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税務にとどまらない「名前をつけられないサ ービス」をつくる、税理士法人UNNAMEDSERVICE

HUPRO 編集部
UNNAMEDSERVICE

2018 年 9 月に創業し、5 年目にして顧問契約 1.7 億円超えを達成したUNNAMEDSERVICE。そのユニークな社名に込められたのは、記帳代行や申告書作成、節税などの税務にとどまらない、クライアントの本質的な課題解決に挑戦する姿勢です。三輪代表と、同社で活躍する 2 人の社員の方にヒュープロ編集部がお話を伺いました。

「税理士の仕事はここまで」の固定観念をはみ出していく

―UNNAMEDSERVICE というユニークな社名は、どのような理由でつけられたのですか?

三輪:僕が本当にやりたいことを考えたときに、「名前をつけられない」と思ったからです。だから、UNNAMEDSERVICE(名前のないサービス)という社名にしました。

税理士の仕事というと、記帳代行や申告書作成、節税といったものをイメージしますよね。
もちろん、それも税理士の大事な仕事ですし、とても大事な価値あることだと思います。でも、税理士として生み出せる価値はそれだけではありません。
実は中小企業の経営者のみなさんは、驚くほど経営や財務そして組織を学んでいません。それは何も怠慢ではなく自らがプレイヤーとして日々の実務に奔走しているからです。
直感に頼り、人間力でどうにかしているケースも多く規模が拡大すればどこかで頭打ちになってしまう。こんな想いを胸に刻んだ僕らは、経営、財務、税務、組織作り等のノウハウを蓄積すること、自社では貢献できない分野は外部パートナーとともに解決していくこと、そして経営者の毎月4時間の面談を通して、「目の前の人の役立ちたい」という情熱を形に変えてきました。

サービスの括りとして税務×財務×マネジメント、それらをコーチングや目標管理も合わせる形で提供していますが、土台のメンバーの個の情熱があってクライアントと人と人との関係性に繋がり、税理士を超えた「UNNAMEDSERVICE(名前のないサービス)」になります。「UNNAMEDSERVICE」という社名にはこのような想いが込められています。

―具体的に、クライアントに対してどのような支援をされているのですか?

三輪:もちろん税務顧問をはじめとする一般的な税理士業務も行っています。これに加え、企業理念策定支援をはじめとする組織コンサルティング、資金調達支援、バックオフィス業務改善、クライアントの管理職や社員向けの研修など、クライアントごとに多様な支援をさせていただいています。それに合わせて、いわゆるコーチングの要素を用いて、感情に寄り添い、本当に経営者やクライアント目指すところのためにこれらのサービスを提供しています。

新型コロナウイルス感染症が広がり始めていた頃には、クライアントに対して経済支援策を無料で対応することをいち早く宣言し、当時実質 3 人で 20 億円を超える資金調達支援を行いました。また、マスクを数千枚クライアントから買って他のクライアントに配ったり、リモート飲み会もいち早く行いました。

これらは、財務を弊社に任せ、経営者には社員の方々の不安に寄り添うことや事業に集中してほしいという想い、緊急時こそ他の経営者の知見や情報を交換できる場を作り、精神面も含めて前向きになれる機会を提供したいという想いなどから実行にいたりました。

弊社ではビジネスマッチングも行っており、毎年のイベントとして、クライアントと金融機関等の外部パートナーの方々に声をかけてパーティーを開催し、新たな繋がりを創出しています。普段お世話になっている金融機関とも、行員向けの研修をさせていただいたり、セミナーを共催したりと、弊社のパーパスに共感いただいている外部パートナーと共に中小企業の成長を支援することにコミットしています。

―御社は、「人と人が織りなすストーリーを繋いでいく」というパーパス、「次のステージを目指す中小企業の唯一無二をつくる」というミッションを掲げています。どのような想いがあるのでしょうか?

