転職を考える際には悩みはつきものだと思います。この記事では、税理士有資格者や科目合格者が転職について抱く悩みとして代表的なものを6つ紹介します。またそれぞれの悩みについて解決するための考え方や道筋についても解説いたしますので、ぜひ参考にしてみてください。
税理士だけでなく、転職を考えているすべての人にとって、お給料の問題は一番気になるところだと思います。
一般的に言って、小規模な会計事務所の職員は年収が高い方とはいえません。
未経験入社なら年収は300万円前後からスタートし、一人前に仕事ができるようになった3年目〜5年目で年収400万円あれば優遇されている方と言えるでしょう。
もっとも、税理士試験に合格し、基本的な実務に対応できるようになったベテラン職員であれば、実務経験を生かして転職で年収アップを実現できるケースは珍しくありません。
大手会計事務所、税理士法人や大手企業へ転職ができれば年収のアップも期待できるでしょう。
一度転職エージェントに相談して自分の市場価値を判断してみたり、転職サイトで求人を見てみることをおすすめします。
会計事務所は、所長税理士の考え方によって「どのような仕事を扱うか」が大きく異なります。
もっとも顕著に違いが現れるのは資産税業務(相続税申告をメインとする業務)です。
資産税業務は、業務受注1件あたりで見ると利益が見込める一方で、深い税務知識と実務経験が求められる案件です。
また、相続税の申告業務は顧問契約とはならない単発の案件となるケースが多いですから、必ずしも「おいしい案件」ばかりともいえないのが実情です。
こうした背景から、資産税業務を扱っていない会計事務所は少なくありません。
資産税業務を扱える税理士を目指したいと考えていたとしても、所属先の事務所が業務を扱っていなければ実務経験を積むことはできないのは難しいところです。
自分がやりたい業務と転職先の事務所が主にしている業務にギャップがないかどうかを事前の面接などで確認するようにしましょう。
税理士を目指す人の多くは、将来的には独立して自分の事務所を持つことを目指しています。
しかし、税理士ビジネスもかつてのように「資格さえあれば独立できる」という業界ではなくなってきているのが実情です。
会計ソフトの発展や格安化にともなって、激安顧問料で記帳代行業務を扱う大手サービス業者が小規模事業主のパイを占めつつあります。
必然的に、これから独立を目指す税理士は特化した専門分野を持つとか、スタートアップ企業との強力なコネクションを築くことが必要になっていくでしょう。
その解決策として特定の税務分野に特化した会計事務所への転職が挙げられます。
例えば資産税に特化した会計事務所へ転職した場合、自身も資産税に強い税理士としてのキャリアパスを獲得でき、独立する時に役に立つでしょう。
またこのような業界の現状から考えて、所属先の事務所が「独立を奨励する社風であること」は重要な問題と言えます。
職員の副業ビジネスを容認するとか、先輩職員がどんどん独立していく事務所と、所長税理士が職員を囲い込んで独立を阻む…といった事務所とでは、独立の成功可能性に大きな差が出ることは間違いありません。
(当然ながら、前者の事務所の方が独立成功につなげやすいでしょう)
毎年2月〜3月の確定申告時期や、5月の三月決算法人の申告業務を行う時期は繁忙期となり、多くの会計事務所職員は残業時間が増えてしまいます。
一方で、個人事業主の顧客が少ない事務所では確定申告時期も残業なしというケースもあります。
法人企業の決算期はそもそもいつにするかは企業の任意ですから、顧問先の決算時期がうまく分散できている事務所なら、年間を通して業務量が標準化されている(つまり繁忙期が特にない)ということもあり得るでしょう。
税理士試験の勉強をしながら働いている人にとっては、年間を通した業務量が標準化されているかどうかは将来のキャリア形成(つまり試験合格)を考える上でも重要な問題です。
この点において中小会計事務所は雰囲気や制度がその事務所の所長次第なところがあるので、資格試験のサポート体制がしっかりしている会計事務所も中にはあるでしょう。
会計事務所というのは、ほとんどのケースで従業員数名〜10名以内の「小さな組織」です。
必然的に、職員は個人プレーで働く場面が多くなります。例えば「自分の顧問先のこと以外は我関せず…」というかたちで働いている人が多いでしょう。
こうした環境で働く人にとって、チームプレーで働ける職場環境は魅力的です。ビジネスで大きな仕事をなしとげたいのであれば、大きな組織に属して働くことも選択肢に入れてみる必要があるでしょう。
具体的には、一般企業の経理財務部門を転職先として選ぶ人が多いです。
税理士実務の経験者は一般企業においてもニーズが高いですから、年収アップと共に業務の幅を広げることにもつながる可能性があります。
一つの会計事務所で数年以上仕事をしている税理士の中には、仕事のマンネリに悩む人が多いように思います。
担当顧問先の仕事内容については2〜3回は決算業務を担当すればたいていのことは経験済みとなりますし、小規模な事務所では自分の担当顧問先が大幅に変わることは少ないでしょう。
また、同じ規模の会計事務所であれば、転職を経験したとしてもどこもそれほど業務内容に違いはありません。
そんな方は思い切って事業会社への転職やベンチャー企業のCFOへの転職をすることによって、刺激的な経験が積めたりするかもしれません。
会計業務以外の業務を経験したり、ベンチャー企業であれば経営に直接携わる機会もあるでしょう。
今回は、税理士や税理士試験科目合格者が転職について持つことの多い悩みの内容についてご紹介いたしました。
外部から見ると「安定して働ける専門家」というイメージがある税理士ですが、悩みを抱えながら働いているという人は少なくないのが実情です。
その一方で、税理士業界は転職を実現させやすい業界なのも確かです。今の仕事で悩みを抱えている人は、転職を解決のための選択肢として検討してみると良いかもしれません。転職エージェントに登録して自分に合った求人を紹介してもらえたら道が開けることもあると思います。