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会計事務所の業種とは?産業分類に基づいて解説します!

Hupro Magazine編集部 川辺
会計事務所の業種とは?産業分類に基づいて解説します!

会計事務所の業種を答えられるという方は、かなり少ないかもしれません。そもそも会計事務所の仕事内容も分からないという方もいらっしゃるでしょう。そこで今回は、会計事務所の業種が何に当てはまるのかを、政府の公的統計である本標準産業分に基づいて詳しく解説し、実際にどのように調べるのかについてもご紹介します。

会計事務所の業種は?

政府統計のポータルサイトであるe-Statにおいて、日本標準産業分類というものを確認することができます。こちらで「会計事務所」の業種を調べると以下のように表示されます。

一言で結論を申し上げるのであれば、会計事務所の業種は「サービス業」です。より正確には、「学術研究、専門・技術サービス業」の中の「専門サービス業(他に分類されないもの)」に分類されています。

大分類 学術研究、専門・技術サービス業(分類コード:L)
中分類 専門サービス業(他に分類されないもの)(分類コード:72)
小分類 公認会計士事務所、税理士事務所(分類コード:724)

サービス業と聞くと、飲食店や衣料品店などが思い浮かびやすいと思いますが、実は会計事務所もそれらと同じ分類に該当するのです。とはいえ各分類の項目名は一般的に使わることが少ないため、理解しづらいでしょう。
そこで次の章では、各項目の詳細について解説します。
e-Stat 政府統計の総合窓口│日本標準産業分類

会計事務所の属する産業分類について

ここでは、会計事務所の業種である各分類の詳細について、解説していきます。

【大分類】学術研究、専門・技術サービス業とは

「学術研究、専門・技術サービス業」について、e-Statでは以下のように説明されています。

この大分類には、主として学術的研究などを行う事業所、個人又は事業所に対して専門的な知識・技術を提供する事業所で他に分類されないサービスを提供する事業所及び広告に係る総合的なサービスを提供する事業所が分類される。

本分類には次のようなサービスを提供する事業所が含まれる。
① 学術的研究、試験、開発研究などを行う事業所。
② 法律、財務及び会計などに関する事務や相談、デザイン、文芸・芸術作品の創作、経営戦略など専門的な知識サービスを提供する事業所。
③ 依頼人のために、広告に係る総合的なサービスを提供する事業所。
④ 獣医学的サービス、土木建築に関する設計や相談のサービス、商品検査、計量証明、写真制作などの専門的な技術サービスを提供する事業所。

この説明から、サービス業の中でも専門的な知識や技術を要する仕事(事業所)がこの大分類に該当しているということが分かります。上記の①~④の中だと、会計事務所は②の中に含まれることになるでしょう。

【中分類】専門サービス業(他に分類されないもの)とは

「専門サービス業(他に分類されないもの)」について、e-Statでは以下のように説明されています。

この中分類には、法務に関する事務、助言、相談、その他の法律的サービス、財務及び会計に関する監査、調査、相談のサービス、税務に関する書類の作成、相談のサービス及び他に分類されない自由業的、専門的な知識サービスを提供する事業所が分類される。

「学術研究、専門・技術サービス業」の他の中分類のいずれにも該当しない仕事がここに割り当てられるので、多様な仕事が含まれていますが、「財務及び会計に関する監査、調査、相談のサービス、税務に関する書類の作成」が会計事務所を示しているといえます。

【小分類】公認会計士事務所、税理士事務所とは

e-Statには小分類の詳細な説明はありませんが、「会計事務所」というワードと完全に一致した文言ではないため、やや違和感のある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
これらの言葉の違いについて、表にまとめました。

公認会計士事務所 公認会計士が代表を務める事業所で、主に監査業務などを行う
税理士事務所 税理士が代表を務める事業所で、主に税務代理や税務相談などを行う
会計事務所 公認会計士事務所や税理士事務所などの総称・俗称

会計事務所や税理士事務所の違い等については、以下の関連コラムで詳しく解説しておりますので、併せてご参照ください。
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業種を理解するメリット

自身の仕事について「○○業です。」と話す場合において、その業種名が分類に基づいた正しいものである必要はありません。
むしろ分類に基づいて正確に「サービス業です。」と伝えるよりも、「会計事務所です。」と話した方が何の仕事に従事をしているか相手に伝わりやすい場面の方が、業種で答えるよりも圧倒的に多いでしょう。
そんな中で業種の理解は、どのようなことに役立つのでしょうか?

