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社労士試験合格への勉強時間は?学習方法のコツもご紹介!

HUPRO 編集部
社労士試験合格への勉強時間は?学習方法のコツもご紹介!

社労士(社会保険労務士)とは、労総社会保険諸法令に基づく申請書等の作成・提出の代行や、労務管理その他の労働・社会保険に関する相談や指導を行う専門職です。企業活動に必須の要素である「人・物・金」の3要素のうち、「人」を対象とする業務を担当するため、社会的責任の重い仕事です。

社労士になるには社労士試験に合格することが求められます。ただし、社労士試験は毎年1回しか実施されない国家試験であること、働き方改革などの影響で資格の重要性が見直されて近年注目を集める人気資格であることから、合格への難易度が高いという特徴があります。

そこで、この記事では、これから社労士試験を突破してキャリアアップを目指す受験生のために、社労士試験に必要な勉強時間や効率的な学習方法のコツなどをわかりやすく解説します。社労士試験に合格すれば今後のキャリアの選択肢が飛躍的に広がるので、どうぞ最後まで参考にしてください!

社会保険労務士(社労士)試験合格に必要な勉強時間

まずは、社労士試験合格に必要な時間、勉強期間、いつから受験勉強を開始すればよいのかという点について説明します。受験勉強のカリキュラムを考えるにあたって重要なポイントにもなるので、ご確認ください。

社労士試験の勉強時間

一般的に、社労士試験に合格するために必要な勉強時間は1,000時間ほどと言われています。もちろん、受験生それぞれによって事情は異なるので、中には500時間程度で合格する人もいれば、逆に1,000時間以上勉強時間を要する人もいます。

過去に労務関係の仕事をしていたかどうか、法律の勉強に慣れているかどうか、勉強に集中できる環境が整っているかどうか、社会人として働きながら社労士試験合格を目指しているかどうかなど、受験生ごとに置かれている状況に違いがあり、スタートラインが異なるからです。
そのため未経験で法律について学んだことのない人は1000時間以上の時間がかかってしまう可能性が高いでしょう。

重要なのは、一般的に1,000時間を要するとされる社労士試験に対して、いかに自分の置かれた状況に応じて適切な形で勉強を進めて立ち向かえるかという点です。働きながら、家事・育児と並行しながら、未経験からでも充分合格を狙える試験なので、厳しい状況にあるからといって悲観的になる必要はありません。

社労士試験の勉強期間

社労士試験は、年に1回、8月下旬の日曜日(第4日曜日)に実施されます。具体的な試験日程は、毎年4月30日までに官報で公告されますが、いずれにしても毎年1回しか受験のチャンスがないという点を押さえておきましょう。

社労士試験は、司法書士試験・司法試験・税理士試験などの資格試験と比較すると難易度は低いとされているものの、広範な試験範囲・低い合格率(約4%~6%の水準)という事情があるので、決して合格しやすい簡単な資格試験ではありません。

したがって、社労士試験に1年の勉強期間で合格できれば理想的ですが、実際には、何度も何年も社労士試験に挑戦して合格を果たすという受験生も少なくはありません。
社労士試験の受験回数の平均は4回ほどになります。これは全員が4回ほど受験しているというよりは5回以上受験をしている人が一定数いるため高くなっていると考えた方が良いでしょう。

ただし、一方で、1年の受験期間で合格を果たしている受験生も少なくないという実情も見落とすべきではありません。つまり、社労士試験とは、正しく効率的に勉強方法を確立すれば、1年の勉強期間で合格できる試験なのです。

社労士試験の1日の勉強時間

社労士試験合格のために必要な1日の勉強時間について考えてみましょう。

社労士試験が8月下旬に実施されることを踏まえて、多くの資格予備校・通信スクールなどでは、前年の10月頃を目安に社労士試験講座がスタートします。これらの講座は、社労士試験までに必要な勉強期間のモデルケースを10ヶ月に設定していることが分かります。

社労士試験合格に必要な勉強時間:約1,000時間
社労士試験合格に必要な勉強期間:約10ヶ月

この条件を前提にすると、社労士試験合格のために必要な日々の勉強時間は以下のように計算できます。

・10ヶ月で必要な勉強時間:約1,000時間
・1ヶ月で必要な勉強時間:約100時間
・1週間で必要な勉強時間:約25時間
1日で必要な勉強時間:約3時間~4時間程度

