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支払調書は発行されない?副業や投資の確定申告は要注意!

HUPRO 編集部
支払調書は発行されない?副業や投資の確定申告は要注意!

報酬を支払った証明となる「支払調書」は、税務署への提出書類。実は支払い先への発行義務はありません。そのため収入の把握を支払調書任せにしていると、間違った金額で確定申告を行ってしまうことがあるのです。税務署の把握している金額と違うと、加算税が付くことも。副業や投資を行っている方は、特に注意しましょう。

支払調書の内容って?

報酬を支払った事業者は。その内訳を正確に税務署に報告しなくてはなりません。
「支払調書」とは、法人や個人に対して支払った報酬などを、税務署に報告するための法定書類のひとつです。その内容は、以下の通り。

支払いを受ける者(マイナンバーも記載)
区分(報酬や料金の内容 例えば、原稿料、印税、翻訳料、講演料など)
細目(報酬の内容)
支払金額
源泉徴収税額
摘要(金銭以外の報酬や、災害による源泉徴収の免除がある場合などに記載)
支払者

支払調書の税務署への提出期限は、払いの確定した日の翌年1月31日です。もし発行されるのであれば、2月中に届きます。

支払調書については、詳しくは以下の関連記事を確認して下さい。

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支払調書発行を取りやめる企業が増えている

ここで気を付けたいのは、支払調書は税務署が納税者の収入を把握するための書類であり、支払いを受けた人が、自分の収入や源泉所得税額を把握するための書類ではないということです。

そもそも、確定申告において支払調書の添付は不要。本来は納税者側が収入と源泉所得税の金額をきちんと帳簿につけ、その通りに確定申告する必要があります。従来は、支払調書を作成した際に税務署への提出と共に支払い先にも送付するサービスをする事業者もいましたが、最近では、経費削減で郵送ではなくPDF送付にしたり、発行自体を取りやめるところも増えてきました。

税務署に提出する支払調書はマイナンバーを記載しますが、本人へ交付するものは個人情報保護法の関係からマイナンバーを消す必要があります。事務手続きに手間がかかるだけでなく、誤ってマイナンバー付きのものを送ってしまうと個人情報保護法違反のリスクもあるからです。

今年は支払調書を発行してくれたた企業が、来年も発行してくれるとは限りません。これからは「支払調書は発行されない」という前提で準備しておいた方が良いでしょう。

支払調書が発行されなくても確定申告を行うために

前述の通り、支払調書がなくても確定申告には何ら影響がありません。
支払調書がなくて困るのは、以下の2点です。

年間の収入がはっきりわからない
源泉徴収額がわからない

日ごろから帳簿の記帳を行っていれば、支払調書がなくても確定申告に支障はありません。(むしろ確定申告はそれが前提の制度)しかし、副業や個人事業主の場合は、なかなか追いつかないこともあるでしょう。ここでは支払調書が行われなかった場合に売上と源泉徴収額を確認する方法を解説します。

年間収入を確認する方法

まずは振込先として指定している銀行口座の通帳をチェック
クラウドソーシングサービス経由で受注している場合は、各月ごとの売上や支払について確認できるページがあるのでそちらを見てみましょう。

現金で報酬を受領している場合は、自分の領収証が複写式の場合は見ればわかります。もし、相手方にしか領収証がない場合は、日付と金額を問い合わせましょう。

源泉徴収額を確認する方法

確定申告で重要なポイントは、源泉徴収税額です。

源泉徴収義務があるのは、人を雇って給与を支払ったり、税理士、弁護士、司法書士などに報酬を支払ったりする会社や個人です。もし、源泉徴収義務のない個人や法人からの仕事の場合、受け取った報酬は源泉徴収されていません。複数の収入減がある場合は、相手先によって報酬の取り扱いが異なる場合があるので注意です。

確定申告では、源泉徴収によってすでに支払済みの所得税は、算出した所得税の金額から差し引くことができますが、もし源泉徴収されていない場合は、報酬に対する所得税を支払わなければなりません。源泉徴収されていない取引先ばかりだった場合は、税金の還付ではなく、支払が生じることも珍しくないのです。

報酬の受取額については、振り込みなどで把握していても、それが源泉徴収されているのかされていないのを確認しておきましょう。受け取った金額だけを見て所得税を計算すると、実はすでに源泉徴収済みの報酬についても、所得税を二重に払ってしまう可能性があります。

税務署は、税金の不足には厳しいですが、多く支払っている分には何も指摘してきません。自分でしっかり把握しておかないと、損をしてしまうかもしれないのです。

自分の報酬から源泉徴収されているかどうかを、支払調書以外で確認するためには、以下の方法があります。

・発行した請求書をチェックする
・取引先に確認する

取引先に請求書を発行している場合は、源泉徴収される金額を書くことになっています。発行した請求書を確認し、取引先ごとに集計すれば、売上高と源泉徴収額を算出することが可能です。

また、クラウドソーシングサイトで、クライアントが源泉徴収する場合は、必ずその金額が履歴として残っています。「支払履歴」などから確認しましょう。
どうしてもわからないようであれば、取引先にメールや電話で確認を。先方は税務署に支払調書を送付しているのでその内容を知っているはずです。支払調書自体は確定申告に添付不要。金額さえわかれば申告できますので、教えてもらいましょう。

確定申告しなくても大丈夫?

確定申告しなくても大丈夫?

副業や、個人で事業をする人が増えています。それに伴って確定申告の義務が生じる人も増加していますが、適切に申告しているでしょうか?
「収入が少ないから」
「確定申告しなくてもばれない」
そんなことはありません。特に源泉徴収義務者からの仕事を受けた場合、あなたがした仕事の報酬は税務署に全て報告されています。

源泉徴収されない、例えばAmazon、ヤフオク、メルカリなどでの売買についても、多額の利益を上げていながら無申告の方が多いため、税務署は厳しい目を光らせています。例えば趣味のハンドメイドを繰り返し販売していて「趣味だから……」と申告しなかったら、ある日突然、税務調査が来ることもあるのです。

さらに、これまで公設市場を介した取引のみが対象であったFXや仮想通貨取引についても、税務署は支払調書の提出を業者に義務化しました。取引事業者から「年間損益報告書」が発行されますので、こちらで年間の損益を確認可能です。

なお、税務署は、私たちの口座を本人の許可がなくても調べる権限を有しています。申告しない場合はすぐに税務署に判明します。悪質だとみなされれば、20%の無申告加算税どころか40%の重加算税を課されることもあるので要注意です。

経理ソフトを導入し、日常的に売上を記帳しよう

面倒な経理業務は、ついつい後回しにしがちです。しかし、支払調書が発行されなりつつある現在、年が明けてから収支の計算をするのは非常に手間がかかります。

そこで活用したいのが経理ソフトです。売上を計上した時に源泉徴収金額もつけておけば、年明けに慌てずに済みます。銀行口座や請求書機能と連動できる場合は、入金や出金、請求書作成したと同時に反映されますので、より楽に帳簿記帳が可能です。また、クラウドタイプの経理システムであれば、確定申告時に書式が変わっていても、帳簿記帳さえ完了していれば最新の帳票が出力できます。

せめて、月次で売上だけでも締めておくことで、来年の確定申告の作業がぐっと簡単に正確に。多くのクラウド会計ソフトは、トライアルや無料プランを実施していますので、今のうちに導入を検討しておきましょう。

この記事を書いたライター

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