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税理士法人の評価制度は?現役公認会計士が解説!

公認会計士 大国光大
税理士法人の評価制度は?現役公認会計士が解説!

税理士法人の求人票を見ると、「○○万円~○○万円」と幅が広いことに気づくと思います。未経験や他に職歴が無い場合は低く、経験などスキルが高いと認められれば高い給与になることは想像できると思います。そこで今回は税理士法人の評価制度はどのようになっているのかを現役公認会計士が解説します。

税理士法人では有資格者が評価される

税理士法人において、職員の大きな違いは税理士関連の資格を有しているか否かとなります。同等の能力を持っている二人がいた場合、資格を持っている方が評価される傾向にあります。というのも、能力は相対評価で行われますが、資格の有無は誰がどう見ても評価が変わらないからです。

よって、税理士法人の給与体系には「資格手当」というものが存在することが多いです。
例えば、税理士1科目合格するごとに月額1万円増額、税理士全科目合格でプラスいくら、といったものや、簿記1級や2級合格でも手当を付けていることが多いです。反対に、簿記や税理士科目合格をしていないと基本給が少なく設定してある場合もあるので面接の時に聞いてみると良いでしょう。

税理士法人では顧客数に応じて評価される?

意外と多いのが、顧客開拓手当となります。これは、自身で顧客を受注した場合、その2割や3割等売上に応じて加算される手当です。

税理士法人は基本顧客や銀行からの紹介やインターネット等で集客を行いますが、税理士を変更することはなかなかない為、営業に力を入れたいのは当然のことです。職員が税理士法人に代わって営業をしてくれるのであれば、その分手当を増やすというのはよくあることです。

ただし、小規模から中堅の事務所でこの制度が採られていることは多いですが、大規模法人となるとどちらかというと賞与などの査定に加味する傾向があるように思えます。

また、個人的に開拓していなくても担当顧客の顧問報酬の数パーセントを給与に上乗せする事務所もあります。これは顧問報酬が高ければ高いほど専門性が求められる為であり、また、負荷に応じた報酬体系が採れるからとも言えます。

税理士法人で最も評価される項目は?

今までの評価項目はどちらかというと資格や顧客数という誰にでもわかる評価でした。しかし、一般企業のように税理士法人でもその人の能力等を評価する制度はあります。

最も評価される項目としてはミスのない申告書の作成能力でしょう。税理士法人では担当者が作った申告書を2重3重に他の税理士等がチェックを行うことが多いです。そこでミスが見つかっても評価は厳しくなりますが、税務調査でミスが見つかるとクライアントに迷惑がかかるためさらに厳しいものとなります。よって、ミスのない申告書というのは評価の上で必須でしょう。

しかし、意外と評価されるのがクライアントとのコミュニケーション能力です。コミュニケーションがうまくできていないと顧問契約を解約されたり、担当を変えてほしいとクレームが来たりします。すると他の担当者にそのクライアントを任せなくてはならないため、人繰りが難しくなってしまいます。逆に顧客定着率の良い担当者であれば評価は上がることでしょう。これは、税理士も顧客の奪い合いになってきている為、少しでも顧問契約が継続で来ている担当者を評価しようという流れもあります。

税理士法人では部門によって評価が異なる?

最近の税理士法人では法人対応をする部門以外にも、医業専門の部門、資産税専門の部門など、専門分野に特化した部門がある場合が多いです。
法人対応の部門はどちらかというと収益が安定しており、医業専門は利益率が高く、資産税専門部門は波があるものの高単価であることが多くなっています。

よって、儲かっている部門については給与や賞与が厚くなり、そうでない部門との差をつけていることがあります。特に最近は資産税の案件も増えてきている一方で知識のある担当者が少ない為重宝されやすい傾向にあります。そのため、他の部門よりも資産税部門の方が評価されるということも往々にしてあります。

税理士法人では立場によって評価が変わる?

今までは担当者としてのお話をしてきました。これが部門長など担当者を管理する立場になったらどのように評価されるのでしょうか。
資産税など特殊な部門では人手不足ということもありますが、通常の部門でも人手は不足している傾向にあります。よって、管理者としては退職者をあまり出さないこともポイントの一つとされます。その管理者が悪くないにしても、やはり離職率が高い部署というのはマイナスに見られがちです。

また、部門での独立採算制をとっている税理士法人もあります。その場合はその部門で計上した利益額に応じて査定されることがあります。その際は、いかに残業を減らして効率的に運用できたか、顧客をどれだけ獲得できたか等総合的に評価されます。

税理士法人では、評価制度は一般事業会社に比べて遅れていることも多い為、明文化された評価制度がない場合も多いですが、資格を取るなり顧客を取るなり自身で給与アップできる可能性があるためむしろチャンスは色々なところにあると思います。

この記事を書いたライター

公認会計士、税理士。監査法人東海会計社代表社員、税理士法人クレサス代表社員。大学時代に公認会計士旧二次試験に合格後大手監査法人に就職し、27歳で独立開業。国際会計と株式公開支援が専門。セミナーや大学で講師を務めたり書籍の出版も行っている。
カテゴリ:転職・業界動向

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