会計に関連する仕事には国家公務員職もあるということを知っていますか?それが会計検査院(ちなみに会計監査院ではありません!)で働くということです。少し前の森友学園の国有地売却をめぐる問題も記憶に新しく、この件で会計検査院というものを知ったという方もいるかと思います。今回はこの会計検査院がどのようなものか、そして難易度はどれくらいなのかということをご紹介します。
会計検査院とはどのような組織なのかというと、政府の財源にかかる収入や支出の決算、財政援助を与えるための補助金等の使い道が適正であるかを調査し、不適切な会計経理が発覚した際にはそれを指摘して、是正や改善を促す役割を持っています。
もう少し簡単に説明すると、国民が国へ納めた税金や国が与えた補助金等が適切に使われているかを検査する、「国のお財布の監督者」のような機関であるということです。ちなみにこの国の収入・支出の決算を毎年会計検査院が検査するという旨は、日本国憲法にも明記されています。
会計検査院の国会や内閣・裁判所とは独立した立場で政府の会計をチェックするという責任を有する組織になります。
会計検査院の意思決定機関である「検査官会議」の指揮監督下に「事務総局」があります。検査官会議に所属する最終的な意思決定をする3人の検査官と、事務総局で働く1200人ほどの検査官で構成されており、実際に検査をするのは後者の1200人の実働部隊です。
ちなみに2019年8月現在は検査官会議所属の3人の検査官のうちひとりは女性です。男性が多めではありますが、女性が入省を目指すことはもちろん、上位の位まで上りつめることも十分にあり得る組織です。
会計検査院の職員は国家公務員です。そのため、国家公務員総合職試験または国家公務員一般職試験を受験し合格することが大前提となり、合格後の官庁訪問を経てやっと採用内定となります。
また、「会計」という言葉から会計検査院の仕事は文系と思われることもありますが、理系分野でも活躍の機会があります。技術系職員といって、工学や理学・情報などの専門知識が生かせる土木系やIT系などの分野で働く機会もあり、技術系職員は具体的には公共工事やIT関係の検査などを担うこともあるようです。この技術系職員は、会計検査院の職員全体の2割ほどを占めています。このことから、文系・理系に限らず会計検査院を目指すことは可能であるといえます。
過去3年間の採用実績を見てみると、会計検査院への採用は国家公務員総合職の場合は約5人から10人に満たない程度。国家公務員一般職の場合は30人弱程度と決して多くはないことが分かります。また、これ以外にも公認会計士の資格を持っている場合も任期付職員として働く道があります。
国家公務員試験は成績が重視されるものの、採用される人物はやはりかなりの高学歴揃いとなっており、東京大学・京都大学はもちろんのこと、有名私立大学や国立大学卒業者が多いです。
あくまでも参考程度ですが、公務員職全体で難易度を比較し、会計検査院がその中でどのあたりにいるのかを見てみましょう。
超高難易度+ | 「財務省」「警察庁」「経済産業省」「外務省」「総務自治省」 |
超難易度 | 「総務省」「文部科学省」「防衛省」「厚生労働省」「会計検査院」 |
高難易度 | 「国土交通省」「環境省」「農林水産省」「国税庁」 |
国家公務員職ということで、会計検査院の難易度はいうまでもなく高めではあり、国家公務員職全体で見ておおよそ中の上〜上級レベルと言えそうです。
会計検査院で働くことを目指す方は、試験に向けて計画的に知識の積み上げを継続するとともに、官庁訪問でしっかりと自己アピールをして存在感を残すことが重要です。