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働く人とお客様の双方に幸せを!クリフィックス税理士法人代表の山田徳昭先生が目指す『2つの日本一』とは?

HUPRO 編集部
働く人とお客様の双方に幸せを!クリフィックス税理士法人代表の山田徳昭先生が目指す『2つの日本一』とは?

慶應義塾大学大学院在学中に公認会計士試験に合格。その後、大手監査法人勤務を経て独立し、クリフィックス税理士法人を設立した山田徳昭先生。現在も同法人の代表パートナーとして活躍する山田先生に、求める人物像や仕事のやりがい、将来のビジョンについてHUPRO編集部がお話を伺いました。

一度立ち止まって風景を見直してみたかった

―会計士を目指した経緯について教えてください

私が大学生の頃というのはバブル期で、大学卒業後の進路は、理系の学生も含めて多くが銀行か証券会社といった時代でした。当時の4〜5年の間で比べても金融業界に就職する人が明らかに増えているといった状況で、これはおかしいと考える人も一部はいましたが、好景気が続いていたため日常になっていました。

そういった社会情勢の中、大学を卒業して就職することを考えたとき、それだけ多くの人が同期として入社しているため、自分が会社の中で埋もれてしまうのではないかという不安を感じました。一流企業に入社できたとしても、同じ期に入社する人間が2倍、3倍に増えたら、それだけ出世が難しくなります。
そこで、改めて一度立ち止まり、自分の進路というものを考えたとき、資格取得という選択肢が浮かびました。それが大学3年の頃で、そこから勉強を始めて大学院に進学して、在学中に公認会計士試験に合格しました。

―卒業後は監査法人に勤務されます。その当時から独立を考えていたのでしょうか?

監査法人に入所した当時は、その監査法人で最後まで勤め上げようと思っていました。最近こそ転職することが一般的で、中途採用者の比率も高まっていますが、私が入所した当時は、監査法人でもそれ以外の場合でも、一度入った会社で定年を迎えるという人が多かったように思います。そして、私自身もそういう意識がありました。

―中央監査法人を選ばれた理由は?

大学の同期に仲のいい友人がいて、彼が一年先に入所していました。自分が就職するとき、彼から色々な話を聞いてよさそうな会社だなと感じて、入所を決意しました。

監査法人勤務で得たものとは

―監査法人時代にはどのような業務を担当されたのでしょうか?

監査法人には8年ほど勤務しましたが、様々な業務を一通り担当することができました。たとえばIPO。今でこそ普通になっていますが、当時はまだ珍しく、ごくごく一部の人がやるような特殊な業務でした。大変なことも少なくありませんでしたが、幅広い業務経験はその後にも役立っていると思います。

―その後、監査法人から独立されます。どのような経緯だったのでしょうか?

私が入所した当時は、監査法人とお客様との距離が非常に近い時代でした。分からないことがあったらすぐに連絡をもらい、じっくり話をして頼りにされたり、夜に食事に行くことも多かったです。
しかしその後、社会全体で度重なる不正会計が表面化し、そのたびに監査法人とクライアントとの関係が問題になりました。そうなると、監査法人とクライアントの距離がどんどん遠くなっていきました。たとえば、夜の会食を制限している会社もありました。

監査法人はもちろん不正会計を見逃したくないため厳密な監査を行い、反対に後ろめたいことがある会社はそれを隠そうとします。
そうなると、今まではお互いに信頼して、胸襟を開いて相談し合っていた関係も変わってきます。お互いを信頼するというよりも、相手を探り合っていくようになってしまいます。
もちろん、監査法人はクライアントの役に立とうとしていて、そのためにミスを見つけるわけですが、ミスを見つけられて喜ぶ人は、ほぼ、いません。

もちろん全ての企業がそうではありませんが、中には監査を行うことで、あからさまに嫌がるようなクライアントもいました。粗探しするなとか、あまり質問をするなとか、そういうことを態度に出されてしまうことも実際にありましたね。

監査には厳格さが求められているし、クライアントも正しい決算を開示したいと思っている人がほとんどなのですが、それぞれの立場によって判断が違うことや、会社としての意向が加わってくると、全員が同じ方向を向いて仕事をするのはとても難しくなってしまいます。
そうした環境下で自分自身は監査法人の仕事に向いていないのではないかと思うようになり、そこで独立を決めました。

―独立後、どのような苦労がありましたか?

