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会計事務所・税理士法人の志望動機の書き方を解説!税理士補助・未経験の場合も

HUPRO 編集部
会計事務所・税理士法人の志望動機の書き方を解説!税理士補助・未経験の場合も

会計事務所・税理士法人は、一般事業会社と違って公開情報が少ないため、どのような志望動機が良いのか困っている方は少なくありません。

今回は、会計事務所・税理士法人への就職・転職を目指している方や、未経験から税理士補助として働きたい方向けに「なぜその事務所を選んだのか」納得感のある志望動機の作り方を一緒に考えていきましょう。

会計事務所への最新の転職事情についてはこちらのコラムでも詳しく紹介していますので、あわせてご覧ください。

会計事務所・税理士法人の志望動機を作成するための準備

まず、会計事務所・税理士法人の志望動機を作るための準備をおろそかにしてはいけません。就職活動、転職活動に通して言えることですが、準備が9割といってもいいほど、事前の準備は大事です。

まずひとつ目に準備するべきことは、受ける事務所のことをよく知ることです。
どのような理念なのか、どのような歴史があるのか、どのような人が働いていて、どのようにクライアントに価値を提供しているのか。自分を知ってもらうためには、まず相手のことを知りましょう。

これは会計事務所・税理士法人に関わらないことですが、専門職であり一見他の事務所と差別化が分かりづらい業界特有のことでもあります。事務所を徹底的に調べ、必要ならOB訪問などを利用して聞いてみるなど、自分の言葉で語れるくらい受ける会計事務所のことを知りましょう。

次に重要なのは自分を知ることです。意外と自分のことをしっかり相手に理解してもらうことが出来ている人は少ないです。ましてや、書類選考や面接など限られた時間しかない中で伝えるのはとても難しいことだということを理解しましょう。

志望動機は会計事務所へのアピールとなるものですので、自分がどのような人間なのかをきちんとアウトプットできないと、100%自分を知ってもらうことはできません。

会計事務所・税理士法人の志望動機の書き方とポイント

会計事務所・税理士法人の志望動機には、どのような要件を盛り込んでを作るべきかを見てみましょう。志望動機については、以下の内容を盛り込むのが望ましいです。順番については変更しても問題ありません。他にも思いつくポイントがあれば、それを加えてみましょう。

◯税理士業界の現状
税理士業界は現在どうなっているか?問題点はあるか?それは何か?今後の変化にどのように対応すべきか?

◯志望先を選んだ理由
なぜ志望先の事務所を選んだのか?理念?志望理由について

◯自分の適性などについて
応募先の事務所はどんな仕事だと自分は考えているか?
自分のどのような経験・能力・資質が生かせそうか?
採用されたらどんな貢献ができるか?

人事担当が重要視すること

採用担当の人事もあなたと同じ人間であるとこを思い出しましょう。会社を代表して選考を行っているので、会社の人格にはなっているものの機械が判定しているわけではないので、必ず人対人で見てくれます。

そして何より、「この人と一緒に働きたい」「この人なら安心して会社をまかせられる」と判断した人を採用します。反対に、「この人とは一緒に働きたくない」「この人が会社にいるとマイナスだ」と思われたら当然不採用となるでしょう。

その点でいうと、まず重要なのは「マイナスポイントをなくすこと」だと言えます。その上で、一緒に働きたいというプラスポイントを見てくるはずです。

会計事務所・税理士法人の志望動機の例文

会計事務所・税理士法人の志望動機の例文をご紹介します。あくまで例ですので、参考にして自分なりに考えてみることが大切です。

志望動機の例文1

会計事務所は全国ですでに3万以上の事業所があり、過当競争だと言われます。 近い将来税理士の仕事がAIに奪われるという説もありますが、おそらくそれは、記帳作業などの単純作業だと私は思います。AIに仕事を任せることができる分、税理士事業の本質である企業の経営課題の改善については、より高いサービスを提供できるようになるはずです。

また、昨今のコロナ禍や会計のクラウドサービスにより、これからのクライアントは遠隔地でのリモート対応でも十分対応が可能になるのではないでしょうか。 そうなると、税理士事務所だけでなく、クライアントにおいてもいかに早くIT化を進め、DXをはかるかが重要な課題だと考えます。

