バイアウトファンドとは、投資家から集めた資金で成熟期や業績不振の会社などを買収し、経営に関与することで企業価値を高め、株式を売却することで利益を得るファンドのことを指します。今回は、バイアウトファンドの概要、特徴、メリットなどについて解説していきます。
バイアウトに関して詳しく知りたい方はこちらの記事もご一読ください。
バイアウトファンドとは、投資家から資金を集め、集めた資金を成熟期の会社などを買収し、経営に関与することで企業価値を高め、株式を売却することで利益を得るファンドを指します。株式を売却する方法には、他社に転売する方法や上場させる方法などがあり、これらの方法から選択されます。
経営状況の悪い会社や経営破綻をした会社を安値で買い叩くことから、ハゲタカファンドと呼ばれることもあります。
ベンチャーキャピタルは創業期の企業を対象に投資をされますが、バイアウトファンドはある程度成熟した企業を中心に投資が行われます。イグジット方法も上場だけではなく、他社に転売することも選択肢となります。また、バイアウトファンドでは経営権を握りますが、ベンチャーキャピタルの場合は経営権は少数出資の現経営陣に任せるケースが多いです。
バイアウトファンドの特徴としては以下の4つがあります。
・豊富な資金力
・経営権の獲得
・企業価値の向上
・投資期間が限定
バイアウトファンドは投資家から資金を集め、株式などを取得します。また、レバレッジバイアウトと呼ばれる手法を用いて銀行からも資金調達することでより少額の自己資金で多くの利益を得られるようスキームで取得します。レバレッジをかけることで、短期間で利益を確保し、イグジットできるようにします。
バイアウトファンドは会社に入り込んで事業を進めるという特徴があります。経営に入ってくるので会社にとって負担は大きいですが、経営に入ることで新たな視点も入り、短期間で効果を上げることができます。
買収される会社にとっては大変ですが、専門家などを派遣してもらい経営支援を行ってもらうことで業績の改善などはやりやすくなります。
バイアウトファンドの目的は、買収した時よりも企業価値を向上し、売却時に利益を得ることとなっています。そのため、バイアウトファンドは企業価値が向上することを目的としてあらゆる施策を講じて企業価値の向上をはかります。
その一環が上述した経営権の獲得です。経営権を獲得し、会社をグリップすることで企業価値が向上するよう進めていきます。
バイアウトファンドでは投資期間が決まっています。概ね3年から5年の間でイグジットすることを考えており、この期間内でイグジットできるように進めています。
短期間で効果が得られなければならないので、買収時に短期間で効果が得られる案件を選定しています。
期間が決まっているので、上述した施策などは短期間で効果が得られるものから講じていきます。企業価値が向上し売却先が見つかれば、他社に売却していきます。
バイアウトファンドを利用したメリット・デメリットそれぞれあります。
バイアウトファンドを利用するメリットは短期間で企業価値を向上させることができる点です。先述したとおり、バイアウトファンドは投資期間が決まっており、その期間内で企業価値を向上し売却していきます。そのため、短期間で効果がある施策を実施し、必要な人員を派遣してくれます。
また、多額の資金提供を受けることも可能です。自社だけでは資金を賄えなかったものをバイアウトファンドが入ってくれることにより提供してもらえるようになります。その結果、必要な設備投資などに資金を回すことができ、会社の成長をサポートしてくれます。
一方で、バイアウトファンドを利用することのデメリットは経営の自由度はなくなります。先述したとおり、バイアウトファンドは人を送り込むなどして経営はグリップします。そのため、従業員や旧経営陣がやりたいようにできていたこともできなくなります。短期間で企業価値を向上するためなのでしょうがない部分ではあるものの、自由度はなくなります。
また、バイアウトファンドは売却を考え、投資をしています。そのため、いずれ(5年前後)会社は売却され、他社に譲渡されます。長期的な成長戦略よりも短期的な戦略で動くことになるため、会社の中でも急激な変化が起こる点はデメリットとなります。
バイアウトファンドとして有名なファンドとして以下のファンドがあります。
さまざまなバイアウトファンドがあり、日本で強いファンド、世界的なファンド、事業再編や事業再生が得意なファンドなどそれぞれに特徴があります。一言にファンドと言ってもかなりの数があり、知らないファンドも多くあります。それぞれに強みや特徴があるので興味があるファンドは調べてみるのがいいでしょう。