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連結決算とは?業務の進め方や学習方法の注意点、手続きの効率化のポイントを解説

HUPRO 編集部
連結決算とは?業務の進め方や学習方法の注意点、手続きの効率化のポイントを解説

連結決算とは、国内外の子会社・関連企業を含むグループ全体の決算方法のことです。グローバル化・事業の細分化などの傾向が強い現在、単体決算だけでは企業の実態が正確に反映されないため、多くの企業の経理部門において連結決算業務が求められます。

そこで、今回は、連結決算とはどのようなものかについて解説します。実務上の具体的な流れやこれから連結決算を学ぶ人が押さえるべきポイントなどもあわせて紹介するので、最後までご参考ください。

連結決算とは

連結決算とは、親会社だけを対象とする単体決算とは異なり、国内外の子会社や関連企業を含むグループ全体を対象とした決算方法のこと。関連性の深い企業グループ全体で貸借対照表、損益計算書などの連結財務諸表を作成し、一般への公開までが求められます。

従来、日本企業では関連グループ企業が存在する状況においても単体決算がメインに取り扱われていました。1978年3月決算から一定企業に対して連結決算に係る財務諸表の作成義務が課されたものの、市場への公表はほとんど行われていなかったのが実情です。

もっとも、株式市場における投資判断等の際には、単体企業だけではなくグループ企業全体の収益情報等が重要な指標にされるという現実に目を背けることはできません。つまり、グループ企業は内部で独自に連携を取りながら企業活動を行っているにも関わらず、関連性のある情報が市場に充分に提供されていない結果、各銘柄に対して投資家たちが適切な判断をできないという問題が生じたということです。

そこで、2000年3月決算から旧・証券取引法(現・金融商品取引法)のディスクロージャー制度が見直され、現在ではグループ企業の連結決算情報が適切に公表されるという流れが出来上がっています。つまり、連結決算とは、グループ企業全体の実態を正確に表現する重要なプロセスであると評価できるでしょう(実際、IFRS=国際財務報告基準でも連結決算の開示が義務付けられています)。

連結決算の流れとは

それでは、連結決算の流れを説明します。具体的には、次の5つのステップを踏んで行われます。

①連結範囲の確定
②親会社の個別財務諸表の作成
③子会社の決算情報の収集
④連結修正仕訳
⑤連結財務諸表の作成

大まかなイメージにはなりますが、連結決算とは「どこまでの企業を連結決算に含めるのかを決める、そして、各社で収集された情報を組み上げる、連結決算としてのテンプレートに当てはめる、必要な書類を作成する」という流れで完成するものです。

どこまでの企業を連結対象に含めるのか、どのような情報をどのようなプロセスで収集するのかなどについては、合法の範囲内で各グループ企業が独自に決定することができます。連結決算に違法性が生じないように、監査法人などの専門機関に相談したうえで、適切に連結決算を進めましょう。

なお、連結決算の流れや具体的な仕訳については以下のコラムでも詳しく解説しています。あわせて参考にしてください。

連結決算業務を学ぶ人が注目すべきポイントとは

単体決算と比較すると、連結決算はハードル・難易度が高い手続きです。中小企業の経理担当者やこれから経理・会計業界への転職を目指している人にとっては、「自分には無縁なものでは?」と感じるのも当然でしょう。

ただ、グローバル化・企業の組織構造の多様化など、社会における企業活動にはかなりのバリエーションが生まれているのが実態。また、今後のキャリア形成を想定したときに、連結決算に関するスキルを取得した方が各段に選択肢が増えると考えられます。特に、有価証券報告書を最終的な成果物を想定するような上場企業の場合には、連結業務はほとんどの場合で不可欠の作業です。

したがって、今後更なるキャリアアップを期待する人にとって、連結決算への造詣を深めることは必須のミッションです。次のポイントを意識しながら、連結決算のノウハウを手にしましょう。

①連結決算業務で作成すべき会計情報は何かを整理する
②連結財務諸表に関する理解を深める
③連結キャッシュ・フロー計算書に関する理解を深める
④セグメント情報に関する理解を深める
⑤その他注記情報に関する理解を深める

それでは、各注意点について具体的に見ていきましょう。

連結決算で作成すべき会計情報とは

連結決算に従事するために最初に押さえるべきポイントは、どのような会計情報の作成を目的とした業務なのかを把握することです。

連結決算で作成される会計情報は次のように整理することができます。連結決算におけるゴールを整理しましょう。

①連結財務諸表(連結キャッシュ・フロー計算書以外)
②連結キャッシュ・フロー計算書
③セグメント情報
④その他注記情報

連結財務諸表に関する理解を深める

連結財務諸表には、連結貸借対照表・連結損益計算書・連結包括利益計算書・連結株主資本等変動計算書が含まれます。貸借対照表・損益計算書がベースの位置付けです。

連結包括利益計算書とは、連結貸借対照表の純資産の増減のうち、資本取引以外の増減に関する書類のこと。連結損益計算書と一体として作成する場合もありますが、別々にセクション分けすることも少なくない点に注意が必要です。

