税理士補助として応募したくても、会計事務所・税理士法人は一般の事業会社と違って公開情報が少ないため、どのような志望動機が良いのか困っている方は少なくありません。特に未経験から応募する場合、どのような志望動機を書くのが良いのか悩みます。今回は、実際の例文を基に志望動機の書き方のコツを伝授します!
会計事務所への最新の転職事情についてはこちらのコラムでも詳しく紹介していますので、あわせてご覧ください。
まずは未経験で税理士補助に応募するときの例文を見てみましょう。
今回は2つ例文を用意しました。
【解説】
初めにその事務所のどこに魅力を感じたのかを伝えましょう。今回の場合は税理士を目指しているということですが、あなたがどんな理由で企業を志望するのかもしっかり伝えることが重要です。また、自身の強みをアピールすることで、事務所に貢献できることを示しましょう。
【解説】
こちらの例文でも自身の現状や目標をしっかり伝えています。未経験だからこそ活かせる前職の経験を取り入れ、その経験が補助業務に役立つことを示すことで、事務所へもあなたの志望度合いの高さが伝わります。
次に、新卒で税理士補助に挑戦する場合とパートタイムで応募する場合の例文を見てみましょう。
【解説】
新卒からの就職活動の場合は、大学やアルバイト、課外活動での強みを書くようにしましょう。「入社後どのようになりたいか」を伝えて、採用した際のイメージを採用担当者から持ってもらえるようにしましょう
【解説】
大学時代に行ってきた課外活動などが少なくても、なぜこの業界に志望し、どのようになっていきたいかを伝えることで、面接官も採用しようと考えやすくなります。自分の志望した理由と、志望している事務所の特徴をマッチさせることで、より採用担当者に響きやすくなります。
【解説】
パートとして働きたい場合は、何ができるのかをアピールしましょう。高度な税務関係の業務が出来なくても、細かい作業などができることを示すことができれば、より採用されやすくなります。
先ほどの例文を基に、会計事務所・税理士法人の志望動機を書く際に意識すると良いポイントを見ていきましょう。
未経験からのキャリアチェンジの場合、「なぜ税理士業界を目指しているのか」を明確にすることが重要です。過去の経験や体験から、税理士業界や税務業務に興味を持った理由を明確にできると、未経験からの挑戦でも説得力が増します。
また、業界に対する志望理由として用意しておけば、複数事務所へ応募する際に同じ内容で使えるため、汎用性が高いです。
そして、今回ご紹介した例文のように、その事務所を選んだ理由を各事務所ごとに用意するのも効果的です。併せて自身の適正などを加えられると、あなたがその事務所にとってどれくらい有益な人材なのかを測る材料になるため、効果的と言えます。
前述の内容にも少し重複しますが、採用担当は、「この人がどのくらい自社にとって有益な人材なのか」を最終的な判断軸としているため、未経験で即戦力になることが難しい方がその事務所にとっての有益性を示すためには、意欲的な姿勢を見せることで将来性に価値を見出してもらう必要があります。
未経験例文①のように、将来税理士になりたいという明確な目標を提示し、そのための経験を積みたいという前向きな理由を明記することで、業務に対する意欲や将来性に魅力を感じてもらいやすくなります。
また、未経験の例文②のように、前職でやっていた業務に基づいて自身がどのような価値を提供できるのかを示せると、意欲的に貢献しようとする姿勢を示すことができるのでオススメです。
これは内容というよりも文章を書く際のテクニックになりますが、基本的には文章は全て結論から書くように意識しましょう。PREP法という言葉を聞いたことがあるでしょうか?これは要点(Point)、理由(Reason)、例(Example)、要点(Point)の順に話すことで、伝えたい内容をより相手にわかりやすく伝える手法です。
社会人の方なら、「結論ベースで話しましょう」と言われた経験が誰しも1度はあるのではないでしょうか?文章も同じです。
特に志望動機などの書類は、何人もの候補者の応募書類に目を通しているため、読みやすさがとにかく重要です。そのため、結論から書き始めて結論で終わることを意識してみると、よりクオリティの高い文章を書くことができるのではないでしょうか?
