M&Aは、企業の合併や買収を総称した名称です。そんなM&AをサポートするM&A業界は、高年収が実現できる業界として知られています。今回はM&A業界の年収がどのくらいなのかから、年収が高くなる理由とあわせて、M&A業界への転職事情や転職する際のポイントをご紹介させて頂きます。
M&A業界は高年収が実現できる業界として知られていますが、業界内の様々な事業形態の中でも一般的に思い浮かぶのは、M&A仲介会社でしょう。
今回は、直近の調査でM&A仲介会社を中心に年収TOP5に選ばれた企業について、それぞれの平均年収を見ていきます。ちなみに、日本の2023年の正社員の年収は414万円ですので、それとの比較をしながら確認してみてください。
1位となったM&Aキャピタルパートナーズは2005年に設立され、2013年に上場したM&A仲介会社です。東京本社および大阪オフィスの2拠点でサービスを展開しています。
M&Aキャピタルパートナーズの平均年収は3161.3万円であり、2位までと大きな差がつく形となりました。
高年収である理由としては、売り手・買い手企業の双方を一人のアドバイザーが担当する形式が挙げられます。案件の発掘からクロージングまで一気通貫で担当するため、成約した際の一人当たりの売上額が高くなり、その結果固定給にプラスされるインセンティブが高額になるため、平均年収も高くなる仕組みになっています。
フリーハン・ローキー(旧:GCA株式会社)は2004年に設立された東証一部上場企業であり、M&A仲介ではなくFA(ファイナンシャル・アドバイザリー)を行う会社です。
2021年まで完全独立系のM&Aファームでしたが、アメリカの投資銀行であるフーリハン・ローキーがTOB(株式公開買い付け)を行い、2022年に社名を変更しています。
フーリハン・ローキーは明確な給与体系の基準を公開していませんが、インセンティブ制度で高額な年収を実現するM&A仲介会社とは違い、役職や年次を挙げて昇格していくことで基本給が上がり、そこに賞与が加算される設計といわれています。
有価証券報告書等の利益から推定されるフーリハン・ローキーの平均年収は2,063万円となります。
ストライクは1997年に設立され、2017年に上場したM&A仲介・M&Aアドバイザリー企業です。東京に本社を置き、他にも計7拠点を国内に持っています。専門性の高いM&A仲介サービスはもちろん、オンライン上でのマッチングや情報収集が可能なM&A市場SMARTを提供しており、時代の変化に柔軟に対応している会社です。
ストライクの平均年収は1438.2万円です。
他のM&A仲介会社と同様に、給与体系の中でインセンティブ制度の割合が高いため、成約に応じて高い収入を実現することができます。
日本M&Aセンターは1991年に創業され、2006年に上場したM&A仲介会社です。東京本社以外にも西日本支社(大阪)、中部支社(名古屋)、九州支店(福岡)など国内全6支社、海外にもシンガポールやベトナムなどアジア圏内に計5つの現地法人を展開しています。M&A仲介会社の中でもトップクラスのネットワーク数を持ち、金融機関や士業事務所との連携を通じて圧倒的な成約実績を誇ります。
そんな日本M&Aセンターの平均年収は1243.4万円です。
前年度の成果を反映して定められた目標の予算を達成することでインセンティブが得られる制度が給与体系の特徴といえます。
フロンティア・マネジメントは2007年に設立され、2018年に上場したM&Aアドバイザリーおよび経営コンサルを行う会社です。東京本社を含む国内全4拠点に加え、シンガポール、ニューヨーク、パリにも支店を構えています。
フロンティア・マネジメントの平均年収は1257.2万円です。
給与体系の特徴として、賞与はありますがインセンティブはほとんどなく、基本給が高い企業である点が挙げられます。アソシエイトクラスでも年収800万円程度が保証されています。
出典:M&A業界平均年収ランキング/SalesNow DB
日本の平均年収ランキングを見ても、M&A業界の年収が高いことがわかります。東洋経済オンラインによると、堂々の1位は上場企業平均年収ランキングにおいて、9年連続で1位を取り続けているM&Aキャピタルパートナーズです。
出典:平均年収「全国トップ500社」最新ランキング
ご紹介した企業の平均年収と日本全体の平均年収を比較すると、圧倒的にM&A業界の平均年収が高いことが分かったのではないでしょうか?今回ご紹介したのはTOP5の企業ですが、M&A業界自体がトップクラスの年収が出る業界なのです。
ここではなぜそのような傾向にあるのかについて解説します。
M&A業界は特に2000年以降、市場の拡大が続いています。その要因の一つに日本企業の後継者不足による売り手企業の増加があります。そのような企業を救うための社会貢献性も相まって、買い手企業も積極的にM&Aを行っているため、案件数自体も増えているのです。直近ではコロナ禍からの景気回復の勢いもあり、日本企業のM&Aの件数は2022年に過去最高の4,304件を記録しています。
このように一層ニーズが高まっているM&A業界の成長は著しいため、伸びた売上を社員の年収にも反映できるのです。
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M&A業界のビジネスモデル自体の収益性が高いのも高年収の要因の一つです。
M&Aのサポートをするにあたっては、クライアントからの依頼からM&Aの完了まで幅広い専門的な業務が求められますので、その分M&Aの案件一件ごとに高額な報酬を受け取ります。また、企業の売買という高額な取引であるため、一つの案件で数十億円以上の規模になることもあり、少数の成約でも大きな利益を生むことができます。
一方で、それらは担当者の経験や専門的な知識や行動などによって行うものであり、かかる費用はそれほど高くありません。ですので、報酬と費用の差分だけを見ると収益性は高く、高い成功報酬の多くを従業員への報酬に投じることが可能なビジネスモデルのため、高年収を実現することができます。
M&A業界はインセンティブ制度を採用している企業が多く、これによって年収を上げることができます。
インセンティブ制度とは営業成績に応じて、給与への上乗せ金額を決めていく制度のことであり、案件ごとの単価が高いM&A業界では、その上乗せ金額も大きいのです。
M&A業界は基本給はそれほど高くないですが、経験関係なく実績を積んだ分だけインセンティブ制度で稼げるといえるので、転職1,2年目から1,000万円以上の年収がもらえる人や、経験を積み5,000万円以上稼ぐ人もいます。
