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不渡り手形とは?不渡り手形の請求ができなかった時はどうする?

HUPRO 編集部
不渡り手形とは?不渡り手形の請求ができなかった時はどうする?

不渡り手形とは、どのようなものを指しているのでしょうか。また、銀行を通して期日までに支払人に請求をしても拒絶されてしまった場合は、どうなるのでしょう。不渡り手形と小切手の違いや不渡り手形の仕訳について、さらに自社が不渡りを出した場合に会社がどういった制裁を受けることになるのかに関してもまとめました。

そもそも不渡り手形とは?

企業と企業で取引をした際、その日や直近で支払いが行えない場合があります。そのような場合、支払いが難しい企業は、相手先に支払期日を告げて「手形」というかたちで仮支払いを済ませ、事業の展開へ進みます。ところが、この支払期日を迎えて銀行へ行っても、手形に記載されている金銭を受け取れない場合があるのです。そして、このような手形のことを「不渡り手形」といいます。

ちなみに、単に「不渡り手形」という場合には、手形の記載期日に不備があるなどの手続きのミスにより金銭を受け取れないケースを指し、これは正確には「0号不渡り」といいます。

他には「1号不渡り」があり、これは支払い企業が所有する当座預金の残高不足によって受け取りができない手形のことを指します。また「2号不渡り」とは、詐欺や偽造がされており、契約不履行により受け取りができない手形のことを呼びます。

不渡りを起こしてしまった「振出人」である会社はどうなる?

相手先に渡した手形が不渡りとなった場合は、相手企業から問い合わせに対応することになります。もし、「0号不渡り」であれば手形を再発行することで解決できますが、「2号不渡り」は論外ですし「1号不渡り」の場合は、相手企業が資金を集めることから始めてもらわなければいけません。

このようなケースが起きた場合、相手企業は手形交換所より「不渡り報告」に掲載され、すべての金融機関へ不渡りを起こしたという事実が通知されます。これは分かりやすくいえば「この企業から渡された手形は不渡りになる可能性が高いので注意してください」といった警告ともいえます。金融機関はこの事態を把握しているため、借入などにおいて厳しい対応がとられてしまうようになるでしょう。

さらに、この1度目の不渡りを起こしてしまった日より半年以内に2度目の不渡りを起こした場合は、今度は「取引停止報告」に掲載されることとなります。つまり、完全に信用がなくなったということです。金融機関の当座預金取引や融資は2年間も取引ができなくなります。これでは資金繰りも悪化し、それによって企業の経営にも大きく影響するため、倒産へ近づく可能性も高いと考えられるでしょう。

不渡手形を所有している「受取人」である会社はどのように対応すればいい?

手形が不渡り手形だということが判明しても、その手形の効力はなくなるわけではありません。とはいえ、相手企業の不渡り発生理由が経営の悪化である場合は、手形に記載された全額を回収することは困難かもしれません。不渡りを起こした企業と何度も交渉し、分割での支払いにしてもらうなど、長期に渡ったとしても全額を受け取れるように進めるしかないのです。

不渡手形を所有している「受取人」の会社の仕訳は?

本来であれば手形に記載された金額を受け取ることができる予定だったのですから、受取人である企業にとっては予想外の出来事です。そのため、確定申告や税務調査の際に、不渡り手形を受け取ってしまったことを証明するためにも、仕訳にきちんと記載しておく必要があります。

不渡手形を仕訳する場合

不渡り手形といっても、3つのケースが考えられます。3つのケースとは、以下の通りです。

・相手企業より受け取った手形が不渡手形となってしまった場合
・裏書をした手形が不渡手形となってしまい、償還請求を受けた場合
・裏書をした手形が不渡手形となってしまい、償還請求を受けて支払いを済ませた場合

このような場合には、不渡り手形勘定とし、受取手形とは区別できるようにして仕訳をします。まず、借方に諸費用を含めた不渡手形を記入し、次に、貸方に受取手形の正確な金額と諸費用で支払った現金を1つずつ記入します。なお、もしも後日、不渡り手形に記載されている金額を回収することができた際や、不渡手形を発行した相手先企業が倒産してしまって回収できなかった際には、これらの金額を貸方に記入することになります。

手形と小切手の違いは?

では最後に、混同しやすい手形と小切手の違いについて解説しましょう。小切手も、手形と同じように企業同士の取引に用いられる有価証券です。手形も小切手も銀行に持参し、銀行は企業の当座預金より現金を引き出すことで、記載された金額の金銭を受け取ることができるようになります。

ただ、どのタイミングで現金として受け取ることができるかという点は、手形と小切手で異なります。手形は、手形に記載された期日にならなければ現金化ができないのに対し、小切手はこのような期日がないので、極端にいえば小切手を受け取った時点で現金化が可能なのです。相手企業の資金繰りで不安感を抱いている場合は、手形ではなく小切手でのやりとりを求める方が賢明といえます。

まとめ

企業と企業で取引をすることは多々あるでしょう。その際、手形での取引を提示された場合には、即答はせずに相手企業の経営状況を把握したうえで返答した方が良いといえます。相手企業が支払えないと分かっていながら手形を発行しているようであれば問題ですが、経営が悪化しているために手形というかたちで対応せざるを得ないという状況はよくあることです。不渡り手形で悩むことがないよう、確認は怠らないことが重要ですので、注意しましょう。

この記事を書いたライター

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