採用担当の人事もあなたと同じ人間であるとこを思い出しましょう。会社を代表して選考を行っているので、会社の人格にはなっているものの機械が判定しているわけではないので、必ず人対人で見てくれます。
そして何より、「この人と一緒に働きたい」「この人なら安心して会社をまかせられる」と判断した人を採用します。反対に、「この人とは一緒に働きたくない」「この人が会社にいるとマイナスだ」と思われたら当然不採用となるでしょう。
その点でいうと、まず重要なのは「マイナスポイントをなくすこと」だと言えます。その上で、一緒に働きたいというプラスポイントを見てくるはずです。
未経験から税理士補助へ応募する際、採用担当からのウケが良い志望理由の例は下記の通りです。
税理士補助として活かせる志望理由
自分に対して客観的な視点で問いかけ、その答えを考えてみましょう。これらは面接で聞かれることが多くあります。
自分の希望からいったん離れて、「税理士補助」という仕事、そして志望先の事務所について考えてみるのです。
ここでまず「税理士補助」という仕事について、志望先の事務所について、自分の考えをハッキリさせます。
会計事務所・税理士法人の志望動機は、一般事業会社とは異なり、業界・事業内容ならではの陥りやすいポイントがあります。
会計事務所・税理士法人は全国に3万以上もあります。志望動機を聞くのは「なぜ、うちで働きたいのですか?」ということです。
税理士補助をやりたいだけなら、隣町にも、同じ最寄り駅でも他にもありますよね?と。
志望する側から見ると、例えば、自宅から近い、待遇が良いというのは重要な志望理由なのですが、事務所側から見るとそれではあえてお金を払って雇いたいという理由になりません。
まず、求人票やWEBサイトなどで「どういう事務所なのか」ということを確認するとともに、他の事務所と差別化できる点がないか探します。働き方や、所長の挨拶、クライアント企業などもわかるようでしたらチェックします。
会計事務所・税理士法人は、よほど大手でもない限り人数が少ないため、公開情報が少ないという特徴があります。
例えば、一般事業会社であれば、その会社が作っている製品や提供するサービスが独自化されているため、製品やサービスのファンであるといったような切り口が使えます。
しかし、会計事務所・税理士法人は、提供しているサービスは税務相談や申告など、基本的に一律なので「この事務所ならでは」という点を見つけづらいのです。
もちろん、M&Aや事業継承など専門分野に特化した事務所はあります。ただ、そういう務所を志望する場合は、やりたいことがハッキリしている分、志望動機は書きやすいでしょう。
税理士の業界では、基本的に業務が似ているところが多いです。そのため「なぜ他の事務所ではなく、この事務所に入りたいのか?」と、志望動機を求められても、志望者としては困ってしまいます。
例えば、前段でも述べたように、専門分野に特化しているとか、これからを睨んでクラウド会計を活用して全国から集客しているとか、コロナ禍のような影響にも対応できるように、IT化を推進して在宅で仕事ができるとか、業務内容や勤務体系に特徴があれば志望動機も書きやすいのですが……
そうなると何を書くかとなった場合、「簿記の知識があります」「税理士試験の勉強をしている」「経験を積みたい」となってしまうのです。おそらく8~9割は志望動機を書かせるのは無駄?というくらい同じような志望動機になりがちなのが、会計事務所・税理士法人の志望動機の困った点です。
<例文>
<解説>
自己アピールとして真面目であることと、努力を惜しまないことは書かれていますが、他の人と比べて大きな強みではなく、根拠が曖昧で具体的でないですね。
また、応募する事務所のことも全然調べていないことがわかる志望動機なので、その点もマイナスでしょう。
<例文>
<解説>
企業のどこに魅力を感じ志望しているのかを書いているのはよいことです。しかし、企業のいい点を多く並べていて、自身の状況や考えを書かない点がよくないです。企業側として志願者がどういった人なのかを知りたいため、過去の経験や今の現状などを伝えるようにしましょう。
会計事務所・税理士法人の志望動機を作成するときに陥りがちなポイントがわかったところで、未経験で税理士補助の志望動機を作る場合はどのような準備をすれば良いかを見ていきましょう。
新しい仕事へのチャレンジの場合、一番難しいのは、まだやっていないことについて、経験していないのにイメージして書かなければならないということです。
