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簿記3級の勉強時間はどのぐらい?独学での勉強方法もご紹介!

HUPRO 編集部
簿記3級の勉強時間はどのぐらい?独学での勉強方法もご紹介!

簿記3級の受験を考えている人は、合格するためにどのくらいの勉強時間が必要なのか気になりますよね。簿記3級は簿記の基本的な知識を問うものだとされていますが、それでもやはりある程度の勉強時間は必要です。今回は簿記3級に合格するために必要な勉強時間とおすすめの勉強法について解説していきます。

簿記3級とはどのような資格?

そもそも簿記とは?

「簿記」というものは、会社の経営活動を記録し、計算して財政状況を明らかにする技術のことをいいます。具体的には、会社の取引によるお金の動きを帳簿に記録し、会社の財政状況を報告する財務諸表の作成をする作業を指しています。

簿記3級とは?

簿記3級は、商業簿記の入門として最適な資格です。簿記3級を取得できれば、仕訳(取引を勘定科目で分類すること)を学んで「総勘定元帳」という帳簿を作成し、「損益計算書」や「賃借対照表」といった書類を作成できる知識を得ることができます。

【簿記3級のレベル】

「業種・職種にかかわらずビジネスパーソンが身に付けておくべき「必須の基本知識」として、多くの企業から評価される資格。基本的な商業簿記を修得し、小規模企業における企業活動や会計実務を踏まえ、経理関連書類の適切な処理を行うために求められるレベル。」出典:商工会議所の検定試験

簿記3級の試験概要

簿記検定は日本商工会議所が行う検定試験の1つで、「日商簿記」は、簿記の検定としては一番メジャーな検定です。日商簿記は難易度別に4段階に分かれています。

【日商簿記の階級】

初級 簿記の仕組みや基本用語を覚えるレベル
簿記3級 商業簿記の初歩のレベル
簿記2級 商業簿記と工業簿記の範囲で実務者必要レベル
簿記1級 公認会計士・税理士などの国家資格レベル

簿記3級の難易度と合格率

商業簿記の初歩のレベルと言われています。
受験資格もありませんので、簿記を初めて学ぶ方は簿記3級から始める人も多いです。
簿記3級の合格率は平均して40~50%となっており、ビジネス系の資格の中では高めです。以下の画像は過去3年間の受験者数と合格率になります。

出典:商工会議所の検定試験

簿記3級試験実施頻度

簿記3級統一試験(ペーパー式)は、毎年2,6,11月の計3回行われます。
それに加えて2020年から、ネット試験方式(CBT方式)でほぼ毎日オンラインで試験を受験することが可能になっています。
ちなみにネット試験は、自宅ではなく指定された限定会場での実施です。会場の確認、受験の申し込みはCBTS日商簿記ネット試験申込から行ってください。

簿記3級試験時間と合格点

試験時間は60分、問題は5題以内の構成で、100点満点中70点以上で合格となります。

出典:日商簿記検定試験

簿記3級を独学で合格するには勉強時間はどのくらい必要?

簿記3級の勉強時間

簿記3級に合格するための勉強時間は、平均約70〜100時間といわれています。1日3〜4時間の勉強時間が確保できれば、1ヶ月で合格レベルに達する計算です。
しかし経理の実務経験がある方や、商業高校出身の方はゼロからの勉強では無いためこの時間より短い時間で合格できる可能性が高いです。

簿記3級は独学でも合格できる?

簿記3級は独学でも合格することが可能です。そして、ほとんどの人が独学によって簿記3級を取得しているといわれています。資格スクールには簿記3級用の講座も用意されていますが、書店で参考書と問題集を購入すれば合格できるレベルです。

独学の方が費用を安く抑えることができます。また、通学にかかる時間を勉強時間に充てることも可能です。まずは独学で勉強を始めてみてはいかがでしょうか。

簿記3級を独学でのおすすめ勉強方法3STEP

第1STEP まず全体像を掴む(森を理解する)

