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海外資本・国際展開で必須の知識「外資規制」とは

HUPRO 編集部
海外資本・国際展開で必須の知識「外資規制」とは

「外資規制」とは、外国の資本が国内に投資する際の法律に基づく規制のことです。海外からの投資を求める場合は、日本の外資規制を理解しておく必要があり、逆に海外へ投資しようとする場合はその国の外資規制を知らなければなりません。今回は、日本の外資規制の概要や取り組みについて解説します。

外資規制とは

日本を含む世界の各国では、自国の資源の保持や産業保護などを理由に、外国人や外国企業からの投資に制限を設けている場合があります。これが「外資規制」です。

海外からの投資を一切受け付けない、いわゆる「鎖国」状態にすれば、その国は他国から資源や資産・財産を買い占められることはないかもしれません。国際的な利益を得ることができなくなってしまいます。そこで、対外取引が自由に行われることを前提に、自国の利益を損なわない範囲で管理・調整を行うために「外資規制」を設けているのです。

このような背景があるため「外資規制」は、国によって異なります。

日本における外資規制

日本における外資規制は、国家の安全保障、公の秩序の維持および公衆の安全などを目的として設けられています。

(1)外為法関連

外為法(「外国為替及び外国貿易法」)は、わが国と外国との間の資金や財(モノ)・サービスの移動などの対外取引や、居住者間の外貨建て取引に適用される法律です。

外為法の目的は、対外取引に対し必要最小限の管理・調整を行い、対外取引の正常な発展やわが国または国際社会の安全の維持等を促すことにより、国際収支の均衡と通貨の安定を図り、さらにはわが国経済の健全な発展に寄与することです。

出典:日本銀行 公表資料・広報活動 「外為法とは何ですか?」

外為法では、外国の投資家が日本企業の株式を取得する場合、事前の届出や、事後報告を義務づけています。現在は、持ち株比率で1%以上の株式を購入する場合、事前届出が必要です。対象業種は・農林水産業・鉱業・石油業・皮革及び皮革製品製造業・航空運輸業・安全保障に関連する業種に加え、半導体メモリーなどIT(情報技術)関連業種も含まれます。

さらに、海外投資家がすでに出資した日本企業について、役員選任の提案や重要な事業の売却など経営に影響をあたえる行為を行う場合も、事前届出が必要です。仮に、政府が「安全保障上の問題」があると判断すれば、その決定を差し止めできます。

(2)個別の業法ごとの、外国人または外国企業による国内企業への投資制限

個別業法による外資規制とは、一定の産業において法律の範囲で外資を制限する手法です。
対象となる法律は以下のとおり。

鉱業法

日本国民又は日本国法人でない限り、鉱業権者となることを禁止しています。

日本電信電話株式会社等に関する法律(NTT法)

「外国人等議決権割合」が3分の1以上になることを禁止し、外国人が役員になることも禁止しています。

電波法

外国人、外国人が代表を務める法人、外国人が役員の3分の1以上を占める法人、外国人が議決権の3分の1以上を占める法人には、無線局免許状を与えないことを定めています。さらにこの基準は、地上TV、BS、110度CS、AM、FM、短波などの「基幹放送」用の無線局にはより厳しく、5分の1が適用されます。

放送法

テレビやラジオの放送事業者、これらを傘下に持つ放送持ち株会社の株式について、外国資本の議決権比率を20%未満と定めています。

船舶法

日本船舶は、役員の2/3以上を日本国民にする必要があります。

航空法

外国人、外国人が代表を務める法人、外国人が役員の3分の1以上を占める法人、外国人が議決権の3分の1以上を占める法人に該当する者が所有する航空機は、登録することができません。また、航空運送事業の許可を受けることもできません。

貨物利用運送事業法

外国人、外国人が代表を務める法人、外国人が役員の3分の1以上を占める法人、外国人が議決権の3分の1以上を占める法人は、第一種貨物利用運送事業の登録、第二種貨物利用運送事業の許可を受けることはできません。

外資規制違反の場合はどうなるの?

外資規制違反の場合はどうなるの?

もし、外資規制に違反した場合は、登録・免許・許可など、法律に基づいて行っている事業が停止される恐れがあります。

最近では、東北新社の認定取り消しがニュースを騒がせました。衛星基幹放送の認定を2017年に総務省から受けた時点で、外資規制で定められた20%を超えていたのです。認定時点で基準違反していたため、免許取り消しも病むなしとされました。

対して、フジテレビや日本放送を擁するフジ・メディア・ホールディングスも外資規制違反の期間があったと報道があったのも記憶に新しいニュースではないでしょうか。2012~2014年の間に、20%を超えていたというのです。放送免許を持っているのは子会社であり、親会社であるHDの過去の違反ということで、免許取り消しや停波になる恐れは低いと見られています。

日本の外資規制は実はまだまだ甘く、アメリカでは過去に行われた投資であっても大統領令で遡って解消させることも可能です。中国では自動車生産、レアアースの採掘などの定められた分野に一切外資は参入できません。

外資規制の背景には、国家の戦略が絡みます。日本における外資規制を把握することももちろんですが、国際的に事業を展開する場合には、相手国の外資規制についても通じる必要があるでしょう。

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