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経理は女性が輝ける職業!経理のキャリアプランについて解説します

HUPRO 編集部
経理は女性が輝ける職業!経理のキャリアプランについて解説します

ライフイベントによって働き方を考えなくてはならない女性にとって、一生モノの職は非常に重要。仕事のスキルを身につけるだけでなく、プライベートの充実も大事にしたい方におすすめしたいのが経理職。今回は、経理のキャリアプランとともに、経理が女性向きである理由についても解説します。

経理のキャリアプランの方向性

経理のキャリアプランは、大きく分けると、会社員としてジェネラリストを目指すか、経理のスペシャリストを目指すかの2つがあります。

それでは、まず経理職という職種がどれだけの可能性を秘めている業務なのかと言うことを、経理職からのキャリアプランを元に解説していきましょう。

経理のスペシャリストを目指すキャリアプラン

経理のキャリアプランで一番のおすすめは、経理の道一筋でがんばる王道プランです。
同じ会社で昇給・昇格することで、管理職を狙うことも十分可能なプランになります。また、他のキャリアプランを目指すにしても、幅広い経理知識を身につけることは基本です。簿記検定などスキルアップのための資格も取得しておくことで、その後のキャリアの幅も広がるでしょう。

中小企業で経験を積み大企業の経理へ転職

経理は会社の規模によって携われる業務がある程度決まってきます。
中小企業より大企業が良いとは一概には言い切れませんが、経理としての業務の幅を広げるために中小企業で実務経験を身につけ大企業に転職するということもできます。

英語力を身につけ外資系企業・グローバル企業へ転職

経理の知識に加え、英語力を高め、BATIC、IFRS検定などで国際会計基準に関する資格を取得することで、外資系企業や、IFRS(International Financial Reporting Standards:国際財務報告基準)を採用している企業への転身も夢ではありません。

「英文経理」については、まだまだ人材は少なく、さらに外資系企業の場合は、ジェンダーギャップの解消や、ダイバーシティの推進から女性が採用されやすいという傾向もあります。

税理士・公認会計士資格を取得して独立

税理士・公認会計士は、いずれも難易度の高い国家資格ですが、経理からの転身は意外にも多いです。企業在籍中に資格勉強を行い、取得することで独立への夢も広がります。

最近では、副業OKの会社であれば、会社員としての身分を確保しつつ副業として士業を営むというケースも。勉強は非常に大変ですが、次のCFOなどを目指すにあたってもチャレンジしがいのある資格といえるでしょう。

事務担当のまま淡々と過ごす

そんな華々しいキャリアはいらない、自分はそこそこに仕事をしてそこそこお給料があれば良い、なにより大事なのはワークライフバランスという方も、経理はおすすめです

女性経理の全員が出世を目指さなければいけないわけではありません。作業に集中し、昇進は目指さずにプライベートを充実させたい方も業務があるのが経理の良いところです。

しかしAI化が進み、単純作業はどんどん派遣社員・契約社員・アルバイト・もしくはAIに代替されていきます。経理に限ったことではありませんが、新しい知識を仕入れ、システム化される業務について行くくらいの勉強は必要となるでしょう。

経理から他部門を経験してジェネラリストを目指すキャリアプラン

経営に携わる仕事、役員や経営企画職を目指すキャリアプランです。
経理は、経営判断に直結する数字に携わる仕事です。自社や取引先の経営状態を数字から読み解き、戦略立案など経営層を直接サポートする高度なスキルが必要になります。
経理として順調にキャリアアップができると、将来的にはCFOと呼ばれる最高財務責任者まで目指す人もいます。

経営企画

年次決算までこなし、経営にまつわる数字が扱えるようになることで、会社の経営企画部門への転身する道も開けてきます。
会社経営のための事業計画を立案する部門のため、予算編成には会計・経理の知識だけでなくマーケティング分析などの能力や、会社によっては英語力が求められる場合も

IR担当

投資家向けの情報を作成するIR(Investor Relations:インベスター・リレーションズ)株主や投資家向けに経営状態や財務状況などを広報したり、株主運営に携わる職種です。

会社によっては、総務部だったり、広報部だったり、経理部だったりと部門が異なることも多いです。
会社のステークホルダーの方たちと関わる職種なだけに、会計知識に加えて、高いコミュニケーション能力が求められます。また、会社によっては英語力も必要です。

財務担当・CFO(最高財務責任者)

経理担当の「あがり」ともいえるポジションでしょう。
経理担当から経理部門の管理職へ、そして財務担当役員からCFO(最高財務責任者)というのが王道のキャリアアップです。

ただし、大企業の場合に一般社員からそこまで上がるのは容易ではありません。大企業の場合は、他にも競争相手がたくさんいるので、上を目指すには実力だけでなく人脈や運なども大いに必要になるからです。

