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【会計士監修】簿記試験や業務で役立つ!有形固定資産を詳しく解説

公認会計士 大国光大
【会計士監修】簿記試験や業務で役立つ!有形固定資産を詳しく解説

経理として様々な会計処理を行っていく中で、有形固定資産の処理で戸惑う人がいることでしょう。書籍を読んでもわかったような、わからないようなそんな感覚がしますよね。そこで、今回は有形固定資産の会計処理とその概要について解説します。

有形固定資産の種類

有形固定資産とは、①有形、つまり形があるもので、②固定資産、つまり1年を超えて使用が見込まれる資産を言います。
ですので、ソフトウェアは目に見えないので有形ではありませんし、販売するための商品などは通常は1年を超えずに販売されるものなので、固定資産ではありません。

有形固定資産の名称による分類

有形固定資産の勘定科目には主に次のようなものが挙げられます。

建物

事業所、店舗、工場等で基本的には自社で所有しているものを言います

建物付属設備

建物内につけた壁紙や電気設備、ガス設備等、建物以外のもの。賃貸オフィスに後から取り付けられたものはおおよそ建物付属設備になりますが、取り外しが基本的に不可能または難しいものです。

構築物

土地の上に設置されているものです。アスファルト舗装、塀等の移動や撤去が難しいものを言います。

工具器具備品

パソコン、通信機器、検査工具、金型等です。建物付属設備や構築物と間違えやすいですが、工具器具備品は取り外しが簡単なものが多いです。

土地

事務所、工場、店舗等の地面を言います。マンションやリゾート分譲地等にもいくつか土地が含まれています。

リース資産

自社のものではないが、実質自社のものである賃貸資産を言います。車やコピー機等が該当します。ただし、リース契約でも費用処理するものもありますし、中小企業ではリース契約については全て費用処理をしているというところも多いでしょう。

建設仮勘定

建設仮勘定は、例えば建物を建築しているものの未だ完成していないものを言います。例えば1億円の事務所を作っているとして、先に3千万円業者に支払ったとすると、この3千万円が建設管理勘定となります。

有形固定資産の処理方法による分類

有形固定資産は、処理方法によっても分類することができます。

償却資産

償却資産というのは、帳簿価額を減価償却という方法によって徐々に減らしていくものを言います。

例えば300万円で自動車を購入したとして、その300万円は一度に費用として計上するのではなく、税法に定められた年数(例えば6年)で徐々に費用計上していき、これが減価償却費と呼ばれるものです。
償却資産は主に徐々に価値が目減りする資産について適用され、価値が変わらないもしくは上がるものについては適用されません。

非償却資産

非償却資産というのは、帳簿価額がそのまま据え置きのものを言います。

例えば1億円で土地を買ったとしてもその土地の価値は時間と共に減少するわけではないので、10年経っても1億円のまま帳簿に載せておきます。また、電話加入権等も同様に時間の経過とともに価値が減少するわけではないので、償却されずにそのままの価格となります。
これ以外にも骨とう品等が該当しますが、ひとまず土地と電話加入権を覚えておけば大丈夫でしょう。

減耗性資産

この他に、減耗性資産というものがあります。

減耗性資産は、採取すればするほど枯渇していく資源を言います。例えば油田、鉱山、山林などが該当します。
減耗性資産は使うという概念ではなく採取すればするほど価値が減っていくので、採取した分だけ固定資産の価値を減少させる処理が必要となります。

有形固定資産の処理

有形固定資産の処理の流れ

有形固定資産の処理は、大きく次のような流れとなります。
①取得の処理
②減価償却費計上
③除却、売却
④税務上の手続

①有形固定資産の取得

まず、有形固定資産の取得原価を決めます。
取得原価というのは、固定資産を取得した時にいくら支払ったかを表すものです。また、償却性資産であれば、将来どれだけ減価償却を行うかがここで決まります。

基本的には取得原価は支払いに直接充てた金銭を計上しますが、大掛かりな建物の場合は借入の利息をそこに含めることもあります。

②減価償却費の計上

次に、月次もしくは年度末に減価償却費を計算して計上します。
減価償却は税法で定められた方法で行います。定額法であれば毎年一定の金額を、定率法であれば、決められた耐用年数に合った率を毎年かけて計算します。

③除却、売却

除却と売却についてはまた別の記事で詳しく紹介しますが、固定資産を除却したり売却したりすると、そこで帳簿から有形固定資産を消して、除却損や売却損益を計上します。

④税務上の手続

有形固定資産の中でも償却資産については、12月末現在持っている者について、市町村に報告する義務があります。
この報告期限は翌年の1月31日までとなっており、1か月しかないので早めの準備と計算が必要となります。

まとめ

有形固定資産に関しては、取得、減価償却、除却売却、税金計算など様々な手続があります。一つ一つは最初難しく感じるかもしれませんが、慣れれば何も調べなくても処理ができるものばかりですので、一つ一つ覚えていきましょう。

この記事を書いたライター

公認会計士、税理士。監査法人東海会計社代表社員、税理士法人クレサス代表社員。大学時代に公認会計士旧二次試験に合格後大手監査法人に就職し、27歳で独立開業。国際会計と株式公開支援が専門。セミナーや大学で講師を務めたり書籍の出版も行っている。
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