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会計事務所に採用されるための自己PRとは?

岡山 由佳
会計事務所に採用されるための自己PRとは?

会計事務所に就職、転職をしようとする際に必要となる自己PR。書類選考時や面接時に求められるこの自己PRはどのような内容を記載すれば採用されやすくなるのでしょうか。
今回は会計事務所未経験者、経験者共に自己PRに必要である内容と、自己PRをするにおいて気を付けたいことを解説していきます。

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会計事務所の自己PRに資格は必須?

会計事務所の自己PRに資格は必須ではありませんが、持っている人は持っていない人と比べて大きなアドバンテージがあります。
資格を持っているということは、目標に向かって努力できるということの表れでもあるからです。

ということで、ここでは持っていると有利になる資格をお伝えします。

●公認会計士
 国家資格として高い専門性を証明します。公認会計士資格を取得するための厳しい試験を乗り越えた経験は、目標に向かって粘り強く努力できる能力の裏付けとなります。


●税理士
 税務に精通していることが示され、法人税や所得税、相続税など、実務に直結する専門知識をアピールできます。公認会計士とのダブルライセンス取得は、さらなるキャリアアップにも大きなメリットをもたらします。


●USCPA(米国公認会計士)
 国際的に認知される資格で、英語力やグローバルな会計知識の証明として非常に有効です。外資系企業や国際案件を扱う会計事務所では、USCPAの保有が大きな強みとなります。


●日商簿記検定(2級以上)
 基本的な会計知識を有していることを示す入門的な資格で、資格取得のハードルが低いため、初学者の自己PRの強化にも活用できます。


これらの資格は、ただ単に試験に合格したという実績だけでなく、日々の努力や自己研鑽を積み重ねた結果であるため、採用担当者は応募者の能力や意欲を高く評価する傾向にあります。


また、資格を取得する過程で得た知識は、実際の業務において具体的に活かすことが可能です。たとえば、クライアントへの提案、報告書の作成、最新の法改正に基づくアドバイスなど、資格が裏付けとなって業務の説得力を高める点は、自己PRの際の大きなアドバンテージとなります。

自己PRの内容構成とは

自己PRの内容構成には、少なくとも何故その会計事務所を志望したのかその会計事務所に就職をしたあかつきには何が自身に出来て会計事務所に良い影響をもたらすことが出来るのか、の2点が必要です。

何故その会計事務所を志望したのか

会計業界未経験者であれば、まず何故会計業界に興味を持ったのか、そして未経験者、経験者共に数ある会計事務所から何故その会計事務所を志望したのか、を伝えられるようにしましょう。


何故会計業界に興味を持ったのか、を未経験者が伝えるには、まずは業界研究が必要となります。業界研究を怠りあいまいな志望動機では、本当に会計事務所に就職をしたいのか、と疑念を抱かれてしまいます。
会計事務所の仕事内容や、志望動機となり得る会計事務所の魅力については、下記コラムをご参照ください。

また、数ある会計事務所から何故その会計事務所を志望したのか、を伝えるには、業界研究のみならず、会計事務所毎の特色を知ることが大切 です。


資格取得を応援して残業の少ない会計事務所、顧客が個人ばかりの所得税に特化した会計事務所、資産管理や相続等の相続税に特化した会計事務所等、会計事務所毎に特色があります。


会計事務所毎の特色を知るには、その会計事務所のホームページを閲覧して情報収集をすることだけではなく、会計事務所に特化した転職エージェントに相談することが効果的です。

会計事務所にどんな良い影響をもたらすことが出来るのか

会計業界未経験者でれば、これまでの経歴から会計事務所の業務に生かせそうなスキルや人柄をアピールすることが出来るようにしましょう。


全く会計業界と関わりの無いと考えられる業界で得た経験でも、そのスキルを会計事務所に活かすことは可能です。
例えば服飾の接客業を行っていた人が会計事務所に転職しようとした場合、全く接点の無い業種への転職のようでありながら、自己PRとして「服飾の接客業では、顧客毎の希望や悩みに沿ったコーディネートを提案することで、大変喜ばれることにやりがいを感じていました。この顧客に寄り添ったアドバイスをしてきた経験が、会計事務所の顧客対応に生かせると思います。」等といった表現をすることが出来ます。


