人々に夢を与えてくれる宝くじですが、高額当選をした場合、すべての当選金額が手元に渡るのでしょうか。それとも、税金がかかって、結局はそれほど手元に残らないというような状況になってしまうのでしょうか。今回は、宝くじに当選した場合の税金の支払い義務について解説していきます。
宝くじに当選をしても、税金はかかりません。確定申告をする必要もありません。なぜなら、日本の宝くじの運営母体は自治体であり、宝くじを購入することですでに税金を支払っているからです。宝くじに当選をしてさらに税金を支払うと、二重に課税されることになってしまいます。
ちなみに、もしも宝くじに所得税がかかるとしたら、3億円の所得税は45%となり、住民税の10%もあわせ、控除額があるとしても、1億3千万円ほどしか手元に残らなくなってしまいます。
宝くじはなぜ非課税なのでしょうか。それは宝くじを購入しているときに税金を徴収されているからです。
まず、宝くじを販売できるのが、全国都道府県と20指定都市の地方自治体だけと法律で定められています。この地方自治体が総理大臣の許可を得て、銀行などに販売事務を委託することで、宝くじは販売されています。
宝くじで販売された売上金のうち、約46%は当選金となり、約38%が収益金となって都道府県や指定都市に収められています。残りの売上は、印刷費や広告費などに充てられています。この自治体に収められた収益金が税収とみなされるため、購入した時点で税金を収めたことになっています。当選者に税金をかけてしまうと二重課税となってしまうため、「当選金付証票法」に基づいて当選金には税金はかかっていません。
「宝くじ」といっても種類はさまざまで、すべて合わせて4種類あります。4種類の宝くじをひとつずつみていきましょう。
1年のうち5回発売される宝くじです。2~3月のバレンタインジャンボ、4~5月のドリームジャンボ、7~8月のサマージャンボ、10月のハロウィンジャンボ、11~12月の年末ジャンボがあります。CMでもよく流れるので、知らない人はいないでしょう。これら5回は、いずれも1等が当選すれば1億円を超えるような高額な宝くじとなっています。
事前に組や番号などが印刷されている発売時期のある宝くじで、全国で発売される宝くじを「全国くじ」といいます。一方、限定された地域で発売される宝くじを「ブロックくじ」といいます。ブロックくじには、「関東・中部・東北自治宝くじ(東京は除く)」「東京都宝くじ」「近畿宝くじ(三重は除く)」「西日本宝くじ」「地域医療等振興自治宝くじ(発売元は栃木)」があります。
名前の通り、購入した人が番号を選ぶことができる宝くじです。曜日によって抽選日が決定していることと、売り切れることがないということが特徴といえます。「ロト6」「ナンバーズ3」「ミニロト」などがこれらの宝くじに該当します。
スクラッチくじは、宝くじ売り場で購入をし、その場で削って当選結果がすぐに分かります。発売時期があることや、番号だけではなく絵柄で結果がわかるという点が特徴です。当選した場合は、当選金額により、宝くじ売り場で受け取る事ができる場合もあれば、銀行で受け取る場合もあります。
宝くじの当選金には、税金がかからないと説明しましたが、ある特定の場合は税金がかかってしまうことがあるので、そのケースを説明します。
当選金について贈与税がかかる場合があります。宝くじに当選した人ではなく、お金を受け取った人が、1年間にもらった金額が110万円を超える場合、合計金額に応じて最大55%の贈与税が課されます。
なので、友達や家族と一緒に宝くじを買う時は注意が必要です。この時宝くじに当選して、当選金をもらいに行ったあとに一定金額以上共同購入者に分配してしまうと、贈与税が発生してしまいます。共同購入の税金のかからない方法は次のトピックで取り扱っていますので、ぜひ参考にしてください。
共同購入した当選金を非課税で分配する方法は2つあります。
贈与税は1年間で110万円以上受け取った人に発生する納税義務です。そのため、お金を受け取る額を規定以内に収めれば、税金はかからないということです。なので、当選者が家族3人に100万円ずつ分配しても課税対象にならず、お金を分配できます。
一緒に宝くじを購入したのに、片方だけ税金を取られてしまうのは不公平感を感じてしまいます。それを防ぐため、共同購入者全員で受け取りに行き手続きすると、全員非課税で当選金を受け取り分配することが可能です。ただし先ほど説明した通り、一度1人で当選金を受け取ってしまったら、課税対象となる場合があるので注意しましょう。
宝くじが当選したものの、贈与税がかかるので身内に分けることもせず、そのまま貯金していたとしましょう。その後、この当選した人が亡くなった場合、宝くじの当選金額に対する税金はどうなるのでしょうか。
実は、相続が発生すれば、その貯金がコツコツ貯められたものであろうと、宝くじに当選をして得たものであろうと関係がありません。つまり、他の預貯金と同じように扱われ、相続税が発生するのです。また、本人が死亡するような事態にならなくても、宝くじの当選金を使って車を購入したのであれば、それは自動車税の課税対象になります。また、住宅を購入したのであれば、不動産取得税や固定資産税の対象となります。
このように、宝くじの当選に課税がされないというのは、あくまでも当選した際に課税がされないだけであり、その後のお金の動きに関しては課税対象となりますので、気をつけましょう。
ここまで宝くじの税金についてまとめてきました。実際には税金のルールはとても複雑で、様々なケースがあります。ですので、自分のケースが当てはまらなかったり、不安な点があると思います。税金はとてもシビアで少しでも納税し忘れたりすると、追徴課税を取られる場合があるので、税理士に相談するのをオススメします。
宝くじの当選はみんなの夢です。1度に何百枚も購入する人も珍しくはありませんね。そして、宝くじの当選金の使い道を考えているだけでも楽しい気分になるものです。解説したように、当選金の受け取りに関する税金はかかりませんが、その後のお金の動きには注意が必要です。宝くじで一攫千金を狙っている人は、このような税金面においての知識も得ておき、少しでも損をしない受け取り方法を選択するようにしましょう。