三輪:前提になってしまいますが、私は再生現場での壮絶な状況を見てきた経験があります。
その中で、『誰も幸せにならない組織』を1社でも減らすことに寄与したい。こういった想いが強くあります。

すべての組織にはそれぞれ実現したい世界観があって、それを実現するために数値目標を策定して、行動に移していると思います。
ここには、その第一歩を踏み出した経営者が目指した『唯一無二の世界観』があって、僕らはどうやったら、その唯一無二の世界観を体現したい経営者・組織に寄り添えるのだろうか。
その組織はもちろん、取引先を含めた社員の方々、その先のご家族・ご友人、そして、僕らメンバー全員の1人1人にとって意味のある未来に繋がるためにはどうしたらいいだろうか。

そのためには僕ら自身が経営者にとっての唯一無二のメンターになる必要があると思っています。形式的なアドバイスをしても意味はなく、どうすれば相手にとって心から納得できるものになるか、行動に移せるものになるか。
こういったところまで考えて対話していかないと、本当の意味での唯一無二の支援にはならないと思っています。

―そのような支援に対して、クライアントの反応はどうですか?

三輪:僕たちの仕事のスタンスに対して共感してくださる方は多く、今では 100 社以上の顧問先、契約残高 1 億 7,000 万円を突破しました。これは創業 5 年目の税理士法人としてはかなり早いペースだと思います。

税理士法人だけでなく、株式会社としての UNNAMEDSERVICE も経営しているのですが、クライアント 11 社が株主になってくれました。株式会社としては税理士業のブランディングやコンサルティングノウハウの提供に取り組んでおり、こうした活動に共感していただいた結果です。

UNNAMEDSERVICE では、ブランディングやロゴ,事務所の施工、広報用の動画制作、OA機器、接客用で提供するコーヒーの豆など、できる限りクライアントのサービスを使っています。
僕らが支援したクライアントから新たなクライアントを紹介していただくことも多く、まさに一緒に成長している実感があります。
以前から僕が思っているのは、お金を払っている方が偉いとか、資格があるから偉いということではなく、お互いに助け合えるような関係でありたいということです。「先生とクライアント」と境界線を設けるのではなく、唯一無二の関係を築きたいと思っていて、UNNAMEDSERVICE はそのための舞台なのです。

税理士業界への幻滅から、独立へ

―そもそも三輪代表は、なぜ税理士を目指そうと思ったのですか?
三輪:僕はもともとバスケットボールをやっていて、プロ選手を目指していました。23 歳のときに渡米して 25 歳でトライアウトに合格したのですが、最終的に落ちてしまいました。
その結果にどうしても納得がいかず、チームの関係者に理由を聞いてみたのですが、その時に言われたのは、「君のパフォーマンスは良かったけれど、ビジネス的な観点から取らない判断をした」ということでした。

プロの世界はビジネスで回っていますから、僕ではお客さんを集められないと思われたようです。そのときにお話をさせていただいたのが、バスケのチームで財務を任されていた税理士でした。僕はバスケで司令塔のポジションをやっていて、諸葛孔明や黒田官兵衛のような策士タイプの人に憧れていたので、税理士になれば企業というチームの成長に貢献できると思い、税理士を目指すことにしました。

―税理士事務所で仕事を始めたときは、やりたい仕事ができたのですか?

三輪:言いにくい話なのですが、思い描いていた世界と違った現実を見せつけられ、ショックを受けました。
最初に入った税理士事務所では、知識がまったくアップデートされていない税理士が「先生」とあがめられていました。クライアントに対して表面的な知識でマウントを取るような姿勢に、憤りを感じたことを覚えています。

ただ、運が良かったのは、とある事業承継の研究会で素晴らしい税理士の先生と出会えたことです。その先生は 60 代から法律を学び直し、やがて事業承継の分野における権威として知られるようになった方です。僕は、その先生の深い知識や、仕事に対する姿勢に触れ、「これが本物の税理士なのか」と感動し、今も個人的に「師匠」と呼ばせていただいています。

―その出会いがあって、独立されたのですか?

