今後のキャリアを見据えて転職を考えているとき、「経理はやめとけ」とアドバイスをもらうこともあるはず。確かに、ネットなどで調べても、「経理への転職はやめた方が良い」などと、ネガティブな声が数多く挙がっていますよね。
ただ、多くの人にとって、仕事は一生つづけるもの。「今しんどいから」「最初でつまづきそうだから」という印象論だけでキャリアを決めてしまうのはもったいない!
そもそも、経理はとても魅力の多い仕事。業界自体が売り手市場ですし、将来性や今後の選択肢の広さなどを含めて考えると、バリバリ仕事をこなして収入アップを狙う人にはおすすめの業務です。
そこで、このコラムでは、「経理はやめとけ」と言われる原因や、経理業務の本当の魅力について分かりやすく紹介します。今後のキャリア選択のために、ぜひ最後までお役立てください。
なお、経理への転職を検討している方は、以下のコラムもご参照ください。他業種からの可能性についてご理解いただけるでしょう。
まず、世間で「経理はやめとけ」と言われる原因について考えてみましょう。
よく挙げられる経理のデメリットは次の5点です。
それでは、経理のデメリットについて具体的に見ていきましょう。
なお、世間の人が経理に抱くイメージ・経理の実情については、以下のコラムでも詳しく解説しています。あわせてご一読ください。
経理の仕事はルーティーンです。日次業務・月次業務・年次業務に大別されますが、スパンは違いますが、原則として「同じことを繰り返すこと」が仕事です。
つまり、毎日変化のある仕事・クライアントとの刺激的な交渉などに憧れる人にとっては、経理はやめた方が良い仕事になってしまいます。
その一方で、デスクワーク・事務仕事が得意な性格の人には、むしろ業務の効率性を突きつめることができるのでおすすめの仕事だと考えられます。
なお、経理の仕事内容については、以下のコラムでも紹介しています。あわせてご一読ください。
決算期や月締日など、経理にも繁忙期が存在します。そして、このタイミングではかなり激務になるため、普段とは異なって残業で退社が遅くなったりするなど、身体的・精神的な負担が増大します。
ただ、そもそも仕事には忙しい時期・忙しくないタイミングが混在するもの。経理だけが他の仕事に比べて特別忙しいということではありません。
たとえば、営業職ではノルマや売上げなどによって仕事の成果を数値化しやすいものですが、いわゆるバックオフィスである経理は仕事の成果を客観視することはできません。
そのため、経理職全般が抱える課題として、人事評価に繋がりにくい(ボーナスアップ・昇進しにくい)という現実から目を背けることはできないでしょう。
ただし、最近ではバックオフィスの重要性を見直す流れが出来上がっているため、経理における業務レベル・達成度などが人事査定でしっかりと評価される時代になっています。「経理は出世できない」というステレオタイプの固定観念は現代には通用しないのでご安心ください。
多くの時間をデスクワークで過ごす経理は閉鎖的な仕事環境にならざるを得ません。営業のように外部顧客と顔を合わせる機会もほとんどないため、確かに「アクティブに仕事がしたい」という人には不向きでしょう。
ただ、デスクワーク中心の経理職ですが、チームでミッションをこなす作業がほとんどです。部署内の人と業務についてやりとりする機会も頻繁にありますし、他部署の人たちからの報告をとりまとめる際にはしっかりとコミュニケーションをとる必要があります。
したがって、「始業から終業まで誰とも口をきかない毎日」というイメージは間違いです。経理職に就く場合にも、しっかりとしたコミュニケーション能力は不可欠です。
なお、閉鎖的な環境が苦手だから…という理由で経理を敬遠している人は、以下のコラムもご参照ください。経理の実情についてご理解いただけるでしょう。
では、経理の魅力としてはどのようなポイントが挙げられるのでしょうか。経理に就くメリットについて考えてみましょう。
