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有価証券売却損とは?わかりやすく解説します!

HUPRO 編集部
有価証券売却損とは?わかりやすく解説します!

株式投資にはリスクがあることから、値上がりすることもあれば、値下がりすることもあります。株式を売却した際に、損が出たときには有価証券売却損として、収益が出たときには、有価証券売却益として処理しなければなりません。この記事では、有価証券の売却時の処理方法について詳しく解説します。

有価証券売却損とは

「有価証券売却益(損)」とは、会社が長期目的で保有している有価証券を売却した場合に、売却価額と帳簿価額の差額を処理する勘定科目です。有価証券の売却価額が帳簿価額を上回る場合は貸方差額として「有価証券売却益」が、売却価額が帳簿価額を下回る場合は借方差額として「有価証券売却損」が計上されます。

有価証券売却損の会計処理

会計上、有価証券とは金融商品取引法(2条1項)に列挙された証券を言います。
国債証券・地方債証券・株式・社債券・投資信託などはすべて有価証券です。株券や債券の他、小切手や手形、デパートの商品券やコンサートのチケット、鉄道の乗車券、図書券なども有価証券に分類されますが、会計上の有価証券は限定的に列挙されているので注意が必要です。

会計上の有価証券の中でも代表的なものが株式です。株式は日々、取引所などで売買され、その値段が変動します。買ったときより高い値段で売ることができれば売却益を得ることができますが、買った値段より低い値段で売ってしまった場合には売却損が出てしまうことになります。たとえば、500円で買った株式を600円で売った場合、100円の損失が出ることになり、500円で買った株式を400円で売った場合、100円の収益が出ることになります。損失が出たときには、有価証券売却損という勘定科目で会計処理を行い、収益が出たときには、有価証券売却益という勘定科目で会計処理を行うことになります。

有価証券は会計上保有目的によって以下の区分され、主に決算時点の時価と帳簿価額の差である評価差額の処理方法が区分によって異なります。

(1) 売買目的有価証券
(2) 満期保有目的の債券
(3) 子会社株式及び関連会社株式
(4) その他有価証券

いずれの区分でも保有していた有価証券を売却することによって得られる利益・損失(帳簿価額と売却価額の差)は、損益計算書に計上されます。

この4つの区分のなかで、有価証券売却損益が関わるのは、売買目的有価証券とその他有価証券の2つです。満期保有目的の債権や子会社株式及び関連会社株式は、基本的に値上がりを期待して保有している有価証券ではないことから、売却することは前提となっていません。

売買目的有価証券とは、時価の変動により利益を得ることを目的として保有する有価証券をいう。売買目的有価証券については、時価をもって貸借対照表価額とし、評価差額は当期の損益(営業外損益)として処理します。その他有価証券とは、売買目的有価証券、満期保有目的の債券、子会社株式及び関連会社株式以外の有価証券をいい、これには長期的な価格の変動を利用して利益を得る目的の株式、取引先等の業務上の関係から長期保有する有価証券等が含まれています。

株式(有価証券)を売却した時の仕訳については、株式を売却することによって株式という資産が減少しますので、有価証券(株式は有価証券などの勘定科目を使って仕訳します)の減少として仕訳することになります。一方で、有価証券を売却することによって、対価として受け取った現金など資産が増加しますので、現金などの資産を受け取った金額分だけ増加させます。有価証券と売却代金との差額について、有価証券の価格の方が高ければ有価証券売却損が出ます。有価証券の価格の方が低ければ、有価証券売却益が出ることになります。有価証券を売却した時には、その売却原価を計算して売却損益を確定しなければなりません。

たとえば、当期に100,000円で購入した株式を現金90,000円で売却した時の仕訳を有価証券と現金について考えると次のように仕訳を行います。

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額
現金 90,000円 有価証券 100,000円
差額 10,000円

100,000円の株式を売却することにより、有価証券という資産が100,000円減少しますので、右側(貸方)に「有価証券100,000円」と記入してください。同時に、代金として受け取った現金という資産が90,000円増加していますので左側(借方)は「現金90,000円」となっています。上記の例では株式(有価証券)の減少額が100,000円、現金の増加額が90,000円と仕訳していますので、借方と貸方とに10,000円の差額が発生しています。この差額の部分が左側にあるとき、有価証券売却損が出ていることになります。一方で、差額の部分が右側にあるときには、有価証券売却益が出ていることになります。

まとめ: 有価証券売却損をしっかり理解しよう!

まとめ: 有価証券売却損をしっかり理解しよう!

有価証券売却損という勘定科目が出て来るのは、基本的には、売買目的有価証券、その他有価証券に区分される有価証券だけです。子会社株式及び関連会社株式や満期保有目的債権については、基本的に売却することを前提としていない有価証券であるため、売却損益が出てくることはありません。そのため、まずは、有価証券がどの区分にあるのかをきちんと確認することが大切です。そのうえで、有価証券を売却して、もともと購入した価格よりも低い価格で有価証券を売却した場合には、有価証券を売却した結果として損が出ることから、有価証券売却損という勘定科目が使われます。一方で、有価証券売却益という勘定科目が出てくるのは、もともと購入した価格よりも高い値段で有価証券を売却した場合です。

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