「経理」は、どの業種にも必要な仕事です。簿記をベースとした経理の仕事は、どの業界でも使えるスキルですが、その仕事内容は企業や団体によってちょっとずつ異なります。今回は、一般企業ではなく「病院」の経理にフォーカスを当てて解説します。
病院勤務と言っても、経理業務では患者さんと直接接することはほぼありません。病院を会社と考えると、経理で行う仕事が見えてきます。
例えば、一般企業で言うところの他部門は院内関係者。例えば診療部門や、看護部門、コメディカルなどです。
また、一般企業もそうであるように、法人の規模に応じて、経理に専任できるのか、他の業務も兼任するのかが変わってきます。
病院も医療法人であるため、決算があります。病院の経理は、最終的にはこの決算を目標に日常業務を行います。
つまり、決算(年次業務)に向けて日次業務、月次業務を行っていくのが、経理業務のメインの仕事です。
経理とは経営管理の略。病院の経営状況を適宜把握し、中長期計画を立て、予算を管理するための資料作成は、重要な仕事の一つです。キャッシュフローの計算や、資金繰り表など、様々な資料の作成を求められることがあります。
病院では、医療機器メーカーや製薬会社など、様々な業者との取引があります。それぞれの業者に対しての請求書を処理し、請求書を受領して、定められた期日までに支払の処理を行う必要があります。
窓口で患者さんから支払われた診察報酬を外来窓口収入として入金、また入院患者からの入院費用などの売上金を回収し、金融機関への入金を行う出納業務があります。
一般企業も同様ですが、経理部門と人事・労務部門が別になっていない場合は、社会保険・雇用封建の申請手続きや、給与計算、給与振り込み、給与明細発行を経理が行う場合もあります。
こちらも、一般企業と同様、総務・庶務部門と経理部門が一緒になっている場合は、病院施設の管理や、日用品の発注や来客・電話対応などを経理担当が行う場合もあります。
さて、病院の事務といえば、真っ先に思い浮かぶのは病院窓口で払う診察料金計算をする「医療事務」です。医療事務もお金の計算をしていますが、あくまで診療報酬請求の作成を中心に行っており、病院経営にはタッチしていません。
病院においても経理はあくまで「経営管理」の一環であり、もっと上流工程の仕事に関わることが一般的です。
ただし、一般企業でも、規模が小さい場合は総務も人事も経理も「事務」と名のつく業務を兼任することが多いですよね。病院によっては、医療事務も経理も同様に兼任することもあります。
その場合は「医療事務の資格がある人」といった条件が求人票にあるはずなので確認してみましょう。
病院で働く医療関係者、例えばお医者さんや看護師さんは夜勤があったりします。病院で働くと不規則な勤務形態になるのかも?と心配されるかもしれませんが、バックオフィスである経理はそんなことはありません。
基本的には、病院の窓口が開いている時間で、通常のオフィスワークと変わらないことがほとんどです。病院によっては土日開いているところもあるので、場合によってはシフト勤務の可能性があります。
また、正社員採用の場合は有休も取得可能です。まずは病院の経理募集の求人票を確認してみましょう。
一般企業も病院も「経理」としておこなう業務は基本的には変わりません。ただし、働く場所が病院であること、職場で働く事務スタッフ以外の同僚が医療関係者になるという違いがあるだけです。
病院に勤務するからといって、医療専門家になる必要はありません。しかし、その病院が専門としている、例えば整形外科や、内科、外科などの科の知識(どういった症状が診療範囲なのか?など)や、診療報酬はどのようにして病院に入ってくるのか、という流れなどは頭に入れておいた方が良いでしょう。
また、募集内容にもよりますが、より経営に近い部分での募集の場合は、医療経営関係の入門書にも目を通しておくことで、面接で質問されても対応しやすいです。
病院といっても身構えることなく、自分が就職したい場所の企業研究をするつもりであれこれ調べてみましょう。
実際にそこの病院にかかっている方の評判を聞いてみるのもおすすめです。良い評判であれば、患者さんからの声を具体的に折りまぜつつ、そういった病院経営を支えるスタッフになりたいという志望動機を作ることもできます。逆に評判が悪ければ、顧客から支持されていないということなので、応募する価値はないかもしれません。
病院の中でも、表に出てくる機会はほぼありませんが、病院を運営する上でなくてはならないのが経理業務です。人々を助けるお医者さんや看護師さんの縁の下の力持ちとして働いてみませんか?