裏技としては、税理士/公認会計士の資格を取り、ベンチャー企業のCFOに転身、IPOなどを手がけることで自分のキャリアとするプランもあります。
一度CFOを経験すれば、次の転職でもCFOであることが多く、少しずつ企業をランクアップしていくことで、役員報酬もぐんとアップできるでしょう。

会社の規模に応じた経理のキャリアプラン

中小企業

中小企業は大企業とは異なり、他の業務を兼任していることが多く、経理の他にも総務や人事等の仕事に携わることも多いです。
専門分野に特化するよりも、様々なスキルを身につけ多分野で活躍したい方にとっては、中小企業での出世を目指すキャリアがおすすめです。

ベンチャー企業

ベンチャー企業では会社の急速な成長とともに短い期間でスキルアップを図ることができる上、上場準備の経験など成熟した企業では経験しづらい業務に携わることができる可能性が高いです。
ベンチャー企業で実務経験を積み自身の市場価値を上げた上で、その経験が活かせる企業へ転職するということも考えられるでしょう。

大手上場企業

大手上場企業の場合、社内での昇進を目指すことが一般的となります。
経理スタッフから主任、課長、部長へと段階を踏んでいき、最終的にCFOを目指す道があります。
もちろん、入社すれば自動的に出世できるわけではないので努力と実行力が必要となります。

外資系企業

外資系企業は実力ベースの評価となり、年齢関係なく高い役職を目指すことができます。
ただし実力がなければ淘汰されるリスクと隣り合わせでもあります。
外資系企業には、経営幹部の配下にFP&A(財務計画・分析)とよばれる部門があり、重要なポジションと位置付けられています。
FP&A部門を経験すると、CFOへのキャリアパスにも繋がります。

キャリアプランの幅を広げる経理の資格

簿記検定(日商簿記、全商簿記)

経理に必要な商業簿記の知識を測る資格試験です。経理の募集上でよく求められるスキル水準としては簿記2級以上となります。2級では原価計算という製造業等で必要な簿記の知識が出題範囲に含まれています。そのため、決算処理等でより実務に近い内容を網羅しているという理由から、最低限のスキルとして2級レベルを求める企業は多いです。

※日商簿記検定と似た資格に「全国商業高校協会主催の簿記実務検定視点(全商簿記)」があります。この場合、全商簿記1級が日商簿記2級と同程度のレベルにあり、企業側からは評価されます。

税理士

税理士の仕事は税金に関する業務です。国家資格ですのでハードルはありますが、税務のスペシャリストとしての仕事もプラスαで行うことができます。企業内経理では、税務書類の作成(税務官公署に対して各種申告書、申請書、請求書、そして不服王仕立てなどの提出書類等を作成すること)等を行うことがあります。特に企業規模が大きくなればなるほど税務業務は複雑化します。社内に税理士がいれば、経理業務に限らず税務に関する業務全般をお任せすることができるため、事業会社で税理士というポジションもひとつの資格優位があります。

公認会計士

公認会計士試験も税理士同様、国家資格です。税理士以上に難関な資格です。ただし、税理士と比較して会計業務(上場等における複雑な会計や監査業務)を独占的に行うことができるため、規模の大きい企業や今後上場を目指す企業にとっては、公認会計士が経理業にも携わってくれるのは、とてもニーズがあります。

経理・財務スキル検定(FASS)

経済産業省の経理・財務部門の人材育成事業によってはじまった検定試験です。事件内容としては「債権・債務の管理、連結決算(本社・子会社等を合わせた決算)」「税務申告業務」など、より実践的な知識を問う内容になります。資金管理等財務分野も試験範囲に含まれているため、実務経験がない方でも、実務経験に匹敵する知識レベルはあると証明することができます。

米国公認会計士(USCPA)

公認会計士として必要な会計能力、財務、税務の能力があるという事を証明するための資格です。主催は米国公認会計士協会ですが、アメリカの資格でありながら日本でも受験ができるようになったことから、日本での人気が高い資格です。

国際会計検定(BATIC)

英語での会計能力を測る試験が国際会計検定(BATIC)です。
外資系企業に転職したいと考えている方は必ず持っておかなければならない資格と言っていいでしょう。
こちらは合否判定ではなく、TOEICのようにスコアで結果が出るため、継続してスキルアップ

経理はどうして女性向きと言われるの?

