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前払金ってなに?考え方から仕訳の方法まで詳しく解説!

HUPRO 編集部
前払金ってなに?考え方から仕訳の方法まで詳しく解説!

会計上、資産として分類される前払金。なぜお金を払っているのに資産に分類されるのでしょうか?初学者の人はお金を払っているのだから費用と思うかも知れません。そこでこの記事では前払金についてその考え方から仕訳の方法まで丁寧に解説していきます。この記事を読むことで前払金の考え方と仕訳ができるようになります。

前払金ってなに?

前払金とは、商品を受け取る前、あるいはまだサービスを受けていない時点で支払った代金のことを言います。一般に、内金や手付金などと呼ばれているものは、会計上は前払金ということになります。商品を仕入れる際に、商品代金の一部を先に支払うことがあります。このお金を「手付金」または「内金」と言いますが、これらは「前払金」として扱われる代表例です。前渡金と呼ばれることもあります。

日常のお買い物でも車など高額の商品の支払をするときに、内金を前払いすることがあるかと思います。それと同じです。

財務諸表等規則15条11号では、前払金を前渡金として次のように定義しています。

「前渡金は商品、原材料等の購入のための前渡金をいう。ただし、破産債権、再生債権、更生債権その他これらに準ずる債権で一年内に回収されないことが明らかなものを除く」

したがって、前払金(前渡金)は、商品、原材料等の購入のため前渡金ということになります。

一般に、先に商品の受け渡しを行い、代金の支払いや受取りは後日に行う場合は「売掛金」や「買掛金」で処理します。それとは逆に、先に代金の支払いや受取りを行い、後日に商品の受け渡しを行う場合は前払金勘定および前受金勘定で処理をすることになります。したがって、前払金とは、事前に支払ったお金ということになります。そして後日、商品の受け渡しを行ったときに「仕入」や「売上」を計上することになります。
商品を受け取る前にその代金を支払った場合は前払金(まえばらいきん)勘定で処理します。「前払金」は将来商品を受け取ることができるという権利なので資産となります。仕入れする人は、この内金を支払うことにより、後日に商品を受け取る権利(プラスの財産)を得ることになりますから、会計上は資産とするわけです。「お金を払うのになんで資産の増加なの?」と間違いやすいところなので注意が必要です。

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額
前払金 1,000円 現金 1,000円

そして、商品やサービスが提供された時に費用へ振り替える、という流れになります。そのため、以下のように仕訳を行います。

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額
仕入 1,500円 前払金 1,000円
現金 500円

前払金と前払費用との違い

前払金と間違えやすい勘定科目として、前払費用があります。前払費用は、前払金とは違い、継続したサービスを受ける際に、まだサービスを受けていない部分への支払いのことを言います。お金を事前に支払うという意味では同じですが、前払金の場合は、継続してサービスを受けるわけではありません。

企業会計原則では、前払費用を次のように定義しています。

「前払費用は、一定の契約に従い、継続して役務の提供を受ける場合、いまだ提供されていない役務に対し支払われた対価をいう。従って、このような役務に対する対価は、時間の経過とともに次期以降の費用となるものであるから、これを当期の損益計算から除去するとともに貸借対照表の資産の部に計上しなければならない。また、前払費用は、かかる役務提供契約以外の契約等による前払金とは区別しなければならない。」

このように、継続してサービスを受ける取引であり、かつ、まだその継続して提供されるはずのサービスを受けていない部分の支払いをしている場合には、前払費用として会計上処理することになります。

たとえば、システムメンテナンスの料金を向こう1年分支払った、向こう3か月分の家賃を支払った、保険料を翌1年分支払ったといった取引は、継続してサービスの提供を受けることを前提とした取引です。システムメンテナンスであれば、継続して毎月のようにメンテナンスサービスを受けるでしょうし、保険料を翌1年分事前に支払うのは、その保険料で万が一に備えるためということでしょうし、家賃を事前に支払うのも、そこに住み続けるためということになります。したがって、これらの支払いについては、継続したサービスの提供を前提としていて、まだサービスを受けていない部分への対価として支払いを行っているということになりますから、前払金ではなく、前払費用として処理することになります。

前払費用は、当然ながらそれをそのまま売却することはできません。つまり前払費用には、換金可能性がないことになります。

一方で、たとえば、車の購入契約をした時点で、100万円の手付金を支払っているとします。しかし、この時点で納車はされていません。したがって、「役務の提供」は受けていないことになります。ではいつ役務の提供を受けるのかといえば、実際に会社が役務を受けるのは実際に納車された時点ということになります。したがって、このようなときには、前払費用ではなく前払金という勘定科目を使用します。

まとめ: 前払金は会計上は資産!

前払金は、会計初心者からすると、なぜお金を払っているのに資産を計上するのかが少しわかりにくい勘定科目です。前払金を支払うことによって、後日商品を受け取る権利を手に入れることになるので会計上は資産ということになります。この点をきちんと理解しておくことが大切です。

この記事を書いたライター

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