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配当金に関する仕訳はどうなるの?わかりやすく解説します!

ますたん
配当金に関する仕訳はどうなるの?わかりやすく解説します!

一般的に法人は多額の資金を利用して事業を行っています。資金調達をして事業を円滑に進める必要があり、出資者に対して利益を還元しなければなりません。

利用する勘定科目や会計処理は、配当の財源などで異なり、理解するのが難しいかもしれません。

そこで今回は、配当金の会計処理方法について解説していきます。

剰余金の配当とは

出資者に対して得た利益を配当するのにも様々な種類があり、その中でも重要なのが剰余金の配当と言えます。

剰余金の配当とは、会社における利益の積み立てから株主などの出資者に対して配当を行うことです。

会社は事業を通じて、日々取引を行っています。その過程で費用計上や、収益計上をしていくのです。

収益が費用を上回っている金額が利益になります。利益は事業年度末において『損益』勘定に集計された収益と費用の差額として認識しなければなりません。

認識された損益は、貸借対照表項目である『繰越利益剰余金』に積み立てられて翌期以降に繰り越されていきます。

この『繰越利益剰余金』から株主などの出資者に対して配当を行うのが、剰余金の配当です。

準備金の積み立て

剰余金の配当は会社財産の流出を伴うので、無制限に認められるわけではありません。

会社法において定められている分配可能額の範囲で配当することができます。また、資本金の4分の1に至るまで準備金を積み立てることとされていて、債権者保護に配慮しなければなりません。

その為、会計処理を行う際にも資本金の4分の1に至るまで、資本金の4分の1から準備金を控除した額か、配当金額の10分の1のいずれか小さい額を、準備金として積み立てる必要があるのです。

剰余金の配当をした場合の勘定科目や仕訳

剰余金の配当をした場合は、剰余金の配当と準備金の積み立てを行う仕訳をします。

繰越利益剰余金からの配当の場合には利益準備金を積み立て、その他資本剰余金からの配当の場合には、資本準備金を積み立てるのです。

繰越利益剰余金からの配当

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額
繰越利益剰余金 ××× 未払配当金 ×××
利益準備金 ×××

その他資本剰余金からの配当

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額
その他資本剰余金 ××× 未払配当金 ×××
資本準備金 ×××

剰余金の配当を受けた場合の勘定科目や仕訳

繰越利益剰余金から配当を受けた場合には、『受取配当金』勘定で仕訳を行います。

これに対して、その他資本剰余金から配当を受けた場合には、『売買目的有価証券』と『売買目的有価証券以外』で会計処理が異なるので注意が必要です。

売買目的有価証券の場合には『受取配当金』で仕訳を行い、売買目的有価証券以外の場合には『有価証券』の帳簿価額から控除する仕訳を行います。

繰越利益剰余金からの配当

基本的には利益から配当を行う為、利益を純資産に積み立てておき、配当をするのです。この積み立て先は純資産項目である繰越利益剰余金です。

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額
現金預金 ××× 受取配当金 ×××

その他資本剰余金からの配当

利益の積み立てである繰越利益剰余金からの配当が基本ですが、その他資本剰余金からの配当を行うことも会社法では認めています。

この場合には、資本金や資本準備金を減少させて、その他資本剰余金に加えるのです。その後、資本剰余金を財源として配当を行います。

その他資本剰余金からの配当(売買目的有価証券に対する配当)

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額
現金預金 ××× 受取配当金 ×××

その他資本剰余金からの配当(売買目的有価証券以外)

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額
現金預金 ××× 有価証券 ×××

益金不算入

配当を受けた際には基本的に『受取配当金』として営業外収益に計上します。

ですが、法人税法上は益金不算入として課税されません。

これは、配当を受けた会社はさらに株主に配当を行いますので、受け取った株主は配当所得として源泉徴収されるからです。

同じ利益から2重で税金が課税されることになるので、2重課税を避けるために受取配当金は益金不算入として処理されます。

まとめ

今回は、配当金の会計処理方法について解説してきましたがいかがだったでしょうか。

配当を行う場合には、会社財産流出を防止するため、準備金を積み立てるなど債権者保護に配慮されています。

配当の会計処理を行う場合には、この準備金の積み立てを含めて会計処理を行う必要があるのです。

配当を行う財源が繰越利益剰余金なのか、その他資本剰余金なのかによっても会計処理は異なります。

基本的には『受取配当金』を計上しますが、その他資本剰余金からの配当の場合で売買目的有価証券以外の場合には、直接、有価証券の帳簿価額から控除することに注意が必要です。

また、会計上『受取配当金』は営業外収益であり、法人税法上の益金不算入と取り扱いが異なります。

法人が配当を受けた場合の法人税法と、個人が配当を受けた場合の所得税で2重に課税されることになってしまうのです。

この2重課税を防ぐために法人税法では益金不算入としていることも重要と言えます。

今回ご紹介した内容が、配当金の会計処理方法に関する理解の一助となれば幸いです。

この記事を書いたライター

商業高校で簿記に出会ってから15年間勉強を継続し、大学院では企業結合について研究。卒業後公認会計士事務所での勤務を経て、Webライターとして独立。現在では大学より勉強を始めた公認会計士試験に挑戦しながらWebライター兼ブロガーとして活動中。
カテゴリ:コラム・学び

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