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売掛金とは?売掛金管理の重要性を徹底解説!

HUPRO 編集部
売掛金とは?売掛金管理の重要性を徹底解説!

企業が商品やサービスを販売すると、その対価として現金などを受取ります。しかし、販売のたびに現金を必ず回収すると、販売の都度現金のやり取りが発生して、取引が頻繁になるほど業務が煩雑になります。そんなときに活用されているのが売掛金です。この記事では売掛金について最新の動向を踏まえながら説明していきます。

売掛金とは何か?

売掛金とは、債権の一種で、「製品・商品の販売やサービスの提供など、企業の主たる営業取引から発生する未収入金で、1年以内に現預金で回収が見込まれるもの」のことを言います。

債権ですから、「ある者が特定の者に対して一定の行為を要求することを内容とする権利の一種」ということになります。ここで言う一定の行為とは、通常、「金銭の支払い」を意味しています。

したがって、売掛金とは、「ある者が特定の者に対して、金銭の支払いを要求することを内容とする権利」と定義することができます。法律上、売掛金は、債権の一種となることから、「売掛債権」と呼ばれることもあります。俗に言う「ツケ」をされたお店側の回収していないお金が売掛金です。

一般に、売掛金は、人間同士で何らかの経済的取引が行われ、商品やサービスなどを提供した側が、その対価を商品引渡時点より後で受け取る場合に発生する債権です。

具体的には、商品や製品の代金を、分割払いや後日支払いなどの約束で販売した際、一時的に代金が未回収の状態に陥りますが、この未回収の代金のことを指します。

売掛金を伴う経済的取引は、企業の信用にもとづいた将来の現金の受取りや支払いを約束した取引であるので、企業間の信用取引の一種ということができます。そのため、当然、取引相手の経営状態が悪化して売掛金を回収することができなくなるというリスクを伴います。このリスクは、一般に、「デフォルトリスク」と呼ばれるものです。

新しい会計基準のもとでの売掛金の考え方

すでに説明したように、従来、「売掛金」は、法的な債権であり、日本では、主たる営業活動の一環として営業収益を獲得した際に生ずる未収金を意味するものでした。しかし、近年、この状況に変化の兆しがあります。以下では、この点の最新の動向について説明します。

IFRS財団に属し、独立の会計基準設定機関でIFRSの設定を行っている The International Accounting Standards Board(IASB: 国際会計基準審議会)は、2014 年 5 月に新しい収益認識基準である「顧客との契約から生じる収益」を公表しました。

この新しい収益認識基準は、2017年1月以降から適用されています。その結果、新基準に関する簿記処理上、勘定科目について、従来、「売上」という勘定科目が使われていた部分が「顧客との契約から生じる収益」という勘定科目が使われるようになり、それに伴って「売掛金」も「受取債権」という名称に変更されています。以下では、IASB により提案されている収益認識モデルにおける会計処理を簡単な例を用いて説明していきます。

「当社は、a時点に原価 80 の商品を 100 で顧客に販売する契約を結び、b時点に当該商品を顧客に引き渡し、c時点において代金を受け取るものとする」という事例では、IASBが提案しているモデルによれば、理論的には次のような「仕訳」が行われることになります。

a時点 仕訳なし

b時点 下記参照

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額
受取債権 100 顧客との契約から生じる収益 100

c時点 下記参照

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額
当座預金 100 受取債権 100

ここでは、伝統的な勘定科目(売上や売掛金)に代えて、次のような科目が用いられています。

・「売上」→「顧客との契約から生じる収益」
・「売掛金」→「受取債権」

IASBが提案したこの新しい収益の認識基準は、Accounting Standards Board of Japan (ASBJ: 企業会計基準委員会)によって翻訳されていますが、ASBJは、従来「売掛金」として訳してきた勘定科目であるaccount receivableを「受取債権」と訳しています。

