子育てや介護であまり時間が取れなかったり、扶養枠内で働きたいという人でパートという働き方を選択する方も多いでしょう。パート先はこれまでの勤務経験と似たようなところを選びがちですが、実はねらい目なのが会計事務所です。今回は、会計事務所が主婦のパート先におすすめの理由について解説します。
税理士事務所が全国にどれだけあるかご存じですか?答えは、約3万。コンビニが約6万なので、その半分ほど。とても数が多いのです。
会計事務所のクライアントは主に中小企業。そのため、オフィス街ではなく、住宅街などの事務所を構えているケースも多いため、もし自宅近くであれば通勤がとても便利になります。
また、数が多い分、人材の獲得には苦労しており、売り手市場になりやすいという特徴があり、良い人に来てもらうために柔軟な働き方を用意している事務所もあります。
つまり、会計事務所は働く先としての選択肢も多いし、働き方も選べる可能性が高いのです。
会計事務所と聞くと難しい業務や計算を行っていそうなイメージがありますが、実際の税務は税理士の方がおこないます。税務業務は独占業務なので、資格がない方にさせられないと法律で定められているのです。
そのため、パートの方に依頼することになるのは、主にサポート業務です。サポート業務は、税務担当者を補佐する役割であることが多く、外出してクライアントと直接会うことはほぼなく、ずっと内勤で会計処理などを行う場合が多いです。
例えば、請求書・伝票処理の日次業務や、試算表作成などを行います。もし前職が事務職でPCの扱いに慣れていれば問題のない作業が多いです。
場合によっては、電話や来客対応もありますが、会計事務所はコールセンターではないので、そこまで追われることはないでしょう。
また、入力作業に特化した場合は、自宅でのPC作業という働き方をさせてくれる会計事務所もあります。クラウド環境で働く人を募ることができれば、全国から求人が望めるからです。在宅勤務希望の方は探してみる価値があるかもしれません。
また、事務所によっては、税理士のサポート業務には関係ない事務所自体の事務や経理をやってほしいという場合もあります。
つまり、ひとくちに「会計事務所」といっても何の仕事をするかは事務所によって違うため、募集要項などをよく確認しましょう。
パートに出る場合、気になるのは時給ですね。
会計事務所のパート職員の時給は、1,000〜1,500円程度といわれています。事務職のパートと大体同じ位か、やや高い傾向にあるようです。地域や任される仕事によっては金額は上下します。
もし扶養範囲で働きたい場合は、時短や出社日数を調整する必要があるので、事前に相談しましょう。
会計事務所は繁忙期と閑散期の波があり、確定申告のある1~3月と、担当企業の決算対応が重なる時期(だいたい4~6月)は忙しい時期です。
しかしこの時期については、あらかじめ忙しいとわかっているため、事前に仕事の調整をしたり、スポットでアルバイトを雇ったりして対応しますので、パート社員が残業が続く……ということはまずありません。
自分の同僚となる他のパートの人たちがどんなタイプの人なのか気になりますよね。会計事務所ではだいたい以下のような方たちが働いています。
経理の仕事をしていた主婦の人が、結婚や出産で退職して会計事務所でパートというのはよくあるパターンです。
逆にそうした人が働いているということは、育児などとの両立がしやすいということでもあります。事務所によってこのあたりの事情は異なりますので、よく確認しましょう。
税理士試験は年に1回のみの試験で、最終的に5科目合格する必要があります。難易度が高いため、平均受験年数が10年とも言われる試験です。また、将来的に税理士の資格を取って独立するためには、2年間の実務経験が必要になります。
そのため、会計事務所には実務経験を積みつつ受験勉強に励むという受験者が多く働いています。なぜパートかというと、試験勉強の時間を確保しやすいからという理由がメインです。日常的な勉強時間も層ですが、会計事務所では税理士試験がある夏が閑散期であることが多く、一般企業で働くよりもよりも試験前後の長期休暇が取りやすいというメリットもあります。
会計事務所のパートはなにもそこまで特殊なわけではなく、募集要項にもよりますが、パートである場合、簿記資格や税理士試験の科目合格については必ずしも必要とされません。未経験でもOKというところも多くありますが、やはり知識がある方が仕事はスムーズです。
簿記の考え方は、家計簿をつけることにも役立ちますし、節税方法は自分たちにも応用できることもあるかもしれません。パート先を考えている場合、ぜひ会計事務所も候補に入れてみてくださいね。