会計事務所経験者は、これまでの会計事務所の経歴、例えば沢山の顧客担当件数を持っていたため様々な業種の知識が豊富である、得意としている作業や税法科目がある、等と経験者だからこそ自己PRとして表現することが出来る材料は沢山あります。


しかし会計事務所経験者が陥りやすい自己PRでの失敗例として、これまでの経歴やスキルをアピールすることばかりで、就職先の会計事務所にどんな良い影響をもたらすことが出来るのかを伝えられていないということがあります。


経歴やスキルをアピールし、これだけのことが出来るということを伝えるのは必要ですが、あまりにもそのアピールが強すぎると、新しい就職先において従来の経歴や作業の仕方に固執して、柔軟に対応をしてくれないのではないか、という印象を与えかねません。


経歴やスキルをアピールすることに加えて、その経歴やスキルにどんなに自信があったとしても、まだまだ勉強中の身であり新しい就職先においてこれらの経歴やスキルを活かしつつも多くのことを学びたいという謙虚な姿勢を見せられると良いでしょう。

その他の会計事務所の自己PR

上記の自己PR内容は必須ですが、更に採用担当者の記憶に残るような自己PRが出来ると、採用されることに一歩近づくといえます。
下記のような内容が採用担当者の記憶に残る自己PRとして挙げることが出来ます。

人柄が分かるようなエピソード

経歴やスキルは非常に大切なものですが、一緒に働く人の能力が高くても人柄に問題があるようでは、会計事務所の就業環境を悪化させるおそれがあるため採用には至りません。会計事務所の所長の一助となりそうな人、会計事務所の既存の職員と良い人間関係を築けそうな人、顧客から信頼を得ることが出来そうな人が会計事務所には求められています。


例えば「先日財布を拾って交番に届けたら、お礼の手紙が届いた」というエピソードは一見関係無いように思えますが、職場において困っている人がいたら助けることが出来る人なのだろう、という好印象を与えることが出来ますし、「海外でヒッチハイクをしていた」というエピソードは誰しもが持っているエピソードでは無いため、記憶に残りやすくなります。

趣味

趣味によって人柄の良し悪しが決まるものでは無いですが、同じ趣味を持つ人が新しい就職先にいれば、採用担当者はこの人は職場のこの人と仲良くなれるかもしれない、という印象を受けますし、反対に趣味としている人が少ないような趣味を自己PRで伝えれば、この人にはこんな変わった趣味があるらしい、と記憶に残りやすくなります。

会計事務所の自己PR 例文

未経験(資格なし)

私はこれまで全く異なる業界で、販売や接客業務に従事し、日々多様なお客様と接する中で顧客対応力やコミュニケーション能力を磨いてまいりました。これらの経験は、どのような業種においても基礎となるスキルであり、環境の変化に柔軟に対応できる強みだと自負しております。


また、会計業界に対する強い興味を抱き、独学で会計の基礎知識を習得するために、専門書やオンライン講座を活用し、自己研鑽に励んでおります。特に、財務諸表の読み解きや基本的な簿記の概念を独自に学び、基礎力を養う努力を続けています。


私は、未経験ながらも新しい分野に飛び込み、短期間で必要な専門知識を習得し、実務に即したスキルへと昇華させるための意欲と柔軟性を備えております。御社の業務環境に迅速に適応し、これまでの対人経験を活かして顧客対応やチームワークを向上させることで、貴社に新たな価値を提供できると確信しております。

未経験(資格あり)

私は、日商簿記検定2級を取得することで、基礎的な会計知識をしっかりと身につけてまいりました。資格取得の過程で、体系的な会計理論や最新の税法改正についても学び、試験勉強を通じて自己管理能力や計画性を養いました。


資格で示された基礎力は、会計事務所における業務遂行の土台となると同時に、業界内での一定の信頼性を確保する上でも非常に有利に働くと考えています。現在は、さらなる実務経験の獲得を目指し、実践的なスキルアップに努めるため、実務に直結する知識や技術の習得に意欲的に取り組んでおります。