経理のメリットは次の3点です。
それでは、経理のメリットについて具体的に見ていきましょう。
なお、経理への転職をきっかけに年収アップを狙う人は、以下のコラムもご参照ください。
経理業界は慢性的な人材不足(「経理はやめた方が良い」と多くの人が勘違いしているから)。つまり、売り手市場なので、スキルを伸ばせば伸ばすだけ選択肢が増える点が魅力です。
たとえば、実際に企業において経理職の通年業務を経験するだけで、「経理の流れが分かっている」と評価されるので、より良い条件の転職先を見つけるのは難しくはありません。また、日商簿記3級・2級を取得するだけでも、スキル証明に役立ちます。
さらに、経理業務をきっかけに上昇志向が強くなった場合には、税理士試験・公認会計士試験にチャレンジするという選択肢も見えてきます。監査法人・会計事務所に就職するのも良し、自分で開業するのも良し、ベンチャー企業に役員として携わるのも良し、選択肢は無限に広がります。
以上のように、経理職には、そこから発展する資格・専門職が多数存在します。ここからも、「幅広い可能性のなかからキャリアを自分で選び、着実に積み重ねていきたい」と希望する人にはおすすめの仕事だと考えられるでしょう。
なお、英語力があればさらに経理職の選択肢は広がります。以下のコラムで詳しく紹介しているので、あわせてご一読ください。
未経験で経理をスタートした場合、最初は領収書の整理などの日次業務で経験を積むことになりますが、仕事に慣れてくると、経営判断に必要な資料を作成したり、財務的観点で上層部と関りを持つ機会も増えてきます。
たとえば、多くの企業では、出世コースにかならず経理部門が含まれます。経理を経験して、会社のお金の流れに精通しているからこそ、会社の舵取りに関われるという判断に基づくものです。
つまり、経理としてキャリアを積んでいけば、経理を越えた業務にも携わるチャンスがあるということ。上昇志向が強い人のキャリアルートのひとつとして経理はおすすめです。
「ただ数字を整理しているだけ」「言われた通りソフトに打ち込んでいるだけ」でも経理の仕事は成り立ちます。
ただ、これでは仕事に飽きるのは当然のことです。仕事の魅力を見つける努力は最低限必要でしょう。
そして、経理は知識が増えるほど魅力が分かりやすくなる仕事です。たとえば、勘定科目の内容・意味を理解するだけで、会社のお金の流れ、どの部署がどれだけのコストパフォーマンスを発揮しているのか、どの経営判断が財政状況に悪影響を及ぼしたのかなど、俯瞰的に会社の状態を判別できるようになります。
毎日の仕事に意味・価値を見出すことができるようになれば、仕事はどんどん楽しくなるはず。「さらに知識をつけるために勉強をして資格を取得する、そして、キャリア幅が広がる」という好循環に身を置くことができるでしょう。
なお、経理の知識を増やすためにはスキルアップが不可欠です。以下のコラムで経理の知識の増やし方について解説しているので、あわせて参考にしてください。
「経理はやめとけ」という人の言い分にも一理あります。確かに、経理の仕事は単調な側面がありますし、「地味」なイメージは払拭しにくいでしょう。
しかし、そもそも仕事にはそれぞれ特徴があって、すべての業務にメリット・デメリットがあることを忘れてはいけません。
そして、どんな仕事にでも転職を考えるときには、「やめた方が良い理由」ばかりを粗さがしするのではなく、「やった方が良い理由」に目を向けてみるだけの余裕をもった方が、自分が納得できるキャリアを形成できるでしょう。
その意味では、経理には魅力があふれています。一般企業への就職をきっかけに、税理士・公認会計士などのキャリアも見えてきますし、年収の増加幅も他業種とは比べものにならないでしょう。
仕事の魅力・可能性を見つけられるかはあなた次第です。自分が打ち込めそうだと感じる仕事・自分にとって魅力のある仕事に就けば、満足のいく日々を送れるでしょう。