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配当所得とは?確定申告で有利になる?疑問を解消します!

HUPRO 編集部
配当所得とは?確定申告で有利になる?疑問を解消します!

配当所得とは、株式配当金などによって得ることができた所得のことです。もし配当所得を得たのであれば、その年は確定申告をする必要があると考えられます。今回は、配当所得を得た場合の確定申告をする際に欠かせない確定申告の方法や税率、控除についての知識を解説していきます。

配当所得とは何?

配当所得とは、株式の配当金または投資信託の収益分配金によって得ることができた所得のことをいいます。企業や投資信託は、投資をしてもらった見返りとして定期的に自社の利益の一部を「配当金」というかたちで配布しています。そして、この配布されている配当金は配当所得として分類されるのです。配当所得は「インカムゲイン」とも呼ばれます。

配当所得を確定申告する際の3つの方法とは?

配当所得を得た場合には、自ら確定申告をする必要があります。なぜなら、勤務先の会社では個人の配当所得まで管理していないため、把握ができないからです。そのため、年末調整とはまた別に、個人で確定申告が必要となる点はあらかじめ理解しておきましょう。

そしてこの確定申告の方法には「総合課税」「申告分離課税」「申告不要制度」の3つがあります。どの方法で確定申告をするのかについては、個人で自由に選ぶことが可能です。とはいえ、どの方法を選択するかによって、配当所得の課税の仕組みが違ってくるため、慎重に考えるべきだといえます。ただし、上場株式ではない配当所得については「総合課税」または「申告不要制度」のどちらかを選ぶことになるため、注意してください。

総合課税

総合課税とは、他の所得と配当所得を合わせて税額を割り出す方法のことです。所得といっても、配当所得の他にも、給与所得をはじめ事業所得、譲渡所得などのさまざまなものがあります。そして、総合課税により確定申告をする際は、法人または個人が年間で得たこれらの所得をすべて合わせて、そのうえで住民税や所得税を求めることになります。

例えば、ある年の配当所得が50万円であり、譲渡所得が100万円、そして事業所得が700万円だったとしましょう。この場合であれば、50万円+100万円+700万円=850万円が年間の総所得となるため、この850万円に対して税金が課せられるのです。

申告分離課税

申告分離課税とは先ほどの総合課税とは異なり、他の所得と配当所得を切り離して考えて、それぞれで税額を割り出す方法のことをいいます。つまり、所得として配当所得以外に譲渡所得があったとしましょう。この場合は、配当所得は配当所得で計算をし、譲渡所得は譲渡所得で計算をして、個別に住民税や所得税を求めるのです。

一般口座または源泉徴収がされない特別な口座を用いて株式投資をする場合には、基本的には申告分離課税を選びます。また、株式譲渡した際の譲渡所得についても、同じくこの申告分離課税が適用されることになります。ただし、非上場株式の配当に関しては、申告分離課税を選択することはできませんので、気をつけましょう。

申告不要制度

申告不要制度とは、この名前の通り、自分自身で確定申告をする必要がなく、自動的に源泉徴収が行われる制度のことをいいます。例えば、配当所得として10万円を手にいれていたとしても、申告不要制度が選択されていれば、その10万円はすでに源泉徴収されたものなので課税の手続きをする必要がないのです。源泉徴収ありの特別口座を用いて上場株式売買をする場合は、この申告不要制度が該当し確定申告の必要がないので、税金の計算をする手間を省くことができます。

配当所得の申告手続きに関わる税率とは?

今、解説した確定申告の方法のうち、どの方法を選ぶのかによって配当所得の税率も異なります。それぞれの方法と、配当所得の税率についてみていきましょう。

総合課税

総合課税により確定申告をした場合の所得税率は、所得した金額が多ければ税率も高くなるという累進課税が適用されるかたちとなります。一方、住民税率については、一律の10%が課せられます。総合課税の場合、配当所得を含む所得が4,000万円を超えると45.945%という高い税率で税金が課せられるため、所得の額が多い人は選択しない方がいいといえるでしょう。

申告分離課税

申告分離課税により確定申告をした場合の所得税率は15.315%、そして住民税率は5%と一律になっています。住民税率においては総合課税よりも低いので、申告分離課税の方が納税額は少なくて済みます。一方の所得税については、配当所得以外の所得についても考慮して考えるといいでしょう。

申告不要制度

申告不要制度により確定申告をした場合の所得税率は15.315%、住民税率は5%です。つまり、申告分離制度と同じ税率で課税額が求められることになります。

配当所得の控除とは、どのような制度?

配当所得の控除とは、住民税と所得税より配当金の一部を税額控除することができる制度のことをいいます。国内の非上場を含んだ株式や、REITを除いた国内投資信託により得られた配当所得の場合であれば、一定の金額を控除できるのです。ただし、配当所得の控除を適用させるには、確定申告をする際に総合課税を選ぶ必要があります。すでにお伝えしている通り、総合課税は累進課税により税額が求められるため、納税額が多くなるケースもみられます。とはいえ、一般的には、所得を合算した金額がおよそ695万円以下であれば、総合課税を選択したほうが有利であると考えられているので、事前に計算をしてみるといいでしょう。

まとめ

配当所得の確定申告についての知識をまとめました。配当所得を確定申告する際には、自分で有利な方法を選んで手続きをすることができます。つまり、少しでも納税額が少ない方法を選ぶことが可能なのです。賢い選択で配当所得の確定申告を済ませましょう。

この記事を書いたライター

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