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財務デューデリジェンスとは?わかりやすく解説します!

HUPRO 編集部
財務デューデリジェンスとは?わかりやすく解説します!

企業の買収や合併が行われる際に必ず行われるのが、財務デューデリジェンスという手続きです。必ず行われるにもかかわらず、そこでは具体的に何が行われているのかはわかりにくくなっています。そこでこの記事では、財務デューデリジェンスでどのようなことが行われているのかについてわかりやすく解説していきます。

財務デューデリジェンスの概要

財務デューデリジェンスとは、企業買収や合併に際して、企業の財務活動に関してチェックする一連の手続きのことを言います。

株式会社は通常、株式を発行することによって資金を調達しています。株式の発行によって調達した資金は、それぞれの企業が行う事業活動のために投下されて、経済活動に利用されます。株式を発行しても足りない場合には、企業は銀行などから借入を行うことによって資金を調達します。そしてまたその調達した資金を使って、経済活動を行っていくことになります。

財務デューデリジェンスは、企業買収や合併に際して、こうした企業の財務活動をチェックすることを言います。端的に言えば、企業の経済活動は財務諸表に要約されていますから、財務デューデリジェンスでは、財務諸表に要約されている情報が正しいかどうかをチェックすることになります。

財務デューデリジェンスで行われる主要な分析項目と手続き

財務デューデリジェンスにおける一般的な分析項目と検討手続は以下の通りです。

財務デューデリジェンスの概要

収益性分析

収益性分析は、企業の利益を生み出す力を構造的に見ることを目的として行われる分析です。ROA、ROE、 売上高総利益率、売上高営業利益率、売上高経常利益率、売上高当期純利益率などの経営分析指標を活用して企業の収益性を分析します。
過去の業績の推移をみたり(時系列分析)、非経常的な要因を除去・調整による本来の収益性の把握(正常化分析)、事業計画との整合性などに関してデューデリジェンスを行うことで、企業の収益性と妥当性をチェックします。

運転資本分析

運転資本(Working Capital)では、営業活動に投下されている資金について分析を行います。運転資本に含められる項目は企業や業界によって様々ではあるものの、売上債権、棚卸資産、仕入債務、その他流動資産、その他流動負債が含められることが一般的です。運転資本分析は、企業の営業活動に投下されている資金が、正常に循環しているかどうかをチェックすることを言います。まず、運転資本の内容把握し、それらの資産の資産性の検討することで、正常に運転資本が循環しているかどうかをチェックします。たとえば、売掛金の回収が滞っていると、販売資金を回収することができていないことを意味することになりますし、これは企業のキャッシュフローを悪化させる要因となりますから、こうした回収の遅れがないかどうかをチェックします。さらに、季節性等による運転資本の増減要因が何かを分析したり、借入等に伴う支払いができるだけの必要資金水準の把握などが行われます。

設備投資分析

設備投資分析では、過去の設備投資の内容、投資金額実績、将来計画の把握します。設備投資は、その企業の将来性を把握するうえで極めて重要です。設備投資が行われていないと、その企業の将来性はないと言えます。逆に、どのような設備に投資しているかを把握することができれば、今後、その企業がどのような事業を展開しているのかが把握できるようになります。

純有利子負債分析

純有利子負債分析は、企業の安全性を把握するために行われる分析です。企業は借金が返せなくなったり、買掛金が返せなくなったときに倒産します。したがって、有利子負債がどれくらいあるかは、企業の安全性を評価するうえで極めて重要です。借入金等の金額が大きくても、それ以上の換金性の高い資産を有していれば、支払いに負われることはありませんが、換金性の高い資産が少ないと借金返済に息詰まる可能性が高くなります。そのため、企業合併や買収が行われる前に、報告残高の把握し、企業価値算定にあたり考慮しておくべき有利子負債に類似する項目の抽出をしておく必要があります。

簿外債務、偶発債務

財務デューデリジェンスでは、基本的に財務諸表に掲載されている数値のチェックが行われていますが、これらに掲載されていない情報についてもチェックがなされることがあります。たとえば、訴訟や保証債務等、貸借対照表に計上されていない潜在債務の把握、損失顕在化の可能性の洗い出しなどがあります。訴訟の可能性が財務諸表には掲載されていませんが、可能性が高い場合、今後、資金の流出を伴う可能性があることを意味します。したがって、訴訟の可能性を見積もり、将来的に企業の収益性が悪化しないかどうかをチェックします。

まとめ 財務デューデリジェンスの重要性

財務デューデリジェンスは、企業買収や合併が行われる際に必ず行われる手続きです。財務デューデリジェンスを行うことができるのは、会計情報をみることができる公認会計士や専門的なリソースを有した企業だけです。したがって、企業買収や合併が行われる場合、会計監査法人やM&Aを支援している会社に通常であれば依頼をすることになります。財務デューデリジェンスは非常に重要な手続きです。これが成功裏に終わらなければ、企業買収や合併は成功しません。

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