士業・管理部門のキャリアコラムが集う場所|HUPRO MAGAZINE
士業・管理部門のキャリアコラムが集う場所

カテゴリ

会議費と交際費の違いとは?飲食費と勘定科目の選択について解説します。

岡山 由佳
会議費と交際費の違いとは?飲食費と勘定科目の選択について解説します。

社外の人が1人でもいると交際費?お酒が提供されたら交際費?
飲食費を支払った場合の勘定科目の選択についてこのような質問を耳にしますが、これらの判断方法はいずれも不正解であり、明確な基準が設けられています。
今回は飲食費の勘定科目として使われる会議費と交際費の違いについて解説していきます。

会議費と交際費を区分する必要性

社外の人と事業の目的で行われる飲食は、会議費か交際費のいずれかに該当をします。
どちらの勘定科目の選択をしても販売管理費に該当をしますが、交際費には損金に算入を出来る限度額が定められています。
損金に算入することが出来る、ということは、法人税の計算基礎となる法人の課税所得を減額することの出来る支出として認められる、ということであり、その上限を超えた交際費は支出はされるものの、法人の課税所得を減額させることは出来ません。
よって上限以内の交際費の計上が法人税の計算のためには有効であり、飲食費は出来る限り会議費に該当をさせることが望ましいです。

損金不算入については下記コラムをご参照ください。
損金不算入とは?法人税額の算出には欠かせないルールをわかりやすく解説

交際費の損金算入限度額

交際費の額は、原則として、その全額が損金不算入とされていますが、損金不算入額の計算に当たっては、区分に応じ、一定の措置が設けられています。

期末の資本金の額又は出資金の額が1億円以下である等の法人

①平成25年3月31日以前に開始する事業年度の場合
損金不算入額は、交際費等の額のうち、600万円に当該事業年度の月数を乗じ、これを12で除して計算した金額に達するまでの金額の10%に相当する金額と、交際費等の額が旧定額控除限度額に達するまでの金額を超える場合におけるその超える部分の金額の合計額となります。
②平成25年4月1日から平成26年3月31日までの間に開始する事業年度の場合
損金不算入額は、前記1の交際費等の額のうち、800万円に当該事業年度の月数を乗じ、これを12で除して計算した金額に達するまでの金額を超える部分の金額となります。
③平成26年4月1日以後に開始する事業年度
損金不算入額は、交際費等の額のうち、飲食その他これに類する行為のために要する費用の50%に相当する金額を超える部分の金額又は上記②の金額を超える部分の金額となります。

上記以外の法人

①平成25年4月1日から平成26年3月31日までの間に開始する事業年度の場合
損金不算入額は、支出する交際費等の額の全額となります。
②平成26年4月1日以後に開始する事業年度の場合
損金不算入額は、交際費等の額のうち、飲食その他これに類する行為のために要する費用の50%に相当する金額を超える部分の金額となります。
③令和2年4月1日以後に開始する事業年度の場合
期末の資本金の額又は出資金の額が100億円をこえる法人の損金不算入額は、支出する交際費等の額の全額となります。それ以外の法人の損金不算入額は、交際費等の額のうち、飲食その他これに類する行為のために要する費用の50%に相当する金額を超える部分の金額となります。

出典:国税庁 交際費等の範囲と損金不算入額の計算

飲食費とは

会議費と交際費の区分が必要となる飲食費とは、下記のものをいいます。
①自己の従業員等が得意先等を接待して飲食するための飲食代
②飲食等のために支払うテーブルチャージ料やサービス料等
③飲食等のために支払う会場費
④得意先等の業務の遂行や行事の開催に際して、弁当の差入れを行うための弁当代
⑤飲食店等での飲食後、その飲食店等で提供されている飲食物の持ち帰りに要する土産代

出典:国税庁 飲食費の範囲

飲食費における会議費と交際費の区分の判断

社外の人と事業の目的で行われる飲食は、原則として交際費として計上をしますが、1人当たり 5,000 円以下の飲食費は会議費に該当をすることが出来ます。
この5,000円という金額基準には、飲食等のために要する費用としては、飲食物そのものの価額のみならず、飲食等のためにテーブルチャージ料やサービス料等として飲食店等に対して直接支払うものが含まれます。
1次会と2次会等の連続した飲食等の行為が行われた場合においては、それぞれの行為が単独で行われていると認められるときそれぞれの行為に係る飲食費ごとに1人当たり 5,000 円以下であるかどうかの判定を行います。しかし名目上1次会、2次会と分かれていても、実質的に同一の飲食店等で行われた飲食等であるにもかかわらず、その飲食等のために要する費用として支出する金額を分割して支払っていると認められる場合には、その行為の全体に係る飲食費を基礎として1人当たり 5,000 円以下であるかどうかの判定を行うことになります。
また、1人当たり 5,000 円以下の飲食費は、その金額要件を満たすことのみならず、下記の事項を記載した書類を社内にて保管する必要があります。
①その飲食等のあった年月日
②その飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名又は名称及びその関係
③その飲食等に参加した者の数
④その費用の金額並びにその飲食店、料理店等の名称及びその所在地
⑤その他参考となるべき事項

まとめ

上記のように、飲食費は出来る限り会議費として計上することが望ましいですが、会議費して計上をするには金額及び書類の保存の要件があります。
しかし要件を満たし適切な会計処理を行えるようにすると、交際費に係る法人税の節税をすることが出来ます。ご参考になさってください。

この記事を書いたライター

大学在学中より会計業界に携わり10年超の会計事務所、税理士法人での実務経験を経て独立。各業種の会計業務に関するフォローのみならず、ライターとして税務、労務、経理の話題を中心に、書籍やWebサイトに数多くの寄稿を行う等の様々な活躍をしている。
カテゴリ:コラム・学び

おすすめの記事