いかがでしょうか?
10ヶ月での合格を目指す場合、1日に3〜4時間の勉強時間が必要になってくる計算になります。
例えば、現在無職の方や大学生の方にとっては、毎日3時間~4時間の勉強時間を作ることは難しくないかもしれません。しかし、社会人として働きながら、家事や育児と両立しながら、毎日3時間~4時間の勉強時間を確保するのは簡単なことではないはずです。

したがって、勉強時間を1年と設定して社労士試験の合格を目指すのなら、なんとか毎日3時間~4時間の勉強時間を確保するか、効率の良い勉強方法を見つけて合格に必要な総勉強時間を短縮するのがポイントとなります。

社労士試験の勉強の開始時期

必要な勉強時間・勉強期間などを考慮すると、基本的には、できるだけ早い段階で社労士試験の受験勉強を開始した方がよいということになります。

試験が年に1回しかないため、8月下旬の試験を目指す場合、前年の9月から勉強を開始すれば丸1年、12か月を受験勉強に使えます。それに対して、1月から勉強を開始すれば8ヶ月しか使えないので、その分毎日必要な勉強時間も増えることになります。5月から勉強を開始すればたったの4ヶ月で試験本番が到来するので、むしろ翌年の社労士試験合格を見据えた方が無難と言えるでしょう。

このように、社労士試験の受験勉強を始めるタイミングによって、試験までに用意できる勉強期間に差が生じることになります。したがって、どの年度の社労士試験合格を目指すにしても、勉強をスタートするのは早い方がよいと考えられます。

社会保険労務士(社労士)試験に効率良く合格するための勉強方法

社会保険労務士(社労士)試験に効率良く合格するための勉強方法

一般的には1,000時間の勉強時間が必要とされる社労士試験ですが、効率的な勉強方法や効果的な学習を進めることができれば、合格に必要な総勉強時間は短縮できます。

大切なのは、社労士試験の勉強時間を1,000時間確保することではなく、社労士試験に合格できるだけの実力を身につけることだと言う点を忘れないでください。

社労士試験は7割正解を目指す試験

実は、社労士試験は満点を目指す試験ではなく、7割正解できる実力だけで充分です。それは、社労士試験の合格基準点から明らかです。

社労士試験は、選択式試験と択一式の2種類の試験方式で合否が決せられ、それぞれについて合格基準点が設定されます。

選択肢式試験は、配点40点満点のうち合格基準点は約23点短答式試験は、配点70点満点のうち合格基準点は約45点と設定されています(実施年度によって合格基準点が上下する点にご注意ください)。

つまり、合格基準点をクリアするためには7割の正答率で充分なので、「すべての設問に正解しなければいけない」というプレッシャーを感じる必要はありません。

したがって、自分が使える勉強時間を均等に全範囲に注力するのではなく、ポイントを絞って全範囲を見渡す俯瞰的な視点が重要です。

社労士試験は苦手科目を作ってはいけない試験

ただし、社労士試験では、科目ごとに合格基準点が設けられている点に注意が必要です。社労士試験の試験科目はかなり広範で、これら各科目について、合格基準点が設定されています。各科目とそれぞれの合格基準点については下記の画像をご覧ください。

出典:社会保険労務士試験オフィシャルサイト

出典:厚生労働省:社会保険労務士試験の合格基準の考え方について

つまり、全科目合計の合格基準点をクリアしたとしても、1つの科目につき合格基準点をクリアできないだけで不合格と扱われるのです。

したがって、社労士試験は満点を目指す必要はないものの、苦手科目を作ってはいけない試験と考えられます。自分が使える勉強時間を満遍なく全科目に振り分けて合格を目指しましょう。

資格予備校の社労士試験ノウハウを活用する

自分が使える勉強時間を効率的に振り分けるためには、資格予備校・通信スクールなどを利用するという方法が考えられます。予備校やスクールは、社労士試験合格のためのノウハウや受験勉強で押さえるべきポイントを熟知しているので、提供されるカリキュラムをこなすだけで受験勉強の効率性を担保できるというメリットが得られます。

