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【前編:早戸崇倫代表インタビュー】人材定着の鍵は徹底したフォローとコミュニケーションにあり。着実に拡大し続けるスターズラボ会計事務所の働き方とは。

HUPRO 編集部
スターズラボ会計事務所

タイトル
会計業界独自の悪い慣習を全て取り払い、社内でのコミュニケーションとフォロー体制を徹底。着実にスタッフの定着率を向上させ、加速度的に拡大しているスターズラボ会計事務所。スタートアップ専門の会計事務所として創業し、新規顧客が順調に伸びてきている中で、今後どのような人材を求め、どのように組織を拡大していくのか。
今回は代表である早戸崇倫氏に創業に至る経緯や事務所としての人材の考え方を、HUPRO編集部が伺いました。

バーテンダーからBIG4?!スターズラボ会計事務所はどのようにして作られたのか

ー早戸さんは大学卒業後にBIG4税理士法人に就職という華麗な経歴をお持ちですが、大学時代から税理士を目指されていたのでしょうか?

早戸:いえ、実は私は全く就職活動せずそのまま大学を卒業しています。学生時代は飲食店でバーテンダーのアルバイトをしていて、卒業後もそのままそのお店で働いていました。そのため、周りがどんどん就職してサラリーマンとして働いていくのを見て「この先自分は何をしていったらよいのだろう」と、先行きに対する不安や悩みを抱える日々を当時は送っていましたね。そんな漠然とした不安な日々を送っている中で「人生の中で一度くらい本気で勉強してみよう」と一大決心をし、色々と調べて辿り着いたのが税理士という職業でした。

ーなるほど、そこからどういう経緯で就職をされたんでしょうか?
早戸:1年ほど専業で勉強をしていたのですが、簿記や税法など学んでいてもその知識がどのように社会に役立つのかあまりイメージができませんでした。今考えると税理士という仕事がどういう仕事なのかを理解せずにただ勉強だけをしていたのだと思います。そういった理由もあり、一度しっかりと実務を学ぶ必要があると考え、そこで初めて就職活動をしてBIG4税理士法人のひとつに就職しました。

ーBIG4在籍時代にはどのような業務を担当されていましたか?
早戸:私が担当したのは主に外資系企業の申告書の作成です。大手の外資系企業が中心ですから、申告書は非常に細かい数字まで丁寧に計算していかなければなりません。私の申告書作成に関するスキルはここで徹底的に仕込まれたと言っても過言ではないですね。ですから、スターズラボの決算書作成の手法はBIG4時代に私が経験して得た知識が土台となっています。

ーBIG4から今度はスタートアップ支援を専門とする税理士法人に転職されたそうですが、それは何か理由があったのでしょうか?

早戸:私はクライアントと直接向き合うことが税理士としての仕事の醍醐味だと考えていたのですが、当時は、実際にクライアントと直接やりとりできるのは役職のあるマネージャークラスの社員がほとんどでした。クライアントはもちろん大手の企業ですから、新人のうちから直接対応することは難しく、ある程度の実務経験を積むまでは、申告書の作成が主な仕事だったのです。
そこにどうしても物足りなさを感じてしまった私は、直接クライアントと向き合える環境を探し、スタートアップ支援を専門とする税理士法人に転職することを決めました。

ー実際に転職してみていかがでしたか?
早戸:転職した税理士法人はそれまでとは全く異なり、担当者が全て責任を持ってクライアントの対応をしなければなりませんでした。例えば、報酬の未払いがあれば担当者が責任持って徴収まで行う。最初はそのギャップに戸惑いを感じましたね。ただ、クライアントと積極的にコミュニケーションを取りながら、ニーズを汲み取り数字のアプローチや提案を行うという仕事は私にはとても合っていました。それまでは税理士になるのをもう辞めてしまおうとすら考えていたのですが、ここで働いていく中で「これなら税理士としてやっていける」と仕事に大きなやりがいを感じました。そして、ここでの経験がきっかけとなり、自分でもっとスタートアップの支援をしていきたいと考え、独立してスターズラボ会計事務所を創業しました。

人材の定着はコミュニケーションと徹底したフォロー

ーここ数年で貴社の人材の定着率が上がっていると伺いました。理由はなにかあるのでしょうか?

早戸:スタッフとのコミュニケーションを非常に大切にしています。コミュニケーションと言っても、なんとなく話したり雑談するということではなく、目的や意図をしっかりと持ったコミュニケーションです。人の気持ちは環境や状況でどう変化するかわかりません。そのため、何かあった時や悩んだ時いつでも相談できる環境を作っています。特に業務に関することで精神的な不安がでないよう気を配るようにしているのです。

ーフォロー体制はどのように考えていますか?