公的な書類への記入で迷わない

公的な書類への記載を求められた場合や、税務に関わる部分では消費税の簡易課税計算においてみなし仕入率適用する際の業種の選択、上場をしていない株式の相続税評価額の計算をする際の業種の選択をする場合には、正しい業種の把握が必要です。

業務の具体的なイメージがつきやすくなる

特に会計事務所での業務経験がないものの就職や転職を考えているという方にとって、会計事務所がどんな仕事をしているのか、イメージしづらい部分もあるでしょう。「サービス業」に属するだけあってクライアントのお客様とコミュニケーションを取る機会も頻繁な会計事務所ですが、事務所の中でルーティンワークを繰り返すイメージを持ちながら求職活動をしている方も多いかもしれません。
それだけに、そういったイメージを払拭するためにも、「サービス業」とはどんなものかも含め、理解することが大切になります。

業種の調べ方

政府統計の総合窓口であるe-Statでの業種の確認方法は非常に簡単です。
以下のリンクより「日本標準産業分類」を検索オプションとした画面でキーワードを検索することで、ヒットした項目の中から該当の情報を確認できます。
日本標準産業分類

「会計事務所」もそうでしたが、決して項目名と全く一致していなくても結果が表示されます。例えば「野球」と調べると、スポーツ等興行団やスポーツ用衣服など、関連した項目が表示されます。
残念ながら企業単位では調べられないものの、各企業のHP内には基本的に事業内容というものが示されています。それをもとに検索をかけてみるとよいでしょう。

ちなみに、大分類の業種は以下のように区分されています。

A農業、林業
B漁業
C鉱業、採石業、砂利採取業
D建設業
E製造業
F電気・ガス・熱供給・水道業
G情報通信業
H運輸業、郵便業
I卸売業、小売業
J金融業、保険業
K不動産業、物品賃貸業
L学術研究、専門・技術サービス業
M宿泊業、飲食サービス業
N生活関連サービス業、娯楽業
O教育、学習支援業
P医療、福祉
Q複合サービス事業
Rサービス業(他に分類されるものを除く)
S公務(他に分類されるものを除く)
T分類不能の産業

まとめ

今回は、会計事務所の業種について、そしてそもそもの業種の確認方法について解説しました。
会計事務所がサービス業に該当することを意外に感じる人も多いかもしれませんが、ただ数字と向き合っている仕事では無く、正しい数字を算出することを当然としながらも、会計事務所を必要とする顧客に親身に寄り添うことが必要となる仕事です。

会計事務所について詳しく無い方にとっては理解のし難い仕事内容であるかもしれませんが、顧客の要望に耳を傾け、出来る限りその要望に応えていく仕事であるという点では、サービス業として想起されやすい仕事と大差ないといえるのです。
そんな会計事務所の仕事内容についてご興味いただけるようでしたら下記コラムをご参照ください。また、会計事務所で働いてみたいという方は、ぜひ士業・管理部門特化の転職エージェントである当社ヒュープロをご活用いただければ幸いです。
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この記事を書いたライター

株式会社ヒュープロにてオウンドメディア「Hupro Magazine」のディレクション、セミナーの運営を担当。年間500本以上の記事を監修しています。アドバイザーとして多くのご登録者様から伺った転職に際しての悩みや不安、疑問を解消する記事をご覧いただけるよう、日々奮闘中です!士業や管理部門、FASなどの業界に就職・転職をご検討されている方は、ぜひ業界特化の転職エージェントである、「ヒュープロ」をご活用ください!
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