加えて、独学やオンライン講座を通じて、最新の会計基準や税法の動向にも注目し、常に自分の知識のアップデートを図っています。御社においては、私の基礎力と柔軟な学習姿勢が、早期に実務に適応し、即戦力として活躍するための大きな強みになると自負しております。

会計事務所経験者

私は、前職の会計事務所において、法人および個人の会計・税務業務に携わり、月次・年次決算の支援、税務申告書の作成、経営分析レポートの作成など、幅広い実務経験を積んできました。担当顧客は約30件にのぼり、日々の業務において正確なデータ管理と効率的なプロセスの改善に努め、クライアントとの信頼関係を着実に構築してまいりました。


また、後輩の指導やチーム内の業務効率向上にも注力し、全体の業務効率を5%向上させる成果を上げるなど、組織全体に貢献することができました。さらに、税理士試験では簿記論と財務諸表論に合格し、法人税法の学習にも取り組むなど、専門知識の深化を図っています。


御社では、より大規模なクライアントを担当する中で、私のこれまでの経験と実績を活かし、最新の税法改正にも迅速に対応しながら、業務プロセスの最適化を推進していく所存です。私の即戦力としての経験と、チームワークを重んじる姿勢が、貴社の更なる発展に寄与できると確信しております。

自己PRで気を付けたいこと

自己PRをすることの出来る機会には、書類選考時点の履歴書等に記載をするものと、面接での口頭で伝えるものがあります。
それぞれにおける気を付けたいことをご紹介致します。

書類選考時

書類選考時には限られた枠内に、最も伝えたいたいことを記載しなくてはなりません。よって最も伝えるべき経歴やスキルを選定する必要があります。一般的には最も能力が高いと評価されるものを記載すべきですが、会計事務所が求める人材であることが必要であるため、それに合致したものを選んで記載をする必要があります。


そして書類選考は選考における第一印象を決定する機会です。読みやすい綺麗な字で記載することを心掛けましょう。字は心を表すともいいますが、当然殴り書きでは良い印象を与えません。


更に自己PRで沢山のことを伝えたいと考えがちですが、限られた枠内に目いっぱい細かい字で記載をすることはお勧め出来ません。特に応募者が多数いるような職場に応募をする際には、細かい字で読みにくいだけで、自己PR内容に目を通すことすらして貰えない可能性があります。字の大きさや内容のボリュームも読みやすいものにしましょう。

面接時

面接時にはあらかじめ書類選考時に記載をした自己PR内容と辻褄が合うような自己PR内容を考えて臨むべきですが、必ずしもあらかじめ考えた内容通りに伝えることが正解であるとは限りません。


まず考えてきた内容を、暗記したものをただ棒読みをするような伝え方は良くありません。棒読みをするような伝え方では、その会計事務所に就職をしたいという意欲が伝わりません。心のある自己PRを出来るようにしましょう。
更に用意していた自己PR内容が面接中にふさわしくないと判断されるような場合は臨機応変に違う手法で自己PRをしなくてはなりません。


考えてきた自己PR内容が少なすぎると判断出来る場合には、何か別のアピール内容をその場で考え話す必要がありますし、逆に考えてきた自己PR内容が多すぎると判断出来る場合には、伝えるべき内容に優先順位をつけて話す必要があります。

まとめ

会計事務所に就職、転職をするための自己PRについて解説してきましたが、これらはあくまでも一般的なことであり、最も大切なことは就職を希望する会計事務所の求める人物像であることが分かる内容であることです。

どのような人物像を求めているのか、が分からない場合にはHUPROをはじめとする会計業界専門のエージェントにご相談されることをお勧め致します。

この記事を書いたライター

大学在学中より会計業界に携わり10年超の会計事務所、税理士法人での実務経験を経て独立。各業種の会計業務に関するフォローのみならず、ライターとして税務、労務、経理の話題を中心に、書籍やWebサイトに数多くの寄稿を行う等の様々な活躍をしている。
カテゴリ:コラム・学び

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