何年間で投資した資金が回収できるかを検討して、投資するかどうかをこの期間によって見極めるものが、回収期間法です。回収期間法は、非常に計算が簡単で、誰でもわかりやすいので説得しやすいことが大きなメリットです。回収期間法のデメリットとしては、時間的価値を考えていないなどがあります。回収期間法は、設備の耐用年数の範囲内に設備投資額を回収する期間がなるか、融資を受けて設備投資をするときは適切な借入調達期間か、などを見極めるときの参考になります。それでは、今回は回収期間法について説明していきます。
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何年間で投資額が回収できるかを検討して、投資するかどうかをこの期間によって見極めるものが、回収期間法です。
社内で決めている期間よりも投資額が回収できる期間が短いときは投資して、長いときは投資しないようにします。
700の投資をした結果、キャッシュフローが1年目に100、2年目に200、3年目に300、4年目に400になるとします。
このときの回収期間は次のようになります。
700の投資額の中で、100を1年目に回収、100と200のトータル300を2年目に回収、100と200と300のトータル600を3年目に回収するため、700の投資額は3年目と4年目の間に回収できます。
投資額の700から3年目までのトータルの回収額の600を差し引きした100が、回収額の残りになります。
この100の回収額の残りを4年目の回収額の400で割ると0.25年になるため、回収期間としては3年間と0.25年間をプラスした3.25年間になります。
会社で決めている回収期間が4年間であれば、今回は3.25年間であるため投資をします。
会社で決めている回収期間が3年間であれば、今回は3.25年間であるため投資を止めます。
回収期間法は、理論を重要視するときは投資判断基準としてはおすすめではありません。
しかし、ビジネス実務において、回収期間法は相当利用されています。
というのは、非常に計算が簡単で、誰でもわかりやすいので説得しやすいからです。
このことが大きな回収期間法のメリットです。
特に、ベンチャー企業などで資金が不足している、スタートアップ期、創業期のときは、大きな投資を何年も先のキャッシュフローを予測して行うことは困難でしょう。
大きな投資は最初から行わないで、資金を早期に回収できる投資を行って実績を積み重ねてから、大きな投資は行うのが一般的です。
一方、回収期間法は、次のようなデメリットがあります。
時間的価値を考えていないことが、1つ目のデメリットです。
例えば、3年後の100万円と1年後の100万円の価値を同じであるとしています。
また、投資額の回収後のキャッシュフローを考えていないことが、2つ目のデメリットです。
例えば、投資として次のようなものがあったとしましょう。
・投資額の回収期間が5年間であるが、大きなキャッシュフローが6年目から見込まれる
・投資額の回収期間が3年間であるが、キャッシュフローは4年目からゼロである。
このようなケースでは、回収期間法では後者の方が選択されます。
そして、社内の回収期間の決定方法が曖昧であることが、3つ目のデメリットです。
何年以内に投資額は回収すべきという理論的な根拠が不足しています。
回収期間法は、何年間で設備投資額が回収できるかの評価法になるため、設備の耐用年数が設備投資額を回収する期間の範囲内になるか、融資を利用して設備投資をするときは適切な借入期間か、などを見極めるときの参考になります。
今回、詳細は説明しなかったですが、投下資本利益率法と回収期間法を組み合わせて利用しましょう。
回収期間法は、何年間で設備投資額が回収できるかを簡単に計算できるものですが、補助金や税制優遇を利用することによって、法人税を少なくしてキャッシュフローを多くしたり、設備投資額を少なくしたりするなどによって、回収期間を短くして計算することができます。
例えば、中小企業経営強化税制では、「生産性などの向上を目的とした設備」の自家消費型太陽光発電などを新しく設置したときに、即時100%の投資額が償却でき、10%の優遇税制が受けられます。
なお、3,000万円超~1億円以下の資本金の法人では、7%の優遇税制になります。
これ以外にも、自家消費型太陽光発電などの再生可能エネルギーを対象にして、環境省の「再生可能エネルギー電気・熱自立的普及促進事業」では、補助金が一部の地方自治体の都道府県や市区町村などから交付されています。
このような補助金や税制優遇などを利用することによって、設備投資額を少なくしたり、またはキャッシュフローを多くしたりすることができるため、投資額の回収期間を短くして計算することができます。
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