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変形労働時間制とは?詳しく説明します!

HUPRO 編集部
変形労働時間制とは?詳しく説明します!

今回は、変形労働時間の法律上の意味について解説します!
変形動労時間制を使えば、繁忙期と閑散期における業務量を上手にコントロールすることに役立ちます。ぜひ参考にしてみてください。

変形労働時間制の意味とは?

変形労働時間制とは、労働時間についてより柔軟な取り決めをすることができる制度です。

通常、労働時間は「1日8時間・週40時間」というように短いスパンで取り決めを行いますが、職場よってはこれが適切でないケースも考えられます。

例えば、「1ヶ月のうち、第一週目〜第三週目は比較的余裕があるけれど、最後の週(第四週目)はとても忙しい」という働き方をしている職場少なくありません。

このようなケースで、上の「1日8時間・週40時間」を無理に当てはめようとすると、第四週において大量の残業時間が発生することとなり、企業が負担する人件費がとても大きくなってしまいます。

こうした事態を避けるために、労働時間の計算を、「1ヶ月〜1年」というように長いスパンをもって定めることにするのが、変形労働時間です。

もちろん、変形労働時間を使えばいくらでも従業員に残業させられるなどということはありません。

1か月間や1年間について、1週間の平均労働時間が法律で決められた時間の範囲内であれば、決められた日や週に、法律で定められた労働時間を超えて労働させることが可能にすぎないことに注意を要します。

変形労働時間制のメリット・デメリット

変形労働時間制のメリットとしては、忙しい時期とそうでない時期の区別がつきやすく、メリハリを持って業務に注力できることが挙げられます。

企業側としても、例えば1年単位で従業員の労働時間を調整させることができますから、残業の抑制をはかり人件費の削減を行うことが可能となります。

変形労働時間制のデメリットとしては、繁忙期における労働環境がとても過酷になってしまうことが挙げられます。

例えば、繁忙期には一日10時間労働などの状況になってしまったとしても、忙しくない時期は6時間労働と定めておけば、企業側としては残業代を支払う必要がありません。

変形労働時間制の4つの種類

変形労働時間の意味について理解したところで、法律のルールがこの変形労働時間についてどのような規定をしているのかみておきましょう。

法律上、変形労働時間制は、以下の4つの種類が規定されています。

・1ヶ月単位変形労働時間制
・フレックスタイム制
・1年単位変形労働時間制
・1週間単位変形労働時間制

それぞれの類型について、順番に見ていきましょう。

1ヶ月単位変形労働時間制

1ヶ月単位変形労働時間制は、その名の通り、1ヶ月間を一つの集計期間として、労働時間と残業代の計算を行う方法です。

1ヶ月という比較的短い期間に、繁忙期と閑散期が繰り返されるような業務に適しています。

例えば、1ヶ月31日の場合に23日出勤して8日休んだとしましょう。
こういう働き方の場合で、月末が繁忙期でそれ以外が閑散期の場合は、5日間だけ10時間の勤務を行い、それ以外は1日7時間勤務とするという事が可能となります。

月内の労働時間は、1週間の法定労働時間(40時間)×日数(この場合は31日)÷7で計算できます。この場合の法定労働時間は、177.14時間となります。

1ヶ月単位変形労働時間制

フレックスタイム制

フレックスタイム制は、始業・終業時刻にとらわれず、各自の都合に合わせてシフトが組めるような職務に適しています

1ヶ月単位変形労働時間制は、始業時間・終業時間が定められていますが、フレックスタイム制は定められていないのが特徴です。

必ず労働しなければいけない時間をコアタイム、自由に出勤して良い時間をフレキシブルタイムとして定めることができます。

例えば、午前10時から午後4時までをコアタイムとした場合に、その時間は必ず出勤義務はありますが、それ以外の時間は従業員が、自主的に出勤と退勤の時間を決めることができるといった具合です。

1ヶ月31日の場合は月177.14時間以上勤務をしなければ残業代の割増賃金を付ける義務は会社側にはありません。

1年単位変形労働時間制

1年単位変形労働時間制は、1年間のうちの特定の期間に、繁忙期と閑散期が繰り返されるような業務に適しています。
対象期間と出来るのは、1ヶ月を超えかつ1年以内の期間に限ります。

閑散期や祝祭日が多い月は労働時間を少なく設定し、それ以外の繁忙期については労働時間を多く設定できます。

例えば、8月は出勤日数15日間で、月120時間の勤務をして、9月は出勤日数20日間で月200時間の勤務という設定をしても問題ありません。

40時間÷7×365日=2085.7なので、年間で2085時間を超えなければ問題ないです。またこの制度は、原則として労使協定の締結時に、各日、各週の労働時間を決定しなければいけないですが、これは難しい場合も多いです。

しかし、対象期間を1ヶ月以上の期間に区分することとした場合、その期間の30日前にその中で労働日および、労働日ごとの労働時間を決定することが可能となります。

1週間単位変形労働時間制

1週間単位変形労働時間制は、あらかじめ繁忙期と閑散期を予測して就労時間を規定することが困難な業種に適しています

1週間単位変形労働時間制は、現在のルールでは、各日の労働時間を特定することが困難である業種で、30人未満の事業所に適用が可能です。

制限としては、週40時間が上限で、1日に設定できる労働時間は10時間です。
例えば、土日に忙しいと見込まれる場合は、10時間勤務と設定しておき、月・火を休み、水曜は8時間勤務、木曜と金曜は6時間勤務とすることが可能です。

まとめ

今回は、変形労働時間の法律上の意味について解説しました。
労働時間に関するルールは、企業の人件費負担の大小に影響を与えるとともに、従業員の雇用環境への満足度に直結する問題と言えます。

どのようなルール設計を行うかはとても重要ですので、それぞれのメリット・デメリットを理解しておくようにしましょう。

この記事を書いたライター

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