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公的年金控除とは?税額計算についてわかりやすく解説!

公認会計士 大国光大
公的年金控除とは?税額計算についてわかりやすく解説!

高齢者が受け取る年金退職金は所得税法上では「雑所得」に区分されます。その中でも公的年金とそれ以外の年金では計算方法が変わってきます。ではどのような年金がどのような控除を経て税額計算されるのでしょうか。今回は、公的年金控除や公的年金に関する税額計算について公認会計士がわかりやすく解説します。

公的年金とは?

高齢者が受給するいわゆる年金退職金は所得税法上では「雑所得」と呼ばれます。その中でも公的年金とそれ以外の年金では計算方法が異なります。
では、公的年金とはどのようなものを指すのでしょうか。

①国民年金法、厚生年金保険法、公務員等の共済組合法などの規定による年金

これは最もなじみのあるものであると思います。現役時代に個人または会社と個人で払い続けた年金で、原則65歳以上となった時に支払われる年金となります。

②過去の勤務により会社などから支払われる年金

会社が退職金制度を設けている場合、会社を退職すると一時金として全額支給されるか年金として分割して支払われるかを選択できることがあります。この時、分割して支給される退職金を選択した場合に該当するものを言います。

③外国の法令に基づく保険又は共済に関する制度で(1)に掲げる法律の規定による社会保険又は共済制度に類するもの

これは、①と基本的に同じように国等が運営する年金団体から支給されるもののうち、日本以外の法令に基づくものを言います。
外国に転勤をしていて、その間に外国の年金制度に加入していた人が後に支給される年金等を指します。

公的年金等の雑所得の金額

令和元年分までの公的年金等の雑所得金額は次の表から、(a)×(b)-(c)で計算されます。計算結果から算出された雑所得は他の所得と合算され、その人の該当する税率によって税額が決定されます。                                                                                                                             

出典:国税庁ホームページ

余談ですが、税理士はわざわざこの表は覚えているわけではなく、手計算であれば書籍やホームページから参照して計算することがほとんどです。また、会計ソフトを使っている場合はその年の法令に対応している場合は自動で計算してくれるため、その結果に依拠することも多いです。
これは、公的年金等控除金額は年によって変わってしまうため、覚えるよりも常に信頼できる情報源を参照することが確実であるためです。

退職金は一時金で貰うのと年金で貰うのとどちらがお得?

では、先ほどの公的年金の例の一つである企業からもらえる退職金について、一時金としてもらうか分割して年金としてもらうか、どちらがお得なのでしょうか。

まず、退職金を一時金としてもらう場合の所得金額の計算方法は次の通りとなります。

(収入金額(源泉徴収される前の総額)-退職所得控除額)×1/2=退職所得

このように、一時金で貰うと勤続年数に合わせて退職所得控除額が増加するとともに、最終的な金額に2分の1を掛けることによって退職所得は減少する傾向にあります。
一方、年金で貰うとなると、先ほど解説したように様々な計算式を経て金額が計算されます。
それぞれで計算された金額を比較して税額の低い方を採用することでより税額を低く抑えることができます。ただし、年金で貰ったほうが受給総額が増えるというのが一般的ですので、税額だけではなくもらえる総額で比較するようにしましょう

年金は確定申告が不要!?

年金受給者は年に一度の確定申告ということでe-TAX等使えれば良いですが、申告するのが不安となると税務署についつい行ってしまいますよね。でも確定申告時期は人があふれているし…と悩みどころです。
しかし、一定の基準を満たす人は確定申告が不要となります。その条件は次の2点を満たしている場合です。

・公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下であり、かつ、その公的年金等の全部が源泉徴収の対象となる人
・公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下である人

つまり、基本的には収入が年金のみであって、収入額(源泉所得税差引前)が400万円以下であれば確定申告が不要となります。
しかし、2点注意すべきことがあります。
1点目として、確定申告をすることで還付が受けられるような人の場合は確定申告をした方が得となる点です。
2点目として、住民税は申告しなければなりませんので、別途お住いの市町村には申告書を提出することとなります。

まとめ

公的年金に該当するかどうかはおおよそ受給の案内に記載されているのでよく案内を見るようにしましょう。また、退職時に受け取る退職金は一時金で貰う方が良いか、年金で貰う方が良いのか税額や受給額を考えながら決めると良いでしょう。

この記事を書いたライター

公認会計士、税理士。監査法人東海会計社代表社員、税理士法人クレサス代表社員。大学時代に公認会計士旧二次試験に合格後大手監査法人に就職し、27歳で独立開業。国際会計と株式公開支援が専門。セミナーや大学で講師を務めたり書籍の出版も行っている。
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