志望動機の例文2

私は、前職でITサポート業務を行っていました。データ入力や資料作成などにおけるスキルは高い方だと自負しています。また、作業も正確だと評価されていました。 部内での経理業務を担当するうちに、経理や税務にも興味を持つようになり、◯月に日商簿記検定3級を取得、現在は2級の取得に向けて勉強中です。

また、私が貴事務所のお役に立てるのではないかと考えているのは、クライアント向けのITサポート業務です。例えば、税理士の先生と一緒にクライアント先に訪問し、先生は税務相談を、私はクラウドシステムやIT関連のサポートを行うなど、新たなサービスの提供についても貢献したいと考えています。

貴事務所では、クライアント企業に向けて税務相談だけでなく、クラウド化の積極的な推進を図り、新しい働き方をも含めてコンサルテーションされていることについて「未来の会計事務所だ」と強く共感いたしました。 以上の理由から、私は貴事務所で働くことを強く希望いたします。

志望動機の例文3

貴事務所のホームページを拝見し、会計事務所として多様な業務にチャレンジできるところ、デジタル推進を行っており時代に先駆けた体制を構築されている姿勢、英語によるハイレベルな業務の割合が多い点に大変魅力を感じました。

私は大学時代には学生団体の代表を務め、他の学生の悩みを解決する活動をおこなっておりました。そこで培ったコミュニケーション力は、貴事務所においても発揮できると確信しております。

また、私は会計の業務を通じて経営全般についてもプロフェッショナルになれればと考えております。大学時代は一貫して会計講座を受講してきましたので、それらの知識が発揮できる環境に身を置きたいと考えております。

志望動機の例文4

貴事務所のホームページを拝見し、大手の企業様との取引実績があること、特に外資系に強みを持っていること、また、手厚いサポートを元にした育成体制により優秀な会計士が多く在籍していることに魅力を感じ志望させていただきました。

私は、これまでのキャリアで、法人營業として5年間、主に経営者や外資系企業の役員陣へのプレゼンテーション経験とコンサルタント業務を行っておりました。また、營業統括マネージャーとして20名以上のメンバーを率いて、過去最高の營業成績をチームとして達成した経験があります。そのかたわら、公認会計士試験に合格いたしました。

大手企業様への経営観点からのアドバイスを含めた提案、また、外資系企業特有の会計分野における課題解決まで一貫して行える貴事務所との相性は良いと考えており、優秀な会計士が多い貴事務所においてのマネジメント経験が生きると考えております。

志望動機の例文5

貴事務所のホームページを拝見し、貴事務所の特徴として、未経験者に対して手厚くご指導いただける点、税理士資格取得の取得勉強に配慮した業務を行える点、私の強みである英語にて国際税務に関する仕事をお手伝いできる点に非常に魅力を感じ志望させていただきました。

私の強みは、簿記1級を大学3年で取得し、真面目な性格であるため、デスクワークなどの詳細な業務でのミスが少なく、前職で営業を担当しておりましたので、コミュニケーション力に自信があり、アメリアへの短期留学により英語力がある点で、貴事務所にてこれまでの経験や能力を最大限生かせるものと考えております。

私の今後のキャリアプランとしては、中小企業においてのグローバル化を支援し、強みである英語による国際的な会計税務をプロフェッショナルとして遂行することです。貴事務所においては、まずサポート業務を正確に行い、将来的には英語力を生かした高難易度の会計業務にもチャレンジしていきたいと考えております。

会計事務所・税理士法人の志望動機はここに気をつけて

会計事務所・税理士法人の志望動機は、一般事業会社とは異なり、業界・事業内容ならではの陥りやすいポイントがあります。

事務所ごとに差別化しづらい

会計事務所・税理士法人は全国に3万以上もあります。志望動機を聞くのは「なぜ、うちで働きたいのですか?」ということです。

税理士補助をやりたいだけなら、隣町にも、同じ最寄り駅でも他にもありますよね?と。

志望する側から見ると、例えば、自宅から近い、待遇が良いというのは重要な志望理由なのですが、事務所側から見るとそれではあえてお金を払って雇いたいという理由になりません。