特に初学者の方は予備校でポイントを絞った勉強をする+自習で復習するといった勉強方法が最短ルートでしょう。

社労士試験で資格予備校等を利用するメリットは以下の通りです。
・実績やノウハウのあるカリキュラムを提供
・疑問点などをすぐに解消、質問
・ライバルの受験生がいるのでモチベーションを維持
・法改正などの最新情報をすぐに手に入れられる

特に、社労士試験では、法改正や運用の変更など、最新の動向に注意を払う必要があります。予備校や通信スクールは業界の最新情報を集めたうえで受験生に提供してくれるので、提供されるカリキュラムをこなすことだけに自分の勉強時間を集中できます。

予備校などが用意してくれる参考書も、過去問の内容を適切に反映した効率性の高いものになっています。社労士試験ではポイントを絞った勉強が大切なので、予備校等の参考書は市販のテキストよりも質が高いと言えるでしょう。

資格予備校の利用にはデメリットもある

社労士試験合格のために資格予備校を利用するのは悪くない選択肢ですが、以下のデメリットがあることは押さえておきましょう。

・独学よりも費用がかかる
・働きながら予備校に通うのは負担が大きい

特に、働きながら社労士試験を目指す場合には、平日仕事が終わってからスクールの授業をこなさなければいけないという事態も生じます。本業で残業が重なったり多忙な日々か続くだけで、復習できないだけでなく、そもそも決まった曜日・時間にスクールを受講することさえ難しくなることもあるでしょう。

結果として、社労士試験を挫折せざるを得なくなる可能性もあるので、資格予備校に通うことに縛られ過ぎるのもリスクが高いと言えます。ご自身の仕事の状況や生活環境を考慮したうえで、予備校等を利用するかを熟考しましょう。

この点から注目されているのが、ネットでスクール形式で講義を受けるタイプの通信教育です。
いずれにしても、受講前後の予習・復習に必要も欠かさず行うことが必要です。

隙間時間で社労士試験の勉強時間を確保

社労士試験の勉強に効率性を求める場合には、隙間時間を見逃さないのもポイントです。

過度に睡眠時間を削って勉強時間を確保するよりも、通勤や通学、昼食時などの隙間時間を活用して復習したり動画をチェックしたりするだけで、勉強の効率は格段に上がります。

社労士試験の受験資格に注意

これから社労士試験を目指す方に注意していただきたいのは、社労士試験の受験資格についてです。というのも、社労士は専門性の高い仕事なので、社労士試験を受験するのにも一定の要件が課されているからです。

一般的な受験資格は以下の通りです。なお、詳細な受験資格は「社会保険労務士試験オフィシャルサイト」をご参考ください。

学歴による受験資格(4年制大学等の卒業、4年制大学で62単位以上の取得等)
実務経験による受験資格(所定の機関や公務員として3年以上の実務経験)
厚生労働大臣が認める国家試験合格による受験資格(司法試験予備試験・行政書士試験など)

これから社労士試験を目指すという受験生が、万が一社労士試験の受験資格を取得していないのなら、社労士試験の勉強時間を確保する前に、社労士試験の受験資格を目指す努力が必要です。

その中でもおすすめなのが、行政書士合格という受験資格です。そもそも行政書士試験は社労士試験と同様に法律を扱う他、合格の難易度がそこまで高くないです。また、行政書士に合格したあとで社労士試験にも合格できれば、ダブルライセンスとして仕事の幅が広がるからです。独立して事務所を構える場合にも、より積極的な業務展開を狙えるので、おすすめです。

まとめ

社会保険労務士(社労士)試験の勉強時間については以上です。

一般的に1,000時間もの勉強時間が必要と言われる社労士試験ですが、効率の良い勉強方法を確立することさえできれば、合格基準点をクリアできる実力はもっと短期間で定着するはずです。受験生ごとに置かれている状況・環境は違うので、ご自身の可能な範囲で勉強時間を確保しつつ、勉強方法の効率性を高めましょう。

社労士試験に合格できれば、今後のキャリアの選択肢が広がります。注目度の高い資格なので、ぜひ積極的にチャレンジしてください!

この記事を書いたライター

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カテゴリ:資格試験

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