簿記試験に初めて挑む場合に大事なのは、簿記の基本的な考え方をしっかりと理解することです。

そのために自分が「分かりやすい」と思える参考書と問題集を購入しましょう。そして、参考書をまず一通り読んで全体像をつかみます。途中で理解できない箇所が出てきても、そこで立ち止まらずに、とりあえず最後まで読んでみましょう。簿記はそれぞれの項目が関連しているので、別の部分を理解することでつながることがあるからです。

繰り返して読んでいるうちに、少しずつ全体像への理解が深まっていきます。通しで何度も繰り返し読み込むのが効果的です。

第2STEP 知識の理解に取り組む(木を理解する)

大まかにインプットした知識の中で、理解ができていない箇所に絞って理解できるように努めましょう。方法は自分に合ったやり方で行えば大丈夫です。(音読、書いて覚える、見て覚える等)

おすすめの方法は、読み込みと他人への説明です。
同じ参考書を繰り返し読み、理解できたかを他人に説明してみてください。もし他人への説明で言葉に詰まる、自信がない時には理解が足りていないと判断して再度該当箇所の読み込みと理解を行いましょう。

第3STEP 問題と過去問を繰り返し解く

実際に問題を解いていくと、自分の苦手分野やテキストの理解度がわかります。
間違った問題は、一つ一つしっかりと解説を読み、テキストの同じ単元に戻って読みましょう。そして間違った問題に印と日付を入れておいて解き直しをすることも大切です。

問題集を何度か解けたら、過去問に挑戦してもいいでしょう。
時間配分も同じにすることで、どの問題に時間がかかるのか、本番の時間配分の練習になります。

簿記3級の合格を目指すには、仕訳を完璧に理解することがとても重要です。ちなみに参考書やテキストも何冊も買うよりも、同じものを何度も目を通して解いた方が効率的です。

簿記3級のテキスト・問題集選び4つのポイント

簿記3級はメジャーな資格なので、市販のテキストもたくさんの種類があります。たくさんの参考書から選びきれない…という経験をした方も多いのではないでしょうか。
この章では、自分にあったテキストの選びのポイントを4つご紹介します。

自分にとって「わかりやすい」と感じるものであること

簿記試験の勉強を始めたばかりの初心者は、簿記の仕組みや概念をしっかりと理解する必要があります。そのためには自分にとって「わかりやすい」テキストでなくてはなりません。
テキストが見やすいかどうかは、試験勉強のモチベーションにも直結します。
Amazonレビューよりも、自分の直感を大事に、色使いやイラストなどの好みや感覚が合うものを選びましょう。できれば書店で直接見て選ぶことをおすすめします。

解説動画やアプリがあるもの

テキストによっては、内容に対応した初心者向けの解説動画を作っているものや、スマホから見られるアプリをつくっているものがあります。活字を読むだけだと飽きてしまう、、といった方は学習の効率を上げるために、ぜひ活用したいですね。

法改正・ネット試験に対応した最新版であること

簿記検定のテキスト・問題集は必ず最新版のものを揃えましょう。また、2020年から始まったネット試験に伴い、ペーパー試験も2021年度から(第158回試験より)90分に変更になります。問題集の構成が対応したものを使いましょう。

テキストと問題集はセットにすること

テキストと問題集は同じシリーズ・出版社のもので揃えましょう。問題集から振り返るときに、テキストの該当ページが探しやすいのでおすすめです。

簿記3級合格に向けたおすすめのスケジュールの立て方

最後に、実際に簿記3級を目指して勉強するにあたって、合格するための勉強スケジュールの立て方について解説します。

逆算思考でのスケジュール設定

重要なことは試験日から逆算したスケジュール立案を行うことです。試験日から逆算してスケジュールを立てることで、知識と記憶のピークの状態で試験日を迎えることができます。具体的には、試験までの期間を大きく3つに分けます。

【試験まで残り2ヶ月の場合】

①インプット期(2ヶ月前〜1ヶ月前) テキストの読み込みを行う時期。
②アウトプット期(1ヶ月前〜1週間前) テキストの問題を繰り返し解く。過去問演習をする。
③直前期 自分の苦手とする分野を集中的に学ぶ。

