近年は、企業経営においてコンプライアンス遵守が重要になっており、世の中から企業の監査システムが着目されています。そのため、虚偽を会計書類などに記載することなどを防いで、企業の会計書類などを作るときの正確性と透明性に対する信頼を確保するために会計参与制度が認められるようになりました。
今回は、会計参与とは?会計参与と会計担当の取締役の違いとは?取締役と会計参与の関係とは?会計参与が報告する相手とは?会計参与が何か発見したときの対応とは?について解説していきます。
参与の意味は関係するということで、会計参与というのは会計に関係する人です。企業によっては参与という役職があるときもありますが、この参与とは関係がありません。会計参与は、正しく企業の会計が行われるように、会計書類などを取締役と共同で作ります。
会計に必要な領収書、契約書など全般をチェックして会計書類を作る以外に、帳簿付けなども行います。また、仕事上、必要なときは、グループ企業に対して調査したり、報告を要求したりするときもあります。例えば、監査役に対する会計監査人と同じようなものです。
企業によっては、CFOなどといわれるような会計・財務を担当している取締役がいるところもあるでしょう。会計・財務を担当しているといっても取締役であるため、別のことを必要によってするときもあります。
一方、会計を行うスペシャリストが会計参与です。会計参与は、会計監査人と同じように、税理士、公認会計士、税理士法人、監査法人だけがなれます。
会計監査人と違うのは、税理士、税理士法人がなることができる人にプラスされたことです。
なお、税理士が集まって作った法人が税理士法人で、公認会計士が集まって作った法人が監査法人です。会計参与は、国家資格の税理士あるいは公認会計士という税務・会計の専門家であると認められた人だけがなれます。一方、財務・会計を担当している取締役は、このような国家資格を取得していなくてもなることができます。
監査役と会計監査人の関係と違って、取締役と会計参与の関係は部下と上長というものではありません。会計を担当する会計参与と企業を経営する取締役は、仕事内容が違っており、監査役と会計監査人の関係とは違っています。
基本的に、会計参与は取締役と共同で会計書類を作ります。取締役と共同で作業しているため、取締役は報告する相手にはなりません。会計監査人とは、この報告する相手が違うことが異なっているところです。
会計監査人は、監査役が報告する相手になります。一方、会計参与が報告する相手は、定時株主総会、株主、会計監査人・監査人、取締役会、といろいろあります。
では、会計をしているときに、何かを発見したときはどのように対応するのでしょうか?監査役のときは会計監査人に報告します。では、誰に会計参与は報告するのでしょうか?
取締役は上長ではないため、報告しません。発見したものの中には、不正行為などになる可能性のもあるでしょう。
監査役が不正行為などを監査するようになります。そのため、会計参与が何か発見したときは、監査役に報告して監査してもらいます。では、監査役がいないような企業のときはどのように対応すればいいのでしょうか?株主の代わりに監査役は監査をします。株主の代わりになる監査役がいないため、報告する相手は株主になります。