三輪:いえ。最初に税理士事務所に勤めた後、ヘッドハンティングされる形で別の事務所に移りました。その事務所は M&A を多く扱っていたので、自分が研究会で学んできたことを活かしながら、中小企業に役立てられると期待していました。
ところが、実際にその事務所に入ってみると M&A がまるでマネーゲームのように扱われていて、そこには人の感情はなく、無味乾燥な世界でした。僕は徹底的にクライアントに寄り添って支援をしたかったけれど、事務所は効率重視でドライに片付けてしまう。そんな板挟みにあってしまい、僕はうつ病になってしまったのです。

その後、半年ほどして体調が回復したので別の税理士事務所に移ったのですが、その事務所の税理士も税法を全く勉強していないことが分かり…。「僕が本当にやりたいことをするには、独立するしかない」と感じ、同じ事務所で働いていた仲間と 2 人で独立することを決意しました。

自由と責任を重んじ、「権力」ではなく「共感」によるチームを作る

―UNNAMEDSERVICE を立ち上げるとき、どのような組織にしようと考えていたのですか?

三輪:はじまりは「ティール組織」という次世代型組織に可能性を感じ、弊社でもその要素を取り入れることにしました。ティール組織には権力が集中したリーダーは存在せず、現場のメンバーが意志決定をおこなうことが特徴です。会社が社員の行動を強制するのではなく、個人として主体的に行動してもらい、その結果として組織の成長が実現するという考え方です。

人間、誰一人同じ人はいません。持っている情熱も違えば、得意なことも違います。そうした個性あるメンバーが、信頼でつながり、才能を花開くことができれば、組織は確実に強くなっていきます。そうした姿を目指し、弊社ではメンバーの一人ひとりが自由に動き、責任をもってもらうのを基本としました。

―いわゆる典型的なトップダウンの組織とはまったく違うイメージですね。

三輪:徹底的に情報をオープンにしていることも、転職してきたメンバーから驚かれる点です。僕も含め、社員の仕事や給料などの情報は社内で共有されており、誰がどれくらいの収入を得ているのかがガラス張りになっています。

昇給も、代表である僕が単独で決めるわけではなくメンバーで話して決めるので、周りに認められたら給料が増えるようになっています。そもそもクライアントとどれくらいの業務を、どれくらいの報酬で受けるのかも、担当者が決めるスタイルです。

―とても珍しい経営スタイルだと思います。そのような組織作りによって、どのようなチームになりましたか?

三輪:日々「誰もが主役になれる組織」に近づいていると思います。今日のように組織の世界観を語る場面では僕が主役かもしれませんが、常に僕が正解を知っているわけではなく、メンバーが主役になる場面がたくさんあります。たとえば、資金調達のときはこの人、セミナーならこの人といったように、メンバーごとに得意領域を活かして活躍してくれています。それも主体的に。

僕は権力ではない形で人を動かしたいといつも考えていますが、その方法は結局“共感”しかありません。その共感を生めるよう、環境を整えるのが僕の役割なのです。社内の人間関係が、仕事に限ったものではないところも珍しいかもしれません。僕はメンバーの結婚や子育てなどの状況を全部知っているのですが、これは彼らが自然とプライベートの話をしてくれるからです。メンバーの離婚危機が起きたとき、皆で何時間もかけて仕事とプライベートの在り方を考えたこともあります。

今は仕事とプライベートをきっちりと分けたい人が多いですが、今お話しした通り、うちのカルチャーは違うので、採用面接のときにお話しています。強制するつもりはないのですが、仕事でもプライベートでも、困ったときに「助けて」と言える関係性のほうがきっと楽ですから、「よければ入ってみない?」とご招待している感覚です。

仕事もプライベートも、まるごと人生

―UNNAMEDSERVICE で働いている方のお話も伺いたいと思います。平野さんは 2021年7月に未経験で入社されたとのことですが、仕事にはすぐになじめましたか?

