです。

営業職での経験

ファイナンス領域での経験がなくても、メーカーや商社、MR、IT、保険、コンサルティングなどといった業種での営業職出身だと有利に働きます。

M&A業界に向いている人

M&A業界への転職に向いている人は下記のような特徴があります。

課題解決能力、論理的思考力、判断力

M&A業界は売り手と買い手双方の非常に大きな決断を支援する役割になるので、的確なソリューションをクライアントに提供する必要があります。そのためには課題解決能力や判断力、さらにクライアントに説明するだけの提案がつくれるような論理的思考が求められます。

キャリアアップを本気でしたい人

M&A業界はハードワークではありますが、その分かなりの成長曲線を描くことができます。特に若い方でキャリアを積極的に積んでいきたい人将来的に起業を考えている人は向いているといえます。

成果を上げた分、稼ぎたい人

先述した通り、固定給に加えてインセンティブを導入している企業が多いので、所属年数や年齢にかかわらず、成果を上げた人が稼げるという環境になる可能性が高いです。そういった環境で自分の可能性を試したい人や、年収アップを叶えたい人も適性があるでしょう。

責任感や達成感のある仕事をしたい

M&Aは企業に大きな影響を与えるので、当然責任も大きいです。大きな仕事を任されるということをモチベーションにできる一方で、失敗できないというプレッシャーと戦うことにもなります。一方で成功させた時には大きな達成感を味わえるのも醍醐味です。

未経験からM&A業界に転職する難易度

未経験でも先述したような資格や他業界での経験があれば転職することは可能です。ただし、高年収が実現可能なことなどから経験問わず人気の業界なので、かなり倍率は高くなります。例えば税理士資格を持っていてファイナンス領域での就業経験があるとなると話は違ってきますが、経験者も交えたM&A業界において未経験者の転職は簡単ではないと言えるでしょう。

未経験からM&A業界へ有利に転職するコツ

活かせる経験やスキル、資格をアピールする

M&A業界で求められる経験やプラス評価になる資格を持っている場合は履歴書や面接内で確実にアピールするようにしましょう。それだけで合格となるケースはほとんどありませんが、他の未経験者との比較をされる際などに大きな効果を発揮します。

M&A業界で求められる経験を積める職種で働く

活かせる経験がない場合は、金融機関や会計事務所、メーカーの営業職などで働いてから再度転職することもおすすめです。

20代のうちに転職する

未経験の場合は若さも武器になります。特に20代ハードワークに耐えうる体力や吸収力を持っているので、一定数需要は高いです。

転職エージェントを活用する

就職・転職活動にあたって、自分で応募する求人を探したり面接の日程調整をするのは骨が折れるものです。そこで活用すべきなのが人材エージェントです。希望の条件やご自身の経歴などを伝えることで効率的に求人を提供され、日程調整もエージェントが実施してくれます。内定を複数社もらった際に断りをいれてくれるなど、心理的負担のある対応もする必要がありません。そういったサービスを無料で受けられるエージェントが多いのも特徴です。

まとめ

M&A業界の転職市場は魅力が多いだけに人気も高い業界のため、目指される場合はアピールポイントの整理や面接対策を抜かりなく行い、万全の状態で臨みましょう。

この記事を書いたライター

HUPRO MAGAZINE編集部の川辺です。転職エージェントとして多くのご登録者様からご相談をいただく際に伺った転職に際しての悩みや不安、疑問を解消する記事をご覧いただけるよう、日々奮闘中です!ご相談はヒュープロ公式Xまでどうぞ!
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