早戸:わからないことや聞きたいことはすぐに聞いてもらえるよう、寄り添う形を意識しています。例えば、訪問時の対応に不安がある場合には同行して、クライアントとのやりとりを実際に見てもらいます。そこで私がクライアントに提案した内容やアドバイスがどのような意図を持っていたのか、逆に隣で見ていてわからない部分はなかったのかなど、きちんと理解できるまで丁寧に説明をするといった形です。もちろんただ寄り添うだけでは人は成長しません。ですから、自分で考えなければいけない部分はしっかりと考えてもらいますが、その考えた部分も私や先輩スタッフが見てフォローしていく。そしてそれを次の仕事に活かしてもらえるようにしています。

ーかなり徹底していますね。創業当初からそのようなスタイルだったのでしょうか?
早戸:いえ、実は創業当初のやり方は全く逆で、スタッフとここまで密にコミュニケーションはとれていませんでした。組織としての規模を大きくしていくため集客に力を入れている中で、私が忙しさにかまけて仕事を任せっきりにしていたのです。もちろん、訪問先でクライアントとどういう話をしたかなど、重要な話は聞いていましたが、しっかりと向き合ってコミュニケーションを取れてはいませんでした。そのため事務所の方針や私が求めている仕事の考え方、やり方などがしっかりと浸透せずに全て中途半端な形になってしまったのです。これは私の大きな失敗なのですが、結果的に信頼していたスタッフたちも何人か離れていってしまいました。

ーその失敗を生かして、現在のスタイルになったということですね。
早戸:そうですね。これまでの税理士業界の慣習として、仕事は教えてもらうのではなく見て覚えるということが当たり前でした。プロなんだから自分で考えなさいと。私もそうやって仕事を覚えてきたので、それが当然だと考えていたのかもしれません。しかし、実際は教えてもらった方が圧倒的に仕事を覚えるのは早いですし、前提となる知識がない中で自分で考えろと言っても、それは無謀な話で全く意味がないのですよね。今は徹底的に教育とフォローに力を入れています。何かあれば私や他のスタッフにすぐに共有して、相談や一緒に考えることができる環境を作るようにしています。

成長と働きやすさの両立の鍵は徹底したヒアリング

ー今後は経験者を積極的に採用していくとのことですが、経験者の方が入った場合はどのようなイメージで仕事をすることになるのでしょうか?

早戸:経験者や有資格者の方が入社した場合は、これからどのような仕事をしていきたいのかを話し合うところからスタートします。例えばこれまで経験してきたクライアント対応の業務を積極的に担当していきたいのか、それとも新規顧客の開拓やスタッフのマネジメント、採用など運営としての業務に関わっていきたいのか、または両方ともやってみたいのか。人によってチャレンジしたい仕事があると思うので、まずはそこを話し合って担当する業務を決めていきます。もちろん、私から向いているだろうなという仕事があれば、アドバイスしたり担当してもらうこともあります。全体を見ながら適材適所を意識しつつ、経験者でも成長できる仕事のきっかけ作りができるようにしていきたいと考えています。

ーとても柔軟な対応ですね。働き方についてはいかがでしょうか?例えば経験者や有資格者の方でも小さなお子さんがいたりしてなかなかフルタイムで働きづらいという環境の方もいらっしゃると思います。そういった方でも働ける環境はあるのでしょうか。

早戸:小さなお子様がいる方の場合、なかなかフルタイムで働けないという話はよく聞きます。ただそういう方でも相談しながら働ける時間を調整し、時短勤務などの対応を積極的にしたいと考えています。経験者であれば仕事内容もクライアント対応だけでなく、申告書のチェックや経験が浅いスタッフへの教育などたくさんありますから、相談しながら働き方を決めていくつもりです。実務から得られた知識や経験はとても有用ですから、フルに活かして活躍できる環境を提供していきたいと考えています。

ー今後の展望についてはいかがでしょうか。

早戸:ある程度人材が定着し、スタッフも成長してきているので、まずはこれまで課題として挙げていた私自身の仕事を卸すという部分に手をつけていきたいと考えています。現在、ありがたいことにさまざまなところからご紹介いただき、集客という面では非常に順調に伸びてきております。このまま新規顧客が増え拡大していくのであれば、将来的には支店など横展開も視野にいれるつもりです。ただ、無茶な拡大は全体に負荷がかかるので、着実に拡大させていくためにも、まずは力のある人材を確保して体制をしっかりと整えていく必要があると考えます。ですので、これからの組織の中心となる人材、もちろん既存のスタッフもそうですが、知識や経験を活かせる方達と一緒に仕事をして、全員が成長できるそんな環境を作っていきたいです。

ー早戸さん、本日はありがとうございました!

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