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公認会計士試験は1年で合格可能?合格者のリアルな学習スケジュールを大公開!

けいご|公認会計士
公認会計士試験の学習スケジュールを合格者が大公開!1年での合格は可能なのか?

公認会計士は言わずと知れた難関資格なので、合格するためにある程度の勉強スケジュールを立てる必要があります。中には一年での試験合格を目指す人もいらっしゃいますが、果たして現実的なのでしょうか?
今回は大学3年生の12月に勉強期間10ヶ月で短答式に合格、その後公認会計士となった私のスケジュールを大公開します!

公認会計士試験は1年で合格できる?

結論からお伝えすると、1年での合格は不可能ではありませんが、非常に困難です。
その理由を説明するために、まず公認会計士試験がどのようなものなのかを簡単にご紹介します。
公認会計士試験は短答式試験と論文式試験に分かれています。それぞれ短答式が年2回、論文式が年1回実施されており、短答式はマークシート方式による択一式試験、論文式は論述式による筆記試験で行われています。短答式試験を合格しないと論文式試験を受験することはできず、論文式に落ちても2年間は短答式の合格が有効となります。

公認会計士の難易度と合格に必要な勉強時間

2024年度試験の願書提出者の内、最終合格率は7.4%でした。他の年でも合格率は7~10%程度となっており、公認会計士試験の合格難易度は非常に高いと言えます。

そんな公認会計士試験の合格に必要な勉強時間ですが、一般的には3,500~5,000時間程度は必要と言われており、最低でも3,000時間は必要とされています。これは日割りで計算すると、1日に最低でも8時間は勉強時間を確保しなければならないという計算になります。よって、一般的には2年∼3年での合格を目指す方が多く、1年での合格は制度上可能ではあるものの、あまり現実的とは言えないのが実情です。比較的時間を自由に確保しやすい学生の方であれば実現できるかもしれませんが、私自身、冒頭にお伝えした通り10ヶ月の勉強で短答式には合格したものの、そこからスムーズに論文式も合格、とはなりませんでした。

1年での合格を目指す場合の年間スケジュール

前述の通り1年での合格の壁は高いものの、「我こそは1年間の短期決戦で合格をしてやる!」という方は、試験スケジュールから逆算して綿密な勉強計画を立てる必要があります。
まずは試験スケジュールの把握ですが、短答式は5月と12月の年2回、論文式は8月の年1回で3日間の試験日程となっています。論文式は短答式を合格してからでなければ受験できないため、8月の論文式合格を最終ゴールとして1年で逆算をすると前年の夏からのスタートとなります。しかし、8月の論文式に向けて勉強時間を十分に確保することを考えると、前年12月の短答式試験には合格しておきたいです。そのためには、1年前の夏ではなく、余裕をもって春先から勉強を開始しておくことを強くおすすめします。
また、1年での合格を目指す場合、時間が非常に限られているため、週次や日時での進捗管理はかなり細かく行う必要があることも念頭に置いておいてください。

勉強開始∼12月(短答式試験)

スタート時点での簿記レベルがどの程度かによっても変わってきますが、最初の2~3ヶ月は入門編として簿記や会計、企業法や租税法などの基礎知識のインプットがメインになります。それと同時に、ある程度知識や計算力がついてきたタイミングで、インプットと並行して過去問演習によるアウトプットを進めていきましょう。12月の短答式試験の合格を目指すため、遅くても9月か10月には過去問演習を開始したいです。

12月(短答式合格)∼8月(論文式試験)

12月の短答式合格後はすぐに論文式の対策に移っていきます。
短答式試験に合格できていれば基礎的な知識はある程度身に着いているはずですので、論文式の対策は最初から答案作成練習を行っていきましょう。そこから8月の本番に向けて過去問演習や模試受験を行いながら、実戦形式での調整を行っていきます。

私の場合の1日の勉強スケジュール

それでは、私が入門期に実際に行っていた勉強スケジュール」についてお話します。当時は大学生でしたので、曜日によって1日のスケジュールが異なってきます。なので、入門期のとある1週間を表にまとめました。各項目について以下で詳細を説明していきます。
なお、私は公認会計士試験の合格のために予備校に通っていました。通信講座を受講したり、何も使わずに独学での合格を目指すこともできますが、特に独学の場合はより多くの勉強時間が必要になることは予めお伝えをしておきます。

①勉強開始時の簿記レベル

まず、勉強開始時の簿記レベルも勉強時間に大きく影響してくるので事前情報としてお伝えしておきます。私は公認会計士試験勉強開始前に日商簿記3級と2級に合格していました。

スタート段階で簿記力が一定以上あるじゃないですかと思われるかもしれませんが、大学1年生の5月に3級、11月に2級に合格していたので、簿記2級合格後1年以上経っており、簿記2級の内容はほとんど忘れていた状態です。

ちなみにこの公認会計士受験勉強を開始するまでの空白の1年間は、サークルを立ち上げサークル運営を頑張っていました。

②会計士受験予備校の講義

予備校の講義は、正確に覚えておりませんが、この時間は予備校の講義があろうがなかろうが勉強している時間なので、平日の夜に帯で入れておきました。参考程度にご覧ください。

③大学以外での勉強時間

上の表にある通り、私の場合、講義時間も含めて多くて8.5h、短い時は5hの勉強時間でした。平日でも土日でもあまり本当に集中できる勉強時間は変わらなかったので、これぐらいが私の限界かなと考えていました。

④休憩や休息日

よく受験生から質問がありますが、休憩や休息日は私の場合は事前には決めていませんでした。マイペースに休みたい時に休むスタイルです。ビリヤードやカラオケがやりたくなれば、素直に行っていました。2日1回は行きたくなっていましたね。また、当時は22時から25時までコンビニでアルバイトをして月に7万5千円ぐらい稼いでいたので、リフレッシュのための娯楽費にしていました。