当然のことですが、最初はお客様がいないわけです。設立当初から1年間はほぼお客様が見つからない状況でした。3年目ごろから少しずつ流れが変わってくるのですが、2年目になってもお客様が増えない状態が続いて、これはまずいなという危機感はありました。

―その期間は、どのように過ごされたのでしょうか?

当時の監査法人は独立した人にも優しい部分があり、非常勤という形で仕事を回してくれていました。現在は監査法人から事業会社に転職する会計士も増えましたが、当時は、辞めても事業会社に行くという人はかなり少なく、10人が入所したら3~4人は独立して、残りの人は最後まで勤め上げるという感じでした。独立してもまた出戻って会社に戻れるという土壌もありました。

そういったこともあり、自分の事務所と非常勤との掛け持ちという状態が3年ほど続きました。3年目くらいを境に、監査法人にいたときの同期や先輩からお客様を紹介してもらえることが少しずつ増え、そしてお客様からの信頼を得て新たなお客様をご紹介頂くといった形で現在に至っています。

望ましい人物像とは? 「2つの日本一」に向けて

―現在、職員を採用する中ではどういった人物や能力を重視されているのでしょうか?

端的に伝えると「努力をし続けられる人」です。たとえば、入社して1~2年の間は誰でも新しいことを吸収しようとします。それが4〜5年目になるとその気持ちも少なくなり、10年目を超える頃には、新しいことを身につけるために努力するという気持ちを持ち続けている人はかなり少なくなってしまいます。

しかし、それではいけない。私はいつも、職員にこう言っています。「1年前の自分と比べて確実に成長しているといえるか。もしそれを毎年言い続けていられたら、とても素晴らしいことだ」と。
実際に、7~8年仕事を続けていれば、一通りの段取りを覚えて、一般的なことならどんなことでも対処して、仕事を回せるようになっていきます。しかし、そこに安住せずに、「1年前と比べてここが成長しました」と言い切れるだけの努力をし続けることがとても重要です。同じ10年目の職員を比べても、それができている人とそうではない人では、かなり大きな差が生まれてきます。

―面接のときに、そういう人物であるかどうか、どうやって見抜くのでしょうか?

一番は、準備などに時間をかけることです。その人の特性や経歴はもちろんですが、一次面接が終わっている場合であれば、さらに事細かに話ができる機会を設けて、あらゆる内容の確認や擦り合わせを行います。やはり時間をかけなければ、志望者のことは見えてこないと思っています。

―入社後も職員とのコミュニケーションを重視していると伺いました

そうですね。当法人でプロフェッショナルと呼んでいる公認会計士や税理士のスタッフとは、それぞれ年に1度は食事に行きます。また、スタッフ同士でも、コミュニケーションを深めてもらうためにサークル活動の支援や、仕事で接点がない者同士で懇親会を行うなど、自然とコミュニケーションが生まれ、助け合う雰囲気が出来るようにしています。

―大勢の応募者に選ばれる理由とはどのようなものだとお考えですか?

数年前、私たちは「2つの日本一になりたい」という将来ビジョンを掲げました。
1つ目は、多くの人に「ここで働きたい」という事務所になること。2つ目はより多くのお客様から「ここに仕事を依頼したい」と言ってもらえる事務所になることです。

「いい会計事務所」というと、一般的には、職員にとって、働きやすいとか、待遇がいいとか、成長が感じられるということになりますし、お客様からすれば、いいサービスを提供してくれるなどが挙げられますが、これでは尺度が曖昧で、どの程度、改善できたのか、わかりにくい部分があります。
そこで、「Clifixで働きたい」と言ってくれる人がどの程度、増えているか、「Clifixに仕事を依頼したい」と言ってくれる企業がどの程度、増えているか、そうした測定可能な基準で、より「いい会計事務所」になっているかを確認したいと考えました。

―「2つの日本一」となるために具体的にどのようなことに注力していますか?

