会計freeeやMFクラウドといったクラウド会計ソフトの普及率が高まってきています。クラウド会計の画面で指示通りに入力していけば、月次決算→毎年の申告までが簡単にできるといった仕組みが構築されています。今回はこのようなクラウド会計が税理士や会計事務所に与える影響について解説していきます。
クラウド会計の導入により、税理士にとって、従来の帳簿記帳業務や帳簿書類の整理業務はなくなります。クラウド会計では従来会計事務所が時間をかけてしていた雑務をクライアントがすることで、仕事が無くなるのではないかと思われがちですが、違います。
当然、書類の整理等の雑務に対する報酬は無くなりますが、その削減できた時間で新たな業務に着手することができるのです。
①会計監査→クライアントが入力したデータが会計・税法的に適正かをチェック
②資金繰り→データを元に資金繰りの状態を把握し、クライアントに資金繰りを提案
③決算予測→クライアントと相談し決算までの数値の予測
④財務分析→現状の経営状態が正常であるかの確認
従来の会計事務所ではルーティーン業務で時間が追われていましたので、小さいクライアントや特別報酬を頂いていないクライアントまでは上記までのサービスはされていない税理士が多かったのではないでしょうか。
クラウド会計の導入により、従来のルーティーン業務は削減し、その分の報酬も減少傾向にありますが、反対に新たな高度業務の拡大で報酬を拡大できることが期待されています。
従来の会計事務所ではクライアントの資料やデータ等、さまざまな情報のやり取りをしているため、データの保管やプライバシー保護の観点から多くの問題が生じていました。
これらの問題はクラウド会計の導入により解決できます。クラウド会計ではクライアント側でデータの入力をし、資料の保管もするため、資料を会計事務所に持ち込む必要もありません。
また、会計freeeの機能ではクライアントがスキャンで取り込んだ資料を税理士がPCの画面で仕訳orチェックといった作業も可能ですので、税理士側が資料を紛失したり、他のクライアントとの資料が混在するといった恐れがないのです。
このようにクラウド会計は会計事務所の煩雑な作業を明確化し、クライアントとの責任の所在を明確にすることが可能となるのです。
特に年代が若いクライアントは、経理費用を節約したいと考える傾向もあり、ネット情報からクラウド会計の導入を考える傾向が高いと考えられています。「クラウド会計専門税理士」は検索すればヒットはするものの、全体的にそこまで普及していないので、宣伝文句になると思います。
従来の記帳業務をメインとしたクライアントを100件担当するよりも、クラウド会計をメインとしたクライアントを100件担当する方が時間的にも削減できますので、クラウド会計導入に先立ち、新たな業務サービスを展開することが今後は可能となっていきます。
個人事業主や小規模な法人で年間にそれほど取引もなく、経理作業が簡単なクライアントの中で、経営助言や資金繰りといったサービスを必要としていないクライアントも多いと思います。クラウド会計普及前は、このようなクライアントも年間●●万円と税理士に報酬を支払って帳簿、確定申告を依頼していたと思います。
このようなクライアントは税理士の必要性を考え、クラウド会計に移行していく傾向が強くなると考えられます。税理士の中でもこのようなクライアントを多く持っている税理士は、クライアント離れが危惧されますので、新たなクライアントの獲得と新たなサービスの提供を先手する必要があると思います。
クラウド会計の導入により、業界での値下げ競争が激化し、従来の税務申告書の作成や帳簿書類の作成といった税理士業務では報酬が確保しづらくなっていきます。
今までのように税法に精通した税理士や、税務署で勤続した実績のある税理士といった肩書きが重宝されるのではなく、ITに強い税理士や融資に強い税理士、マーケティングに強い税理士など、より付加価値のある税理士がクラウド会計を活用してサービスの提供をできるかが今後の会計業界の発展につながってくるのではないでしょうか。
上記で説明したように、クラウド会計が税理士に与える影響はメリットだけではなく、デメリットもあると考えらます。
メリットの部分を大いに活用し、今後の税理士としての活躍の場を広げていきましょう。
クラウド会計に関連した記事を他にも公開しています。よろしければご一読ください。
<関連記事>
士業・管理部門に特化!専門エージェントにキャリアについてご相談を希望の方はこちら:最速転職HUPRO無料AI転職診断
空き時間にスマホで自分にあった求人を探したい方はこちら:最速転職HUPRO
まずは LINE@ でキャリアや求人について簡単なご相談を希望の方はこちら:LINE@最速転職サポート窓口