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創立費と開業費―その違いから会計処理の仕方まで解説します!

HUPRO 編集部
創立費と開業費―その違いから会計処理の仕方まで解説します!

創立費とは、会社設立までにかかる費用のことを言い、会社設立後から営業を開始するまでにかかる費用については、開業費と言います。これらの費用は会計処理をするうえでも取り扱いが異なります。そこで、この記事では、創立費と開業費について詳しく説明し、会計処理上の違いについてわかりやすく解説していきます。

創立費とは

創立費とは設立登記までに要した費用を言います。創立費には、発起人への報酬や定款作成にかかる諸費用だけでなく、新株発行にかかる諸費用も含みます。「創立費」は、法人登記前でも認められますが、登記費用等に限定されるため「範囲」は狭い点が特徴です。

創立費の取り扱いについて定めている「実務対応報告第 19 号 繰延資産の会計処理に関する当面の取扱い」では、創立費は以下のように定義されています。

創立費とは、会社の負担に帰すべき設立費用、例えば、定款及び諸規則作成のための費用、株式募集その他のための広告費、目論見書・株券等の印刷費、創立事務所の賃借料、設立事務に使用する使用人の給料、金融機関の取扱手数料、証券会社の取扱手数料、創立総会に関する費用その他会社設立事務に関する必要な費用、発起人が受ける報酬で定款に記載して創立総会の承認を受けた金額並びに設立登記の登録免許税等をいう。 出典:実務対応報告第 19 号 繰延資産の会計処理に関する当面の取扱い

この定義のように、創立費とは、設立登記までに要した費用のことであり、具体的には、下記のようなものが挙げることができます。

(1)印鑑の購入代
(2)認証代行費用
(3)印鑑証明書の取得費用
(4)認定手数料
(5)登記時の印紙代
(6)オフィス賃借料
(7)金融機関取扱手数料
(8)会社設立に伴う総会費用
(9)総会に伴う事務費用
(10)株券等の印刷費
(11)出版広告費
(12)社員の給与
(13)事務用品

創立費の会計処理

創立費は、原則として、支出時に費用(営業外費用)として処理しなければなりません。ただし、創立費は、繰延資産に計上することも可能です。繰延資産とは、本来は費用であっても、その効果が将来にわたってあらわれることから、一時的に「資産」として認められるものの総称であり、会社法上「その支出の効果が1年以上に及ぶもの」を指します。創立費を繰延資産に計上した場合には、会社の成立のときから 5 年以内のその効果の及ぶ期間にわたって、定額法により償却しなければならないことになっています。

会社法では、創立費を資本金又は資本準備金から減額することが可能とされました(計算規則第 43 条第 1 項第 3 号)。しかしながら、創立費は、株主との間の資本取引によって発生するものではありませんので、すでに紹介した実務対応報告においては、創立費を支出時に費用として処理(支出時に費用として処理しない場合には、これまでと同様、繰延資産に計上)することとされています。

開業費とは

開業費とは、法人設立登記完了後、事業を開始するまでに開業のために特別に支出した費用のことを言います。特別に支出した費用のことですから、どんな支出でも開業費として計上できるわけではありません。

会社は設立しただけでは事業をスタートできません。会社設立後、事業に必要な物を購入したり、事務所内の設備を整えたりすることもあるかもしれません。これらが開業費にあたります。

開業費に含まれる費用の範囲は広いものの、「法人設立登記後」のみしか認められない点が特徴です。開業費の取り扱いについて定めている「実務対応報告第 19 号 繰延資産の会計処理に関する当面の取扱い」では、開業費は次のように定義されています。

開業費とは、土地、建物等の賃借料、広告宣伝費、通信交通費、事務用消耗品費、支払利子、使用人の給料、保険料、電気・ガス・水道料等で、会社成立後営業開始時までに支出した開業準備のための費用をいう。出典:実務対応報告第 19 号繰延資産の会計処理に関する当面の取扱い

開業費は、開業準備のための費用ですから、事務所の敷金礼金や賃借料、HPや広告等の宣伝費なども開業費とすることができます。たとえば、広告等を打ちだすためには、紙面ベースの広告を印刷するためにもプリンターなど備品が必要になります。こうした備品費も開業費として計上することができます。また、下記のようなもの開業費として計上が可能です。

(1)事務用品や消耗品代
(2)チェア・デスク代
(3)ガソリン代
(4)加湿器や空気清浄機代
(5)観葉植物などのインテリア代

このように、開業準備のために必要な支出で、業務上適切な理由があって購入されたものであれば、加湿器や空気清浄機等も開業費として計上することができます。

開業費の会計処理

開業費は、原則として、支出時に費用(営業外費用)として処理することになっています。ただし、開業費を繰延資産に計上することができます。この場合には、開業のときから 5 年以内のその効果の及ぶ期間にわたって、定額法により償却する必要があります。

開業費は、開業準備前に事業が軌道にのっていない状況で費用計上しますと、収益とバランスがとれないので、開業年度以降の年度の収益に影響するように、一旦会計上、資産(繰延資産)計上とし、その後償却という形をとって費用化するという考え方が認められています。

なお、「開業のとき」には、その営業の一部を開業したときも含みます。また、開業費については、創立費とは異なり、販売費及び一般管理費として処理することも認められています。

開業準備活動は、通常の営業活動ではありません。したがって、開業準備のために要した費用は原則として、営業外費用として処理することになっています。ただし、この費用は、営業活動と密接であること及び実務の便宜を考慮して、販売費及び一般管理費(支出時に費用として処理する場合のほか、繰延資産に計上した場合の償却額を含む。)として処理することができることとなっています。

開業費の範囲については、開業までに支出した一切の費用を含むものとする考え方もありますが、開業準備のために直接支出したとは認められない費用については、その効果が将来にわたって発現することが明確ではないものが含まれている可能性があります。このため、開業費は、開業準備のために直接支出したものに限ることが適当であるとされています。

開業費にならないものとしては、敷金等や10万円以上するPCや車両等の固定資産として取り扱われるものや仕入れとして売上原価を構成する商品等や経常的に発生する経費は、開業費という取扱いはしません。開業費として認められるのはいつまでに支払ったものかについて明文規定が存在しないので、開業のために支出した費用は何年前のものでも開業費にすることができるように解釈もできます。しかしながら、通常は遡っても数年程度と考えられ、その根拠となる費用の証拠を残す必要があることに注意が必要です。

まとめ: 創立費と開業費の取り扱いに注意!

創立費と開業費は、費用処理するか、繰延資産として資産計上することになります。費用処理する場合と、繰延資産として資産計上する場合とで、その後の会計処理の方法が異なります。費用処理した場合には、その年度の費用が増加することを意味するので、利益が少なくなってしまうかもしれません。そのような場合には、繰延資産として資産計上した方が有利な場合もあります。

一般的に費用は支払った(もしくは対応する)事業年度の損金の額に算入されることになります。しかし創立費または開業費として認められると、いったん支出額は資産として計上され、その後の任意の事業年度の損金の額に算入することが可能となります。すなわち、設立後何年かの赤字期間については費用化せずに資産として計上したままにしておいて、その後黒字化した事業年度に、資産を取り崩して損金計上することで節税メリットを受けることができます。したがって、創立費や開業費については、自社の戦略にもとづいて会計処理の方法を考えることが重要です。

この記事を書いたライター

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