心がけていることは採用と教育です。非常にシンプルな話ですが、適切な人を採用し、きちんと教育が出来れば、自然とよいサービスが提供できます。地味だと思われるかもしれませんが、そこには相当の時間と労力をかけています。
弊社のクライアントは、ほぼBIG4と同じ層のお客様です。ということは、BIG4と同じか、それ以上に優秀な人がいて、同程度以上のサービスが提供できなければいけません。そのためには、採用と教育が必要になります。

たとえば、教育面で現在取り組んでいるのは、3年で身につく能力を、2年で身につけられるようにすることです。それが出来れば、次は2年を1年半にする。そうすると、トータルで半分の時間短縮になります。これは一例ですが、こういった工夫を色々なところで積み重ねるように心がけています。

もちろん、一律で研修を受けさせると言った方法では無理で、ある程度、個々に対してカスタマイズを行う必要があり、そのための教育システムや体制を整えようと考えています。
基本にあるのは、スタッフとお客様の双方に幸せになってもらいたいという思いです。そのためには色々なところで努力して、間違っていたらすぐ直す、それを積み重ねていくことが大事ですね。

―とても採用と教育を重視されているのですね。BIG4ではなく、クリフィックス税理士法人を選び、入社される方は他にはどのような理由が多いのでしょうか?

BIG4の場合、規模が大きいことで生まれるスケールメリットがある反面、仕事を効率的に進めるためにはどうしても縦割りの組織になりがちです。たとえば、大企業の税務を扱う部署にいながら、同時に相続の仕事も担当するというのは、大手の事務所だとなかなかできないと思いますが、弊社にはそういった業務の縛りはありません。M&Aに関する業務であれば、税務デューデリジェンスだけでなく、財務デューデリジェンスやバリュエーションも担当することができます。

―仕事の中でやりがいを感じる瞬間とは?

やはり頑張った結果が目に見えたときは嬉しいですね。先ほどお話しした「2つの日本一」、つまり、「Clifixで働きたい」と言ってくれる人が増え、「Clifixに仕事を依頼したい」と言ってくれる企業が増えてきていることでしょうか。スタッフの誰もが知っているような大きな会社から依頼があったり、有望な人材が当法人に入りたいと言ってくれたりということは非常に嬉しいものです。
そしてやはり、働いている人もお客様も幸せでいられるということが一番のやりがいです。これが仕事をする上で最も重要なことだと本気で思っています。

だから会社の規模だけを大きくしようとは決して思いません。会社を大きくすることが職員の充実感やお客様の満足感に繋がるとは言えないからです。反対に大きくすることでサービスが制約されてしまうこともあります。
弊社の場合、クライアントが忙しいときには業務をサポートしたり、反対に仕事が落ち着いて時間ができたときにはクライアントと懇親会を開いたり、「身内」に近いような関係を築くことが出来ています。そういった関係を築けるのも、仕事のやりがいのひとつです。

―今後、活躍する人物像について教えてください

まずはプロフェッショナルであることです。今後は単純な仕事への需要はさらに無くなっていきますので、豊富な専門知識と経験を持つことが重要です。幅広い知見を持ったプロフェッショナルにしかできない専門性の高いサービスを提供し、あらゆるニーズに対応できる人になってほしいと考えています。
それに加えて、お客様との距離感や目線といった部分も大切にするべきだと思います。お客様から見て相談がしやすく、ときには雑談も含め話がしやすい、そして、その中から潜在的なニーズを拾ってくれる、そういう人は間違いなく活躍のチャンスがあります。

また、お客様にとって、ある意味で「使い勝手がよいかどうか」というのも大切です。弊社の場合、税理士には会計基準を、会計士には税務のことを学んでもらうようにしています。そうすると、お客様にとっては非常に便利な存在になれます。
例えば、上場企業の経理部の部長さんが決算の相談をしたいというとき、「うちは税理士法人なので税務は分かるけど会計基準が分かりません」ということだと、まったく仕事になりません。反対に会計も税務も両方分かっていると、税務と会計の場合の処理でそれぞれこんな違いがありますといったような話ができます。

もちろん、両方を習得するためにはしっかり勉強しなければいけませんが、やったらやっただけの答えは返って来ると思っています。そして、自然とお客様から感謝していただき、お客様自身の幸せに繋がります

―本日はお話を聞かせていただきありがとうございました。

今回インタビューさせていただいた山田徳昭先生が代表パートナーを務める
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この記事を書いたライター

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