ここからは、M&A業界の中でも大手企業の年収モデルをそれぞれご紹介します。
企業によって細かい報酬体系は異なるため、実現したい年収に合った報酬体系を採用している会社を選ぶことが重要です。
上述の通り、M&A業界の中でも屈指の高年収を誇るM&Aキャピタルパートナーズでは、基本給にインセンティブと決算賞与が加わった年収体系となっています。
インセンティブと決算賞与の割合が非常に大きく、実力次第では20代で1億円の年収を実現している方もいますが、案件を成立させることができなければ高い報酬を得られることができません。
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ストライクの年収体系は、M&A業務未経験者の場合、基本給400~1,000万円に加えて、上限のないインセンティブが合わさった体系となっています。
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日本M&Aセンターの年収体系は、基本給400~1,000万円に上限のないインセンティブが加わった体系となっています。
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平均年収は公開されていませんが、年収モデルは基本給にインセンティブを加えた体系になっています。
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平均年収は公開されていませんが、求人情報では出来高による変動も含めて600~5,000万円程となっており、在籍3年以上となると基本給500~800万円にインセンティブが加わる年収体系になりそうです。
高い年収体系や業界全体の成長率から、M&A業界は転職市場でも高い注目を集めています。
そんな人気のM&A業界への転職事情についてみていきましょう。
近年のM&A件数増加に伴い、M&A業界では積極的に採用活動を行っている傾向があります。M&A業界の企業数(M&A支援機関登録の登録会社数)を見ても、5年で2.6倍と増加傾向が続いており、即戦力となる中途採用に力を入れる会社が増えることが予想されます。
さらに、最近では後継者不足問題に対するM&Aだけでなく、医療や介護、製造など業界に特化したM&Aを行う会社も増えており、特定の分野の専門的な知識・経験を持つ人材に対する採用活動も積極的に行われています。
M&A業界で働きたい人にとって、採用意欲の高い今が絶好のタイミングであるといえるでしょう。
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M&A業界への転職は、業界未経験者でも十分可能です。
ただし、人気があるだけに倍率は高い傾向にあります。新卒の場合はポテンシャル採用となりますので、これまでの経験や経歴をうまくアピールする必要がありますが、中途採用の場合は、さらに前職での経験や資格などが重要になってきます。
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未経験でM&A業界へ転職する際に、特に重視されている経験やスキルについて詳しく解説します。未経験からM&A業界への転職を決断する際の目安にしてみてください。
ファイナンス領域での経験がなくても、メーカーや商社、MR、IT、保険、コンサルティングなどといった業種での営業職出身だと有利に働きます。
M&Aにおいては、売り手・買い手企業の双方が納得できる交渉を行う必要があるため、営業スキル、つまり経営者層との折衝経験が重視されています。実際にM&A業界では未経験の場合、採用要項に法人営業経験が記載されていることも多く、事業会社や金融機関などで法人営業の経験がある人材は、M&A業界でも評価されやすいといえます。
M&Aに直接かかわっていなくてもファイナンス関連の仕事をしていた経験は一定数求められています。具体的には銀行や証券会社などの金融機関、会計事務所、企業の財務職などが当てはまります。
M&Aのプロセスの一つである企業評価などにおいては、数字的に企業を分析する力は不可欠のため、公認会計士などの専門的な資格を持っていなくてもファイナンス領域での勤務経験があれば高く評価されます。
ファイナンス領域の職種の経験が求められてるのと同様、それに関わる資格である公認会計士や税理士を所持していると経験がなくても相応の知識を有しているとみなされ、選考で優遇されることが多いです。ただし、上記の経験の方が評価はされやすい傾向にあります。
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M&A業界は高年収を実現できるだけでなく、キャリアの幅を広げることもできるため、転職市場でも人気が高くなっていますが、その職務の難易度から求められるレベルや条件も高くなっています。
次の3つのポイントを押さえながら、有利に転職活動を進めましょう。
M&A業界への転職を成功させるために、まずは評価されるスキルを身につけたり、求められる経験を積める職場で働くのも1つの方法です。
上述の通り、M&A業界では特に営業やファイナンス領域での経験が評価されるため、事業会社や金融業界で経験を積むことで即戦力として採用されやすくなるでしょう。また、M&Aの業務を行うにあたり必須な資格はありませんが、会計や財務、税務などの関連する資格はM&Aに必要なファイナンス知識があることの証明になるため、取得していれば有利に転職活動を進めることができるでしょう。
M&A業務未経験者の場合は、特に若いうちに転職活動を始めることも重要です。
上述の通り、M&A業界は中途採用も積極的に行っていますが、特に第二新卒と呼ばれる20代前半~30代前半までの人材の採用を意欲的に行っています。それ以降は、高い成績を誇る営業経験者やM&Aに関する実務経験者を即戦力として採用する傾向があるため、若いうちに転職活動を始めることで未経験であっても採用される可能性が高くなります。
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さらに、M&A業界に特化した転職エージェントにおいては、金融機関や士業バックグランドを持つ人材の転職支援実績を多く有しているため、企業として一定の選考に係るナレッジや企業とのパイプラインを有しており、転職に関するリアルな情報提供が可能です。
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