スケジュールを立てるポイント

上記のスケジュールを立てるにあたって、重要なポイントは3つです。

①勉強方法を決める
②勉強時間を休みの日に偏らせ過ぎない
③オフの時間はしっかり休む

①勉強方法を決める

決して安くない予備校代を支払わなければならないことなどを考えると、「合格したいなら必ず予備校に通うべき」と断言できるわけではありませんが、私自身の体験からお話させていただきますと、独学での合格はかなり難しいと考えています。

当然、受験当時は大学生だった私は決して金銭的な余裕があるとは言えず、最初はテキストを買って独学で何とかしようと試みました。ただ、いざやってみるとどの科目にどのくらいの時間をかけるべきなのか、そして今の自分の習熟度はどのくらいなのか、といった部分が不明瞭なのです。
また、ひたすら自学という形なので勉強時間にメリハリがなく、継続的に集中して勉強しづらいと感じました。その結果、費用を支払ってでも予備校に通った方が効率的だと考えたのです。

ただ、社会人として働きながら合格を目指すという方もいらっしゃるかと思いますが、その中には固定の時間で通学するのがどうしても難しいという方もいらっしゃるでしょう。
そんな時は通信講座を活用するのも手です。好きな時間に受講することができますし、予備校に比べれば安価なのもポイントです。ただ予備校と違い、疑問があったらすぐに質問したり、フィードバックをもらいづらいというのは留意しておきましょう。スキマ時間の活用やスマホアプリなども有効に活用することで、効率的に時間を確保できるでしょう。

もちろん独学での合格も難易度は高いですが不可能ではありませんので、予備校・通信講座・独学のどの勉強方法にするかを決めておきましょう。

②勉強時間を休みの日に偏らせ過ぎない

学生や社会人の皆さんは、どうしても休みの日にまとめて勉強すればいいと思いがちです。ただ、毎日数時間でも勉強時間を設定したスケジュールにするのがオススメです。
公認会計士試験は範囲が広く知識の専門性も高くなっています。そのため、なるべく時間を捻出して少しでも勉強に時間をかけるということを意識すべきなのです。帰宅後の時間はもちろんですが、通勤・通学の時間、社会人の場合は休憩時間などのスキマ時間も勉強するというスケジュールにしておくと、自ずと習慣として身に付きやすくなるでしょう。

③オフの時間はしっかり休む

意外なことに、勉強とそうでない時間のメリハリは勉強の質に一定数関わってきます。もちろん個人差はありますが、休む時間にしっかり休むことで勉強に集中できるという方が多いはずです。睡眠時間はしっかり取る、遊ぶと決めた時間はいったん脳をリセットする、などスイッチを切り替えるためにも、スケジュールに入れ込んでおきましょう。

優先的に取り組むべき試験科目

公認会計士試験は出題範囲が広いため、限られた時間内で効率よく勉強を進めるために、科目の優先順位も決めておくと勉強計画を立てやすくなります。
例えば、最も時間をかけるべき科目は財務会計論だと言われています。これは、財務会計論の配点が他の科目に比べて高く、財務会計論は可能な限り正答率を上げる必要があるためです。また、選択科目は経営学がおすすめです。選択科目は「経営学」「経済学」「民法」「統計学」の4科目があり、経営学はその中でも学習ボリュームが最も少なく、他の科目にその分の時間や労力を回すことができるため、よっぽど不得意でない限りは経営学を選択することをおすすめです。実際に合格者の9割以上が経営学を選択しているようです。

社会人で公認会計士の合格を目指す場合

ここまでは、学生の方のように勉強時間を十分に確保できる方が、1年間で合格を目指す場合のスケジュールをご紹介しました。しかし、社会人で平日の日中は働いている方が、同じように1日8時間の勉強時間を確保するのは非常に困難です。そんな中でも最短での合格を目指す場合に有効なのが、監査トレーニー制度です。
監査トレーニー制度とは、公認会計士試験を受験中の方が、監査法人で実際に働きながら試験勉強を進めることができる制度です。実際に実務を行いながら試験勉強を行うことができるためインプットの効率が上がり、周囲に公認会計士がいるためアドバイスを求めやすい環境で学べることが大きなメリットです。
監査法人によっては、試験費用の負担や合格までの残業なしなど、手厚くサポートしてくれる監査法人もあります。

このように監査法人での実務経験を積みながらの資格取得を目指す方は、是非一度ヒュープロへご相談ください。

まとめ

今回は1年で公認会計士試験の合格を目指す際の注意点やスケジュールについて、筆者の受験生時代の勉強スケジュールも踏まえて解説しました。ある程度、練りに練って考えたスケジュールではありますが、誰でもこの通りに進めていけば合格できるというものではありませんので、ご自身の状況や環境に合わせてスケジュールを作る際の参考になれば幸いです。

また、「1年での合格」にこだわる方もいらっしゃるかもしれませんが、前半でもご説明した通り、合格に要する平均年数は2∼3年程度と言われています。そのため、特に初学者であれ「1年で短答式試験の合格」を目指すのが良いのではないかと思います。
ぜひ最適なスケジュールを策定し、合格を目指しましょう!

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この記事を書いたライター

クラウド会計専門 税理士法人クラウドフォーカス所属。早稲田大学大学院会計研究科卒業後、大手監査法人・大手税理士法人・中小会計事務所での勤務を経験。経験を基に会計士試験情報・転職情報・アカスク関連情報を個人の各種SNSで発信中。
カテゴリ:コラム・学び

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