採用担当者の方は「なぜ税理士補助に興味を?」という理由を知りたいだけでなく「会計事務所・税理士法人を志望するなら業界研究くらいやっててしかるべき」と考えています。未経験者可という求人だったとしてもです。
そのため、まずは新聞や雑誌、ネットの記事などで「会計事務所・税理士法人」について調べ、実際に勤めている方に話を聞くところからはじめましょう。
例えば、会計事務所の数は全国に3万もありますが、その大部分は零細事務所。さらに税理士試験の受験者数は年々減少していることなども、調べればわかることです。
志望する人は全員志望動機があります。ですが、具体的に実感を持って志望動機を書くためには、未経験者の場合は「調べる」ことが特に重要。条件と仕事内容だけでは、仮に入所したとしても楽しく仕事することはできません。
業界や仕事内容を調べることでまず「税理士補助をやりたい」という気持ちを膨らませましょう。
応募したい会計事務所・税理士法人の情報が少なかったとしても、まずチェックして深掘りできる材料、それは「求人票」です。
求人票には、会計事務所・税理士法人が求めている条件が必ず書いてあります。例えば以下のようなものです。
求人票を確認し、仕事内容と条件、求める人物像を把握した上で、前項で掘り下げた「税理士補助と自分」を絡め、「自分は、税理士補助としてこの点で貢献できると考えた」と展開していくのです。
税理士・会計事務所の求人票には必ずといっていいほど「簿記」について書いてある項目があります。「簿記◯級以上(歓迎)」などですね。
考えてみれば、税理士補助の求人に応募している時点で「簿記」に興味があったり資格を取っているのはある意味当たり前です。
そのため、簿記以外のことでも志望動機を作るのがより重要といえます。
前職がまったく畑違いの業種であったとしても、下記のような志望動機でプラスに伝えることができるでしょう。
「このような人材を募集していますが、私は◯◯であり、私を税理士補助として採用することでこんなメリットがありますよ」と自分の特性だけでなく、採用後の周りのメリットについても言及するのです。
特に、中途採用の場合は、これまでの経験を生かして貢献するという視点が重要です。税理士補助の仕事や、採用先事務所の「求める条件」を見ると
・単なる書類仕事ではない
・顧問先とのコミュニケーションが求められる
というような傾向が見えてきます。
自分のこれまでの経歴が、どのように生かせるかは、その事務所の求人内容にもよるので照らし合わせて考えてみましょう。
ここまで、会計事務所・税理士事務所で税理士補助に応募する際の志望動機の書き方について色々とお伝えしましたが、最後に当社ヒュープロが税務特化の転職エージェントとして数多くの候補者様の転職活動をサポートしてきた中で、実際に企業側に推薦する際に重視しているPRポイントを特別にお伝えします。
実際に重要視しているポイントは主に以下の3点です。
それぞれ簡単にご説明します。
過去にどのような業界や職種を経験しているかは大きく影響します。特に、金融業界などの税務に近しい業界での経験があると、いち早く業務に馴染みやすいという点で歓迎されやすい傾向にあります。その他にも、税務経験はないものの、経理職での経験がある場合も同様に歓迎されやすい傾向にあります。
これは言わずもがなかと思いますが、やはり資格の有無は選考の通過率に大きく影響します。特に前述のように簿記2級は最低限求められることが多いですが、税理士科目を1科目でも合格している場合はその後残りの科目も受験する可能性が高く、「税理士になりたい」という意志を強く示すことができるため、歓迎されやすいです。中には、税理士科目試験の受験経験が有るというだけでもプラスになることもあるため、「税理士になりたいかどうか」は税理士補助に応募する上で非常に重要視されやすいポイントとなります。
「スキルや経験・資格しか見られてないんじゃないのか?」と思われるかもしれませんが、実は人柄も重視されます。やはり同じチームの仲間として働くのですから、皆さんが働く環境を重視するのと同様に雇う側も応募者の人柄を重視します。また、税理士はクライアントワークでもあるため、「人前でもハキハキと話せるかどうか」や「明るく対応できるかどうか」といったポイントが重要になります。
今回は税理士補助に応募する際の志望動機について、いくつかの例文を用いながら書き方のポイントをお伝えしました。未経験から税理士補助を目指される方は是非今回の内容を参考にしてみてください。
また、税理士補助や税理士、管理部門での就職・転職をお考えの場合は
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