ASBJが、従来通りaccount receivableを「売掛金」と訳さずに、「受取債権」と訳したことには、それなりの理由があります。英語のaccount receivableは、(法的に金銭を受け取る権利である)金銭債権に対して使われる言葉であることから、日本語の売掛金より広い内容を持っている言葉です。

たとえば、日本では、実際に財・サービスを顧客に引き渡す前に、契約等によって相手から金銭を受け取る権利を有している場合、これはあくまでも未収金のような科目で処理されるので(詳細については後述します)、「売掛金」と呼ぶことは原則としてありません。

しかし、英語では売掛金と同様、 account receivable という言葉で表現されています。したがって、そうした項目も、IASBが提案した収益認識基準において従来の売掛金も同じ言葉で呼ぶことができるようにするために、「受取債権」という勘定科目が、 ASBJ によって新基準における「売掛金」代替科目として用いられているのです。

英語圏で用いられる account receivable の本来の訳語は、(主たる営業活動によると否とを問わず)「未収金」でした。売掛金はその一種です。しかし、今回のIASBの提案した新しい収益認識基準について、ASBJ の提案によればaccount receivableは「受取債権」の訳語が用いられることになります。

この訳語は、従来の売掛金と未収金を包含する概念となります。「売掛金」を、「受取債権」という用語に変える場合、「買掛金」も「支払債務」という用語に変わってしまう可能性があります。これは、営業・非営業の区分を勘定科目に反映させてきた伝統的な勘定科目の呼び名だけではなく、概念を変える変更となっている点に注意が必要です。

日本の会計実務上、「受取債権」という言葉(訳語)は、2021年現在においてもまだ定着はしていません。しかし、今後、ASBJのように「売掛金」から「受取債権」へと言葉が変化する可能性がある点には注意が必要です。

売掛金と未払金の違い

この節では。同じく掛で信用取引として使う債権の勘定科目の区別の方法について確認していきます。掛けで信用取引として使う債権の勘定科目としては、未収入金(みしゅうにゅうきん)と未払金(みばらいきん)などがあります。未収入金と未払金も先程の売掛金と買掛金と同様に掛けで発生した債権債務です。

しかし、売掛金と買掛金は主たる営業活動から生じた取引、つまり商品を売買した取引であったのに対して、未収入金と未払金は主たる営業活動以外の取引、つまり商品以外のものを売買したときに発生する債権債務という違いがあります。簡単に言えば、「商品以外のもの」を先に渡し代金をあとでもらう権利は「未収入金」と呼ばれます。

たとえば、有価証券や固定資産といったものの売却、会社の資金で購入されたマンションの家賃収入などが、これにあたります。なお「未収入金」を計上するにあたっては、決算後1年以内に回収する予定があることが前提となります。つまり、「未収入金」は営業活動以外で生じた債権を言いますが、「売掛金」は商品の販売といった、通常の営業活動によって生じた債権を指します。

売掛金と未払金の違いについては下記のコラムでも詳しく解説しています。
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売掛金と貸倒引当金

売掛金といった債権は、全額次期以降に回収されるとは限りません。つまり、すでに説明したように、デフォルトリスクがあります。したがって、売掛金の金額のうち、回収不能が見込まれる金額については、これを控除することによって、実質的な回収額を算定することが必要です。

そうしなければ、回収可能額が過大に計上されることとなってしまうからです。債権(売掛金)のリスクに応じて適切に引当金をあらかじめ積んでおけば、いざ回収不能となった際に、大きな損失を被るリスクを予め回避することができます。

端的に言えば、売掛金のうち回収不可能となる可能性の高い部分については、予め貸倒引当金(貸倒引当金繰入)を設定することによって損失を先送りせず、可能な限り前倒しで計上することになります。これによって、予測される損失を先送りせずに済むというメリットがあります。

したがって、貸倒引当金の設定は、日本の会計基準の「企業会計原則」で言うところの「保守主義の原則」から導かれるものであり、企業会計原則注解では、引当金の認識条件を以下のように定めています。

