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役員給与取り決めの注意点とは?増減する場合は注意が必要!

HUPRO 編集部
役員給与取り決めの注意点とは?増減する場合は注意が必要!

経理を担当されている方なら、なじみが深い「役員給与」ですが、一般的には、事務処理する際、すでに役員給与の額面は固定されていることが多いのではないでしょうか。役員給与の額は変更することが可能なのです。今回は、この役員給与について、増減する場合においての注意点を解説していきます。

役員給与とは?

一般的には、役員報酬とも呼ばれています。役員給与とは、経営陣に対する報酬を指します。法人の取締役や監査役といった役員がそれにあたります。
この役員給与ですが、注意すべき点は、①定期同額給与②事前確定届出給与③利益連動給与に該当しないものは損金の額に算入されないというところです。
上記3種の給与体系であれば、損金算入(※)されるということになります。

定期同額給与とは?

支給時期が一定期間、1か月以下であること、支給額については、同一事業年度が同額であることが必要です。

事前確定届出給与とは?

役員が執り行う職務について、所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づいて支給する給与であり、ほかの2種の給与体系である定期同額給与及び利益連動給与を除きます。届出期限までに納税地の所轄税務署長にその事前確定届出給与に関する定めの内容に関する届出をしているものを言います。

利益連動給与とは?

同族会社以外の法人が業務を執行する役員に対して支給する給与で、一定の算式に基づき計算され、その事業年度の利益に関する数値が確定した後1か月以内に支払われ、または支払われる見込みであるものを言います。

※損金算入するについて、少しご説明させていただきます。
まず、「損金経理」について説明していくとわかりやすいです。
法人税法第2条第25号において、「法人がその確定した決算において費用又は損失として経理することをいう」と定義されています。

株式会社では、株主総会の承認等により確定した決算において計上した金額が損金として認められます。確定した決算において費用又は損失計上していない場合、損金算入限度額に余裕があったとしても、申告調整により損金の額とすることは認められません。

次に「損金の額に算入する」とはどういうことかというと、法人の所得の金額の計算上減算処理することがわかりますね。確定した決算において費用又は損失として経理(損金経理)していなくても、申告調整によって損金の額に算入する方法も含まれる点が、さきほどの損金経理とは異なります。

役員給与を増減する上での注意点とは?

この項目では、役員給与を増減することでの注意点を、増額、減額に分けてご説明していきましょう。

役員給与を増額することの注意点とは?

《増額には定められた時期があり、株主総会での決議が必要!》
業績が良くなったから即、役員給与を増額しよう!というわけにはいきません。「税務上役員給与は自由に増減できない」このポイントは大きな注意点といえます。増額できるタイミングはいつかというと、以下の2つとなります。

・事業年度開始日から3カ月以内
・職性上の地位が向上(取締役から代表取締役に就任した等)した場合

この場合の手続きは、株主総会等の決議を経て行われます。
届出などもありますあら、株主総会議事録等を残して保管しておかなければいけません。

役員給与を減額することの注意点とは?

役員給与の減額に関しても、増額と同様いつでも自由にできません。
増額の場合と同様の
・事業年度開始から3カ月以内
・職性上の地位の変更(増額と逆であることに注意!)
の以上2点で減額が認められていて、

減額の場合はさらにもう一つ、法人の経営状況が著しく悪化したときに業績悪化改定事由に該当する場合 も減額することが可能です。

業績悪化改定事由に該当とは?この判断が少し難しい!

業績悪化改定事由に該当するのはどんな場合なのでしょうか。
経営状況が著しく悪化したことなどやむを得ず役員給与を減額せざるを得ない事情があることになるのですが、法人の一時的な資金繰りの都合や単に業績目標値に達しなかったことなどは含まれないことになっています。(法人税法基本通達9-2-13参照)。

単に「赤字である」「資金繰りの都合がつかず1回支給を飛ばす」ということは、業績悪化改定事由には、該当しないのです。
国税庁のホームページでは、経営の状況の悪化により従業員の賞与を一律カットせざるを得ない状況にある場合などでなければ該当しないため注意が必要です。

役員給与の増減に関する注意点まとめ

自分の会社の業績にともない、その利益から支払うからと言って、役員給与の増減に関して増減を決めるタイミング、時期などを社内で自由に決めることはできず、会社法、法人税法といった法律に基づいて決める必要があり、株主総会での決議も必要だということがお分かりいただけたのではないでしょうか。経理担当だけで対応しきれない場合などは、顧問税理士に相談されることをお勧めします。税金面、税法面でも的確なアドバイスを受けることができます。

この記事を書いたライター

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