平野:最初は簿記の“ぼ”の字も知らないレベルだったので、やっぱり焦りはありました。「早く覚えてみんなの役に立たなければ」と自分を追い込んでしまって。でも、社内のメンバーがひとつひとつ丁寧に教えてくれて、できるようになったらすごく褒めてくれたので、「みんなが応援してくれているんだから、頑張ろう!」とやる気を保てました。

おかげで今は、経理や人事、総務といったUNNAMEDSERVICEのバックオフィスを担当しながら、記帳代行などのアシスタントもしています。申告書も入社して半年ほどで作れるようになりました。

―畠さんは、別の税理士事務所からUNNAMEDSERVICEに転職され、今は税務顧問やセミナーなどをされているそうですね。何か違いは感じますか?

畠:はい。実は、ここに入る前は税理士業界の先行きに希望を持てず、別の仕事をしようと考えていました。でも、三輪と知り合って税理士の仕事に私が知らなかった可能性があることを感じ、転職を決めました。

ここに入る前の自分を振り返ると、以前の税理士事務所では一緒に仕事をする人たちや顧客に対して興味を持とうとしていなかったことを反省します。私は税理士業界に入る前は、アパレルやガソリンスタンドで働いていたのですが、当時はお客様に喜ばれることが何よりのモチベーションになっていました。あのときの感覚を、今は UNNAMEDSERVICEの仕事で取り戻せている気がします。

―UNNAMEDSERVICE に入社されて、変化があったのですね。

畠:僕はUNNAMEDSERVICEに来てから、仕事もプライベートも、「まるごと人生」だと思うようになりました。だから社内のメンバーやクライアントのプライベートの幸せも祈っていますし、昔よりも人と深い関係性を築けるようになったと思います。

税理士事務所としては珍しいと思いますが、こういう組織があることは知ってもらいたいです。ここで仕事をすると、自分の新たな可能性が開けて面白いと思いますよ。

平野:私も、以前はプライベートと仕事をズバッと切るタイプでしたが、ここに入社して自然と考え方が変わりました。何よりも人と人の関係を大事にする文化があるので、同僚やクライアントとのやりとりがプライベートと同じような感覚になってきたのです。

友達から「助けて」と連絡が来たら、仕事中でも、休日でも、知らんぷりはできません。それと同じように、クライアントや同僚が何か困っていたら、私はいつでも助けになりたいです。
こんな風に、職場の中で、一緒に喜んで、一緒に泣いて、一緒に苦しむ、という関係性を持てていることを、今はありがたく感じています。

望むのは、素直で謙虚な人 共感できる仲間を増やしたい

―三輪代表に伺いますが、UNNAMEDSERVICE のメンバーとして求めている人物像についてお聞かせください。

三輪:採用のときに重視していることを一言で言えば、「Integrity」です。誠実さや真摯さ、裏表のないこと、言動一致を求めています。一般的な税理士と違う仕事も多く行っているので、新しいことを受け入れられる素直さと謙虚さも大事ですね。

―最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお聞かせください。

具体的な計画として、来年の早い段階でUNNAMEDSERVICEのメンバーを 20 人ぐらいまで増やし、横浜に新たな拠点を作ろうと考えています。そして、ゆくゆくは M&A や海外進出など、今よりもさらにクライアントのチャレンジを支援できる税理士法人に成長させたいです。僕は若い頃にアメリカでプロバスケ選手を目指していましたから、海外挑戦している人を応援したい気持ちが強くあります。

また、僕個人としては、これまでに培ってきた経営ノウハウを凝縮した「志心」という経営塾を今年クライアント向けに開講、来年一般開講の予定で動いています。ここでは中小企業を背負う方の指針となるためのプログラムを提供しており、リーダー育成にもますます力を入れていきます。
この記事を読んでいる人の中には、「税理士の仕事はこういうもの」という固定観念に染められている人がいると思います。UNNAMEDSERVICEの活動や組織づくりに心を動かされたなら、ぜひ一緒にやりましょう!

―本日は貴重なお話をいただきました、誠にありがとうございました。

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この記事を書いたライター

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