まず、求人票やWEBサイトなどで「どういう事務所なのか」ということを確認するとともに、他の事務所と差別化できる点がないか探します。働き方や、所長の挨拶、クライアント企業などもわかるようでしたらチェックします。

もし、事務所に知り合いがいれば、どんな事務所なのかを尋ねておきましょう。地元であれば「◯◯さんの知り合いなら」というのはかなり有利です。「紹介」は立派な志望理由の一つともなります。転職エージェントの紹介も同様です。

公開情報が少ない

会計事務所・税理士法人は、よほど大手でもない限り人数が少ないため、公開情報が少ないという特徴があります。

例えば、一般事業会社であれば、その会社が作っている製品や提供するサービスが独自化されているため、製品やサービスのファンであるといったような切り口が使えます。

しかし、会計事務所・税理士法人は、提供しているサービスは税務相談や申告など、基本的に一律なので「この事務所ならでは」という点を見つけづらいのです。

もちろん、M&Aや事業継承など専門分野に特化した事務所はあります。ただ、そういう務所を志望する場合は、やりたいことがハッキリしている分、志望動機は書きやすいでしょう。

同じような志望動機になりがち

税理士の業界では、基本的に業務が似ているところが多いです。そのため「なぜ他の事務所ではなく、この事務所に入りたいのか?」と、志望動機を求められても、志望者としては困ってしまいます。

例えば、前段でも述べたように、専門分野に特化しているとか、これからを睨んでクラウド会計を活用して全国から集客しているとか、コロナ禍のような影響にも対応できるように、IT化を推進して在宅で仕事ができるとか、業務内容や勤務体系に特徴があれば志望動機も書きやすいのですが……

そうなると何を書くかとなった場合、「簿記の知識があります」「税理士試験の勉強をしている」「経験を積みたい」となってしまうのです。おそらく8~9割は志望動機を書かせるのは無駄?というくらい同じような志望動機になりがちなのが、会計事務所・税理士法人の志望動機の困った点です。

会計事務所の志望動機でNG事例

<例文>

貴事務所は私に向いていると考えており志望しました。私は大学生の頃から会計の勉強をしており、知識には自信があります。私はよく周りの人から真面目だね。と言われます。
そのため業務でのミスは少ないと思いますし、成果も出せると思っています。貴事務所は新人の育成に力をいれていると聞きましたので、魅力に思い志望しました。

真面目な私だからこそ、一生懸命努力し、成長できると感じているため、貴事務所にとって貴重な存在となれるよう努力してまいりますので、ぜひよろしくお願いいたします。

<解説>

自己アピールとして真面目であることと、努力を惜しまないことは書かれていますが、他の人と比べて大きな強みではなく、根拠が曖昧で具体的でないですね。
また、応募する事務所のことも全然調べていないことがわかる志望動機なので、その点もマイナスでしょう。

未経験から税理士補助として働く場合の志望動機

未経験から税理士補助として働く場合の志望動機の書き方をご紹介します。

会計事務所・税理士法人では、仕事への意欲と能力(ポテンシャル含む)がある人材を採用したいと考えています。
そしてあなたは、税理士補助という仕事が「自分に合っている、やれる」と考える理由があるから応募するわけです。
この両者の求めるものをマッチングさせるために、まずは自分が税理士補助を目指す理由をハッキリさせる必要があります。
自分に対して客観的な視点で問いかけ、その答えを考えてみましょう。

(1)たくさんある仕事から、なぜ「税理士補助」を仕事にしようと思ったのですか?
(2)税理士補助はどんな仕事ですか?
(3)税理士補助として仕事をするために必要な能力や資質はなんですか?
(4)税理士業界にとって今起こっている問題は何でしょうか。どうすれば解決できるでしょうか
(5)税理士業界で税理士補助としてどんな仕事がしたいですか?
(6)志望先の事務所はこれから先も存続すると思いますか?それはなぜですか?
(7)志望先の事務所は5年後、10年後にどんな事務所になっていると思いますか?
(8)(6)・(7)についてそう思う理由はなぜですか?