試験勉強開始から順に、①インプット期、②アウトプット期、③直前期とします。インプット期はテキストを読み込み、アウトプッ期は過去問演習、直前期は総復習という段取りで進めていきます。

各期にどれほどの時間を当てるかは、試験までの残り期間に応じて自分に合ったペースで設定するのがよいでしょう。

無理のないスケジューリングを

「勉強計画」をたてるというと闇雲に「この日はテキスト10ページ」といった風に割り振りがちです。
しかし、理解しないままテキストを進めても、結局後でやり直すことになります。テキストを理解するのに1ページ平均何分かかるかを計ってみましょう。そこから1日で何ページ進めるかを算出します。

学習計画は、実行することが大事。無理のないスケジュールにしましょう。

予定通りに進まなかった場合の調整時間もみておく

働きながら勉強をしていると、計画を立てた通りに進められないこともあります。
例えば、途中でどうしてもわからないところが出てきて時間がかかってしまったり、体調を崩してしまうなどです。

余裕のない勉強計画を立ててしまっていると、調整がきかずに困ることになります。
計画を立てるときは、予備日などを作っておき、遅れてしまった時は時間をやりくりしてリカバーできるようにしておきましょう。

《関連記事》一ヶ月で簿記3級の合格を目指す方はこちらの記事を是非ご覧ください

独学が難しいと感じる人は資格スクールなどで勉強時間を確保しよう

簿記3級の勉強について独学をおすすめしましたが、どうしても参考書が理解できないという人もいると思います。そのような場合は、ただ参考書を眺めていても勉強時間が無駄になりますので、資格スクールや通信講座をおすすめします。

特に資格スクールでは、講師に直接どこが分からないのかを質問することができるので、効率よく勉強を進めることができるようになります。そうすれば、簿記3級の合格に必要とされる勉強時間も短縮されるでしょう。

簿記3級の出題範囲の変更

簿記検定は、2019年に3級を主たるターゲットとした見直しを行い、その出題内容が変更になっています。

というのも、これまで3級の出題は個人商店を前提としていたのですが、これからは小規模の株式会社を前提としたものに改めたからです。

よりビジネスよりのニーズが高いことと、実務レベルに近いものを採用し、その内容に即したものに変更されています。

具体的な内容は以下の通りです。

・株式会社会計への移行
出題の前提を個人商店から小規模の株式会社会計へ改めることにより、純資産や諸税金の内容を変更します。

・各種預金
当座借越や複数の銀行に口座を開設している場合の勘定科目の取り扱いを変更します。

・債権債務・有価証券
クレジット売掛金・電子記録債権債務・差入保証金の追加、手形の裏書譲渡・割引の除外、自店が発行した商品券の除外などの変更があります。

・商品売買
商品の値引(仕入・売上取引後の
商品の不良等による値引)が外れます。

・固定資産
減価償却の直接法による記帳が外れ、固定資産台帳が加わります。

・諸費用・決算
法定福利費(社会保険料等の事業主負担)の追加、消耗品(費)や貯蔵品の内容の変更、月次決算(減価償却に限る)の追加、繰越試算表の除外と決算整理後残高試算表の追加などの変更があります。

・証ひょうからの仕訳
出題区分表の変更ではありませんが、今後は文章から仕訳を起こす問題だけではなく、証ひょうから仕訳を起こす問題も出題します。

参照: 3級改定のポイント|商工会議所の検定試験

今回の改定にともない、商品の値引、6桁精算表は、すべての級において出題されなくなりました。もちろん、出題範囲の変更後も、これまで通り出題される範囲はたくさんありますが、新範囲となっているものは古いテキストや問題集にはありませんし、なくなった範囲についても掲載があることから、これから簿記3級の勉強を始めるのであれば、2019年以降の新範囲について掲載されているものを手に入れるようにしましょう。
《関連記事》

まとめ

簿記3級は取得しておくことで、ビジネスマンとしての基礎的な考え方を身につけられます。必要な勉強時間としては70〜100時間と他の資格よりは短く、難易度もそこまで高くないので独学での取得も十分可能です。簿記取得をご検討されている方はぜひチャレンジしてみてください!

この記事を書いたライター

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