「公認会計士はブラックだ」という噂を聞いたことがあるでしょうか?これから公認会計士を目指そうと思っている方にとっては、これが本当なのかどうか非常に気になるでしょう。そこで今回は、公認会計士で過去にBIG4監査法人に勤めていた私が、大手監査法人での実際の経験をもとに公認会計士が本当にブラックかどうかについて解説します。
早速ですが、本題の公認会計士はブラックか?というテーマについて説明していきます。
公認会計士と一口に言っても、どこで働くかによって働き方は大きく左右されます。そのため、今回は私の経験を基に、監査法人がブラックかどうかについてご説明します。
結論からお話ししますと、監査法人はブラックではありません。
ではなぜ、「監査法人はブラックだ」、「公認会計士はやめとけ」と言われるのでしょうか?
その原因と実態について、以下で詳しくご説明します。
公認会計士はブラックだと言われる1番の要因として、繁忙期の業務量が多く、それに比例して残業が増えることが挙げられます。
その要因としては、「監査業務が公認会計士の独占業務であること」、「監査業務の期限が決まっており、繁忙期が集中しやすいこと」の大きく2点が関係しています。
監査業務は公認会計士の独占業務であるため、公認会計士のみが行うことのできる業務です。それがある意味ではやりがいにつながりますが、誰でもできる仕事ではない分、簡単に人員を増やすことができず、結果として1人当たりの負担がどうしても大きくなってしまいます。
また、監査業務は企業の決算書類が適切に作られているかをチェックする仕事で、企業の決算期に合わせて業務が発生します。ほとんどの企業で決算の時期が3月になるため、決算書を提出された4月、5月で監査業務が集中します。さらに、監査業務にかかる期間は45日程度が目安とされているため、1ヵ月半ほどの短期決戦になるわけです。そうなると、繁忙期がかなりのハードワークとなる可能性が高く、「公認会計士がブラックだ」と言われる原因となっています。
しかし、監査法人の長時間労働やノルマが極端なものかと言われると、私はそうではないと考えています。
実際に私は、大手監査法人に約5年勤めましたが、繁忙期であっても徹夜で作業が必要なほどのノルマを課されたことはありません。また、繁忙期には労働時間は増加しますが、毎日終電で帰らなければいけないといった状況もありませんでした。私の周りや同期をみても極端な長時間労働やノルマを課されている人はいませんでした。
監査業務は基本的にチームで行うので、各個人に業務を割り振った後に負担が重いとなれば、業務量を調整してくれます。また、継続監査の業務であればこれまでの稼働実績があるので、事前の業務量の割り振りも各自に負担がかかりすぎないような割り振りになっています。
もし自分の業務量が多くて終わりそうにないなと感じたら、早めにチームのメンバーや上司に相談をすることが重要です。
次に人間関係でのストレスですが、これは主にクライアントとの間にストレスを感じている人が多いです。前述の通り、監査業務は企業の決算資料に間違いやおかしな点がないかをチェックして指摘する仕事であるため、嫌われ役に回ることも少なくありません。どうしても人間同士のやり取りになるので、こういったところからクライアントとの関係性に対してストレスを感じたり、やりがいを感じられなくなってしまう方もいらっしゃいます。
もちろん、クライアントによっては良好な関係を築くことも可能ですので、これはケースバイケースと言えるでしょう。
また、社内の人間関係についてですが、パワハラなどは全くありませんでした。もちろんこれはどこで働くかによって変わるかもしれませんが、近年ではハラスメントに対する研修も実施されており、大手監査法人は全体的にコンプライアンス意識が高いと感じます。
もしかしたら、研修等は形式的にやっているだけではないのかとも思われるかもしれませんが、悩まれている方が声を上げられる窓口があり、私が勤めていた時も、自身や他のスタッフに対して上の方々は気を使っていただいていたなと感じます。
これは完全に人によって感じ方が変わるため、一つの意見として受け取っていただければと思いますが、人によっては公認会計士の仕事が単調でつまらないと感じる方もいらっしゃるようです。
公認会計士の主な仕事は監査業務ですが、それ以外にも納税書類の作成を行う税務業務や、企業の会計に関するコンサルティングを行うことがあります。この書類作成業務が単調な作業でつまらないと感じる方がいらっしゃるようですが、一方でこの業務は単調なように見えて非常に責任感を伴う仕事です。そのため、地味な作業を責任感を持ってコツコツやれる方にとっては、むしろ天職と言えるかもしれません。
ここまで公認会計士に対する世間的なマイナスイメージについてお話してきたので、公認会計士になるメリットや魅力をお伝えします。
やはり公認会計士と言えば、医師、弁護士と並ぶ三大難関国家資格の1つであり、高収入を得られる職業です。厚生労働省が実施した令和5年賃金構造基本統計調査によると、公認会計士の平均年収は746万円とされており、国税庁の令和5年分民間給与実態統計調査では日本の平均年収が約460万円とされているため、それと比較しても公認会計士の年収はかなり高いと言えます。
さらにこれは、大手監査法人への勤務や独立開業などによってもさらに高収入を目指すことができるため、バリバリ稼ぎたい方にとっては魅力的ですね。
公認会計士の主な就職先は監査法人になることが多いですが、実は監査法人以外にも幅広い場所で公認会計士は活かすことができます。
例えば、一般の事業会社の管理部門で企業内会計士として勤務することも可能ですし、税理士事務所や会計事務所に勤めることも可能です。その他にも専門性の高い知識を活かして、コンサルティングファームやFAS(Financial Advisory Service)などで働くという選択肢もあります。
このように、監査法人以外にも多くのキャリアパスを選択できるのも、公認会計士の大きな魅力です。
もし、監査法人から他のキャリアパスをお考えの方は、以下の記事も参考にしてみてください。
ここまでの内容を通して、公認会計士の働き方や監査法人での働き方に対するイメージは変わりましたでしょうか?
この記事を読んで、「それでもやっぱり不安だ」という方や、「今の職場はもっとブラックだ」と感じている方のため、実際に転職によってワークライフバランスを実現した事例をご紹介します。
元々は大手監査法人に勤務されていた方で、ワークライフバランスを求めて転職を決意。独立か転職か悩んだ末、監査法人以外の選択肢にも目を向けてみた結果、年間休日120日以上でフルフレックス勤務やリモートワークが可能なコンサルティングファームへの転職に成功。見事ワークライフバランスを実現しました!
このように、監査法人以外のキャリアパスを選択することによって、ワークライフバランスを重視した働き方を実現することも可能です。
今回は公認会計士がブラックなのか?というテーマで、私の実体験をもとにお伝えしました。
私個人の経験に基づく結論として、公認会計士はブラックではないとお伝えしていますが、もちろん感じ方は人それぞれです。
もし、「公認会計士を目指しているけど、監査法人の繁忙期に耐えられるか不安」や「今まさに監査法人で働いており、働き方を変えたい」というお悩みをお持ちの方は、ヒュープロへ相談してみてください!
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また、今回の内容は、私のYouTubeチャンネルの「【公認会計士】大手監査法人はブラック企業か?現役BIG4勤務会計士がお話しします」という動画でもお話しておりますので、気になる方は下記リンク先よりご覧ください。
大手監査法人はブラック企業か?現役BIG4勤務会計士がお話しします
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