自分の希望からいったん離れて、「税理士補助」という仕事、そして志望先の事務所について考えてみるのです。

ここでまず「税理士補助」という仕事について、志望先の事務所について、自分の考えをハッキリさせます。

税理士補助の志望動機を作るときにはここに注目!

会計事務所・税理士法人の志望動機を作成するときに陥りがちなポイントがわかったところで、未経験で税理士補助の志望動機を作る場合はどうすれば良いかを見ていきましょう。

税理士業界や仕事内容を調べる

新しい仕事へのチャレンジの場合、一番難しいのは、まだやっていないことについて、経験していないのにイメージして書かなければならないということです。

採用担当者の方は「なぜ税理士補助に興味を?」という理由を知りたいだけでなく「会計事務所・税理士法人を志望するなら業界研究くらいやっててしかるべき」と考えています。未経験者可という求人だったとしてもです。

そのため、まずは新聞や雑誌、ネットの記事などで「会計事務所・税理士法人」について調べ、実際に勤めている方に話を聞くところからはじめましょう。

例えば、会計事務所の数は全国に3万もありますが、その大部分は零細事務所。さらに税理士試験の受験者数は年々減少していることなども、調べればわかることです。

志望する人は全員志望動機があります。ですが、具体的に実感を持って志望動機を書くためには、未経験者の場合は「調べる」ことが特に重要。条件と仕事内容だけでは、仮に入所したとしても楽しく仕事することはできません。

業界や仕事内容を調べることでまず「税理士補助をやりたい」という気持ちを膨らませましょう。

未経験可の税理士補助の求人票をチェック

応募したい会計事務所・税理士法人の情報が少なかったとしても、まずチェックして深掘りできる材料、それは「求人票」です。

求人票には、会計事務所・税理士法人が求めている条件が必ず書いてあります。例えば以下のようなものです。

【例】
■仕事内容:主に中小企業のクライアント様に向けた、税務・会計の関連業務
・来客・電話・メール応対
・記帳代行
・各種書類作成・整理
・税務相談への対応
・お客様先への定期訪問(1ヶ月あたり10件程度) など
■必須条件:大卒・要普通免許・簿記3級以上・未経験可
■歓迎条件:
・科目合格者
・税理士資格保有者
・簿記2級以上
・税理士・会計事務所での勤務経験
・金融機関出身者
・経理業務の経験
・会計ソフトの使用経験
など
■こんな方がむいています
・丁寧な対応の方
・誠実で素直な方
・協調性のある方

求人票を確認し、仕事内容と条件、求める人物像を把握した上で、前項で掘り下げた「税理士補助と自分」を絡め、「自分は、税理士補助としてこの点で貢献できると考えた」と展開していくのです。

求人票の条件から志望動機を作成する

求人票の条件から志望動機を作成する

税理士・会計事務所の求人票には必ずといっていいほど「簿記」について書いてある項目があります。「簿記◯級以上(歓迎)」などですね。

考えてみれば、税理士補助の求人に応募している時点で「簿記」に興味があったり資格を取っているのはある意味当たり前です。
そのため、簿記以外のことでも志望動機を作るのがより重要といえます。
前職がまったく畑違いの業種であったとしても、下記のような志望動機でプラスに伝えることができるでしょう。

・前職が営業だったので、得意先回りなどで中小企業のクライアント様とお付き合いが多かった。中小企業の代表者の方とも良い関係でお付き合いできていた。貴事務所の顧問先と業種も似ているため、その経験を役立てたい。

・ITのサポートセンターにいた。これからクラウド会計を推進しようとしている貴事務所の顧問先への導入やサポートについて、前職の経験を生かしたいと考えた。

「このような人材を募集していますが、私は◯◯であり、私を税理士補助として採用することでこんなメリットがありますよ」と自分の特性だけでなく、採用後の周りのメリットについても言及するのです。

特に、中途採用の場合は、これまでの経験を生かして貢献するという視点が重要です。税理士補助の仕事や、採用先事務所の「求める条件」を見ると

・単なる書類仕事ではない
・顧問先とのコミュニケーションが求められる

というような傾向が見えてきます。
自分のこれまでの経歴が、どのように生かせるかは、その事務所の求人内容にもよるので照らし合わせて考えてみましょう。

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この記事を書いたライター

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