さて、ここで経理はどうして女性に向いていると言われるかを改めて振り返ってみましょう。

比較的女性が多い職場

経理部は比較的女性が多い職場で、4~5割程度女性というところがほとんどです。
ルーティンワークも多いので、派遣・契約社員が多くいる傾向があることから、社員数の比率としては少ないかもしれません。しかし、女性の数が多いと言うことは、女性にとって働きやすい環境が作りやすいということなのです。

「経理の人は怖い」「女性ばかりでギスギスしてそう」というのは偏見です。
人間関係の良くない職場は部門に限りません。また、経理部は中に入ってみると、担当業務が区分けされていることが多いため、他の人に煩わされることは意外と少ないのです。

みんなでワイワイという形ではないため、仕事は黙って静かにしたい人には居心地の良い職場でしょう。

比較的女性が多い職場

在宅勤務など柔軟な働き方に移行しやすい

新型コロナウイルス感染症の影響もあり、在宅勤務が認められることが多くなっていますが、在宅勤務に移行しやすい職種と難しい職種があるとしたら、経理部は移行しやすい方に該当します。

ほとんどの会社ではすでに経理業務はシステム化され、ネット環境があればシステムにアクセスできるからです。
ただし、会社によっては、紙の書類を経理処理に使っていたり、経理情報は重要機密のためセキュリティの関係で在宅勤務ができないということもあります。

しかし、バックオフィス業務が在宅勤務に移行するのは時間の問題ではないでしょうか。

有休・産休・育休が取りやすい

経理部は繁忙期が決まっていますので、年間スケジュールの立てやすい職種です。
また、自分に割り当てられた仕事を期日までに終わらせられるかどうかが重要なので、業務のコントロールがしやすいという特徴があります。

そのため、有休が取りやすいことはもちろん、子供の急な発熱などで仕事を中断してお迎えに行かないといけなくなっても、次の日にカバーも可能です。
繁忙期には配偶者や両親などに事前にヘルプやフォローをお願いしておくこともできます。

また、女性が多い職場は、産休・育休が取りやすいですし、周りに同じ状況の人がいたりするので、復帰後も何かと心強い環境です。

専門スキルが身につくので状況に応じてキャリアチェンジしやすい

経理部では、ぜひ専門スキルを身につけてランクアップできるように業務の幅を広げておきましょう。

税制改革やシステム化があっても、決算における根本的な方法は変わりません。
出産前までに専門知識を身につける機会に恵まれれば、出産後に時短勤務を経てからフルタイムに戻ったときも、いわゆるマミートラック(出世コースからはずれた働き方をさせられること)を最短期間に抑えることができます。

また、専門スキルを身につけておくことで、家族の事情などで退職せざるを得ないときなども転職や復帰もやりやすいです。
最近であれば、自宅でクラウド環境で経理をするという働き方もあります。
いずれにしても、専門性が高い経理業務のスキルを身につけておくことは、自分の働き方の可能性を広げることになるのです。

人生のターニングポイントにおいて選択を迫られることが多い女性には、「手に職」という意味でぜひ身につけておいてほしいスキルといえます。

キャリアプランは経理適正から考えよう

女性向けキャリアという意味で、とてもおすすめの経理職ですが、どんな職種にも向き不向きがあります。ここでは「経理職の適性があると思われる人」について解説しますので「私大丈夫かも」と思われたら、ぜひ経理職を目指してみてくださいね。

じっと座っていられる

経理職は基本的に外出しません。ずっと屋内でPC画面とにらめっこであることが多いです。社内ミーティングが時折あるくらいです。それ以外はあまり話す事もありません。

外出するのが好きだったり、出張がしたい、人と話したいというタイプの人には辛いと思われます。反対に、仕事は集中して静かな環境でしたいという人にはむいている業種です。

勉強が好き

経理は、業務の勉強もそうですが、資格があるとよりキャリアプランを形成しやすくなります。一番のおすすめは簿記検定ですが、2級の難しさはうなぎ登りで、かなりしっかり勉強しないと合格できません。

また、経理のプロを目指すならぜひ取得したい簿記1級も、合格率は10%未満という超難関資格。勉強が好きな人じゃないと難しいでしょう。

責任感が強い

経理はどの会社にもある非常に重要な仕事です。経理がいない会社は存続できません。そのぶん責任重大です。

決められた業務を期日までにミスなく正確にやり遂げる必要があります。責任感が強く、自分が引き受けたことはしっかりと最後までやり抜く人、経理がむいているのはそういう人であるといえるでしょう。

まとめ

経理のキャリアプランについて解説しました。地味な仕事と思われがちな経理ですが、実は非常に重要で、働きがいもキャリアの広げがいもある職種です。
専門スキルを身につけることで、ライフイベントに応じて働き方を変えたり、雇用だけじゃなく独立も目指すことができます。

様々なキャリアプランを実現させるためには、まずは目の前の業務にしっかりと取り組んで、経理職としてのステップアップを積むことが重要。業務が固定されてしまい、どうしても自分の希望職種に就けない場合は、転職なども視野に入れて考えてみましょう。

この記事を書いたライター

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