連結キャッシュ・フロー計算書に関する理解を深める

連結キャッシュ・フロー計算書以外の連結財務諸表が個別の連結仕訳を積み上げて作成するのに対して、連結キャッシュ・フロー計算書は次の2つの方法のいずれかで作成します。なお、いずれの方法で作成することも許されていますが、他の連結財務諸表とは作成方法がまったく異なるため、別のセクションで担当するのが一般的です。

①原則法:親会社と子会社の個別キャッシュ・フロー計算書を合算。連結グループ内における内部取引を消去する。連結会計システム導入グループに多い。
②簡便法:個別キャッシュ・フロー計算書を作成しない方法。連結貸借対照表の前期・当期間の差額、連結損益計算書、当期の勘定科目の増減明細を根拠に作成する。エクセルメインのグループはこちら。

セグメント情報に関する理解を深める

セグメント情報とは、資産、売上高、営業利益等をセグメント別に分解して表示したもののこと。その性質上、セグメント情報の合計金額は、かならず連結貸借対照表・連結損益計算書と一致することになります。

このように、セグメント情報は貸借対照表・損益計算書との関係性が極めて密接です。したがって、多くの場合において、連結損益計算書の作成部門において同時にセグメント情報も作成するのが一般的です。

なお、マネジメント・アプローチを基準にセグメントの区分けをするのが主流になった現在、基本的に各子会社が単一セグメントとして扱われます。セグメント内取引・セグメント間取引の処理が経営上の意思決定の範囲とパラレルになるため、非常に分かりやすくなっています。

その他注記情報に関する理解を深める

連結決算では、連結ベースの注記情報を作成する必要がある点に注意が必要です。各社において注記情報として開示している情報の範囲・開示方法が異なるため、過去の有価証券報告書や部署内で蓄積されたノウハウ等を事前に把握しておきましょう。

ここまで紹介したように、連結決算は非常に複雑なプロセスが踏まれるものです。したがって、これから連結決算を学ぶという人は、**まずは総論的に全体の流れを理解したうえで、各論の内容に踏み込んでいきましょう**。実際に連結清算表を作ってみる・会計基準等に触れるなどしながら、各論的な仕訳方法をひとつずつ潰していくのがおすすめです。

連結決算を円滑に行う方法とは

連結決算の業務内容は複雑である一方で、いつまでも時間をかけて処理して良い作業ではないという点に注意が必要です。単体決算だけでも期限がギリギリになる傾向が強いのに、複数企業の仕訳情報等を集約・修正する必要がある連結決算では「いかに円滑に業務を遂行するのか」が喫緊の課題といえるでしょう。

連結決算を円滑に行うために会社側が押さえるべきポイントは次の通りです。

①連結決算業務の属人化を防ぐ
②連結会計システムを導入しノウハウを蓄積する
③連結決算業務に対応できる人材を集め、育成する

連結決算業務に行き詰まる企業の多くが抱えている代表的な問題は「属人化」です。連結決算業務に対応できる人材が限られているため、その人のオリジナルの方法で業務が遂行される傾向が強くなり、結果として他の人材を一切投入できないという事態におちいります。これでは、業務の停滞だけではなく、不正等の温床にもなりかねません。

そこで、連結決算業務を効率的に行うために、連結会計システムを導入するという手法が考えられます。コスト面の問題で全面導入が難しいのであれば、一覧表の作成・チェック項目の明確化などの抜本的なマニュアル化でも問題ありません。いずれにせよ、「業務と担当者を切り分けること」が合理化の第一歩です。

同時に、人材育成への注力も求められるでしょう。連結決算業務は難易度の高い作業です。能力の高い人材を最初から採用できるとは限らないため、自社内において資格取得等へのサポート制度が不可欠です。

まとめ

連結決算とは、今後経理業界でキャリアアップを目指す人材にとって不可欠の業務です。税理士・公認会計士資格の取得を目指す人はもちろんのこと、上場企業への転職を希望する場合にも、連結決算に関するノウハウを取得していれば有利に事を進められるでしょう。

連結決算スキルに対するニーズは時々刻々と高まっているので、ぜひ積極的に知識習得にチャレンジしてください。

この記事を書いたライター

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