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労働施策総合推進法とは?義務化されるパワハラ対策

HUPRO 編集部
労働施策総合推進法とは?義務化されるパワハラ対策

労働施策総合推進法の改正により、事業主は勤務者のパワーハラスメント対策のための措置を講じることが義務付けられました。この改正により事業主は一層の雇用の管理が求められ、勤務者は雇用の安定を得ることが出来るようになります。
今回は労働施策総合推進法について解説していきます。

労働施策総合推進法とは

労働施策総合推進法とは、労働政策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律の略称です。
この法律は、様々な労働者が安定して働くことが出来ることを目指しており、令和元年6月5日に公布された改正法では、パワーハラスメント対策の義務化がされました。

パワーハラスメントとは

職場におけるパワーハラスメントとは、「優越的な関係を背景として、業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により、就業環境を害すること」と厚生労働省では規定をしており、この要件が全て揃った際に認められます。適正な範囲での業務上必要かつ相当な指示は、パワーハラスメントには該当をしません。

職場とは、勤務者が業務を行う場所全般であり、通常業務を行う社屋内等のみならず、出張先等の臨時業務を行う場所も該当をします。

優越的な関係を背景とするとは、職務上の地位が上の労働者による言動、複数の同僚による集団的言動等が該当をします。

業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動とは、業務上明らかに必要性のない言動、業務の目的を大きく逸脱した言動等が該当をします。

例えば上司が勤務者の遅刻等の業務上必要な規則を破った場合に叱責することはパワーハラスメントに該当をしませんが、勤務者の信仰や性自認等の業務に関係しない個人の思想に関して叱責することはパワーハラスメントに該当をします。
職場内のパワーハラスメントは、加害者及び被害者の個人間の問題というものではなく、関係者の退職等が発生した場合には、職場の人員不足、職場の評判の悪化等により、事業経営の悪化を招くものです。

パワーハラスメントとは

労働施策総合推進法の改正による事業主への影響

事業主はパワーハラスメント対策の義務化がされました。大企業は令和2年6月1日から、中小企業は令和4年4月1日から対策が義務となります。

中小企業とは、小売業であれば出資金の額が5,000万円以下、従業員の数が50人以下、サービス業であれば出資金の額が5,000万円以下、従業員の数が100人以下

卸売業であれば出資金の額が1億円以下、従業員の数が100人以下、その他の業種であれば出資金の額が3億円以下、従業員の数が300人以下の出資金要件又は従業員要件のいずれかを満たした事業者をいいます。

パワーハラスメント対策として事業主は、事業主の方針の明確化及びその周知や啓発、相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備、職場におけるハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応等の措置を講じなくてはなりません。

事業主の方針の明確化及びその周知や啓発とは、パワーハラスメントの内容を理解させ、パワーハラスメントの⾏為者については、厳正に対処する旨の方針や対処の内容を就業規則等の文書に規定して周知させることをいいます。

相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備とは、相談窓⼝をあらかじめ定め、勤務者に周知すること、又その相談窓口対応者が状況により適切に対処出来るようにすることをいいます。

職場におけるハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応とは、事実関係を正確に把握し、加害者、被害者に対して適切な措置を行い、また再発防止に取り組むことをいいます。

その他にもパワーハラスメントに関わる勤務者のプライバシーを保護する取り決めや、パワーハラスメントの被害者がそれを外部組織に相談したことに起因した職場内での不当な取り扱いを防止する等、職場環境の整備が義務付けられています

労働施策総合推進法の改正による勤務者への影響

勤務者は、事業者と同様にパワーハラスメントに対する理解を深め、パワーハラスメントの加害者とならないように勤務を行う必要があります。また、パワーハラスメント対策を講じる事業主に協力をし、職場全体でのパワーハラスメント防止に努めなくてはなりません。

被害者となった場合には、パワーハラスメント対策が義務化されたことにより、職場内の相談窓口の利用等により、従来よりも職場環境が改善されやすくなります。

まとめ

労働施策総合推進法の改正により、パワーハラスメント対策が義務化されました。事業主が適切な体制を整えることにより、勤務者のパワーハラスメントに対する意識が高まり、とり一層様々な労働者が働きやすい環境へとなることでしょう

労働者の個人間の問題である、とパワーハラスメントを常態化させ、事業主が措置を行わないことは、この法に違反することになります。継続的な事業の繁栄や、社会全体としての雇用の安定のためにも、労働施策総合推進法に則った職場づくりにご協力を頂けると良いと思います。

この記事を書いたライター

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