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会社都合退職は金銭面で有利だけど転職で不利になるって本当?

HUPRO 編集部
会社都合退職は金銭面で有利だけど転職で不利になるって本当?

倒産や整理解雇など会社側の都合で退職することを一般に「会社都合退職」といいます。基本手当の受給条件が有利になるなどのメリットがありますが、転職に際して不利に扱われることもあるのでしょうか?今回は会社都合退職と自己都合退職の違いや退職後の影響について解説していきます。

会社都合退職と自己都合退職の違い

会社都合退職や自己都合退職は法律用語ではありませんが、一般的には雇用保険上の扱いを区別する言葉として使われています。

会社都合退職とは、会社側の都合で一方的に労働契約を解除され、労働者が退職を余儀なくされることをいいます。雇用保険上では特定受給資格者に該当する人をいい、一般的には倒産や事業所の廃止、経営悪化にともなう人員整理(整理解雇)などのケースが多いでしょう。会社から退職勧奨を受けて辞めた場合やいじめ、ハラスメントなどを理由に辞めた場合なども会社都合退職に含まれます。

自己都合退職とは、労働者側の都合で労働契約を解除することです。キャリアアップの転職のため、病気療養のため、結婚・出産のためなどのさまざまな理由があります。

出典:特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要

会社都合退職は金銭的なメリットが多い?

労働者としては会社の都合で一方的に退職させられるのですから、大きな不安を抱えるでしょう。しかし会社都合退職は自己都合退職と比べて金銭的なメリットが多くあります。

基本手当の受給に際して有利になる

もっとも大きなメリットは、ハローワークから受け取れる基本手当(いわゆる失業保険)の条件が2つの点で有利になることです。

1つは、所定給付日数が長い*ことです。所定給付日数とは基本手当を受け取れる期間を指し、長いほどトータルで受け取れる額も大きくなります。自己都合退職の場合は被保険者であった期間に応じて90日~150日であるのに対し、会社都合退職の場合は被保険者であった期間および年齢に応じて90日~330日です。

もう1つは給付制限がないことです。自己都合退職の場合、基本手当の受給が開始されるまでには、求職の申し込みから通算して7日間+3ヶ月間は給付されません(令和2年10月1日以降に正当な理由のない自己都合退職した場合は5年間のうち2回まで2ヶ月)。

この3ヶ月(または2ヶ月)を給付制限といいますが、会社都合退職では適用されないため、求職の申し込みから7日間が経過すると受給できるのです。基本手当がすぐに受け取れるため転職活動中の生活が安定するでしょう。

出典:基本手当の所定給付日数

解雇なら解雇予告手当を受け取れる場合がある

退職の理由が解雇だった場合、会社から解雇予告手当を受け取れる可能性があります。

労働基準法第20条1項によると、会社が労働者を解雇するときには、少なくとも30日前までに予告するか、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払う必要があります。つまり解雇の30日前までに解雇予告がなかった場合には解雇予告手当を受け取れるわけです。

出典:労働基準法 第20条1項

退職金を多く受け取れる場合がある

一般的に、自己都合退職の場合には退職金が減額されるケースがよくあるので、結果的に会社都合退職のほうが多く受け取れることになります。

もっとも、退職金の有無や金額は会社によって大きく異なるため、事前に退職金規程などを確認しておくのがよいでしょう。

会社都合退職を通知されたときの注意点

金銭的なメリットが多い会社都合退職ですが、よく確認しないとメリットを享受できない場合があるため注意が必要です。

退職届は提出しない

会社を退職するときには退職届を提出するのが当たり前だと思っている方も多いですが、退職届の提出は法的な義務ではありません。むしろ会社都合で辞める場合は提出しないほうが賢明です。

というのも、会社は国からの助成金を受け取りたいなどの理由から自己都合扱いにしたいと考えるケースがあり、退職届を提出すると「自分の意思で辞めた」と主張されかねないからです。

離職票を確認する

退職にあたり会社から受け取る離職票には、離職理由を記載する欄があります。この離職理由によってハローワークが基本手当を決定するのですが、会社都合にもかかわらず離職理由欄に自己都合と記載されているケースがあるため注意が必要です。

離職票が手元に届いたら必ず離職理由欄を確認し、納得がいかない理由に○がつけられていたら会社側に訂正を求めましょう。会社側が訂正に応じない場合は本人の判断欄を「異議あり」としてハローワークの窓口で相談してください。

会社都合退職は転職で不利になる?

会社都合で辞めると「転職で不利になるのでは?」との懸念もあります。応募先の人事担当者が会社都合で退職した人をどう捉えるのかという問題です。

そもそも退職の理由を応募先に知られるのか

前職を辞めた理由が会社都合なのか自己都合なのかを応募先に必ず知られるのかといえば、そうではありません。しかし通常は面接などで退職の理由を聞かれますし、会社によっては離職票や退職証明書などの提出を求めて退職理由を確認する場合もあるため、解雇の事実を隠すというのも賢明とはいえません。

会社都合といっても理由によって変わる

会社都合で辞めた人の採用を躊躇するかどうかは人事担当者の考え方次第なので一概にはいえませんが、会社都合の中でもどんな理由で辞めたのかによって変わると考えられます。

経営悪化にともなう倒産や事業所廃止などの理由であれば労働者側に問題はないため、採用にあたり不利になるとは考えにくいでしょう。不景気により倒産や解雇が多い社会情勢であればなおさら理解を得やすいはずです。

問題は勤務態度不良などを理由にした普通解雇のように、労働者にも一定の非があって辞めたケースです。この場合は人事担当者が気にする可能性があるため、面接でしっかり答えられるようにしておくのがよいでしょう。普通解雇を真摯に受け止めて反省している点、解雇から何を学び、今後はどのように活かすつもりなのかといった点を伝え、応募先ではしっかりと頑張りたいという意欲を見せることが大切です。

まとめ

倒産や解雇などの会社都合で退職する場合は、生活の基盤を突然に失うことになり不安が大きいものです。しかし基本手当の受給をはじめとする金銭面で支援が受けられますし、転職活動の際にも必ず不利になるわけではありません。気持ちを切り替えて前向きに転職活動を始めてみてはいかがでしょうか。

この記事を書いたライター

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カテゴリ:転職・業界動向

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