「将来の特定の費用又は損失であって、その発生が当期以前の事象に起因し、発生の可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積ることができる場合には、当期の負担に属する金額を当期の費用又は損失として引当金に繰入れ、当該引当金の残高を貸借対照表の負債の部又は資産の部に記載するものとする。 製品保証引当金、売上割戻引当金、返品調整引当金、賞与引当金、工事補償引当金、退職給与引当金、修繕引当金、特別修繕引当金、債務保証損失引当金、損害補償損失引当金、貸倒引当金等がこれに該当する。 発生の可能性の低い偶発事象に係る費用又は損失については、引当金を計上することはできない」 出典:企業会計原則注解

ここで定められているように、貸倒引当金とは、1. 将来の特定の費用又は損失であること2. その発生が当期以前の事象に起因したものであること3.  発生の可能性が高いこと4. その金額を合理的に見積もることができること、という4つの条件が整ったときに初めて計上されることになります。したがって、この条件が一つでも欠けている場合、貸倒引当金を計上することはできません。

また、金融商品会計基準では、債権の貸借対照表価額に表示する額は、取得価額から貸倒見積額に基づいて算定された貸倒引当金を控除した金額とするとしています。これを単純化していえば、売掛金から貸倒引当金を控除して、回収可能額を算定します。

この場合、債権額から直接減額してしまうと、もとの約定額が不明となってしまうので、債権額(売掛金額)についてそのままとし、これに対しマイナス要因として作用する貸倒引当金勘定を設け、両者の比較から実質的回収額がわかるようにします。

たとえば、売掛金額が100万円であり、そのうち20万円については回収できない可能性がある場合、20万円については貸倒リスクがあるため貸倒引当金を設定し、これを売掛金額100万円から控除することによって、回収可能額は80万円と算定します。

もちろん、回収可能額を見積もることは実務上大変難しいことです。回収可能額の見積もりとは、どれだけのお金が返ってくるかを考えることと同義です。将来の可能性についての見積もりとなるので、回収可能性額の見積もりには経営者の主観が多かれ少なかれ反映されることになります。

なお、売掛金には時効があります。2020年4月から、民法が改正されました。詳しくは下記コラムをご覧ください。
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売掛金元帳(補助元帳)

売掛金は、簡単に言えば「ツケ」です。したがって、売掛金は将来返してもらわなければならないお金ということになります。このとき、誰に、いつ、どれくらい「ツケ」があるのかをきちんと把握しておかなければなりません。

誰に、いつ、どれくらい「ツケ」があるのかわからないと、誰からお金を回収すればよいのか、いつまでにお金を回収する必要があるのか、いくらお金を回収する必要があるのかがわからなくなってしまいます。そこで利用されるのが、売掛金元帳(うりかけきんもとちょう)です。

売掛金元帳は、得意先ごとの『売掛金』の残高が分かる帳簿のことを言います。通常、仕訳が行われた後、各勘定科目については総勘定元帳に転記されます。

したがって、売掛金という勘定科目は、売掛金勘定という総勘定元帳に転記されてまとめられています。総勘定元帳にまとめられている売掛金勘定から、売掛金全体の増減は分かりますが、どの得意先に、どれだけ売掛金が残っているかを把握することはできません。したがって、売掛金元帳に記入することによって、誰に、いつ、どれくらいの売掛金があるのかをがすぐに分かるようにします。

売掛金の仕訳における注意ポイントは下記のコラムでも詳しく解説しています。
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まとめ: 売掛金管理は極めて重要な業務!

売掛金の管理は、どんな企業でも行われている極めて重要性の高い業務です。なぜなら、売掛金を回収できないことは、資金を回収できないことを意味するからです。

売掛金を回収しないとしたら、それは、企業が販売している商品やサービスを無料で提供しているのと同じです。売掛金の回収は売上代金の回収を意味していることから、企業活動のなかでも重要なプロセスとなるというわけです。

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