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思わず「あるある」と言いたくなる!税理士事務所・会計事務所の特徴とは?

岡山 由佳
思わず「あるある」と言いたくなる!税理士事務所・会計事務所の特徴とは?

どこの業界でも「あるある‼」という話は存在し、酒の肴にして盛り上がるようなことがあるでしょう。会計事務所にも同じように「あるある話」が多く存在します。今回はその「あるある話」の中から、会計事務所に勤めたことの無い方でも想像がしやすい話、どの会計事務所でもあり得る話をピックアップして紹介します。

Part1:仕事内容あるある

①顧客と仲良くなりすぎる

会計事務所の仕事は、経営の要となる会計について顧客の依頼に沿って処理を行ったり、その処理に基づいて適宜アドバイスを行うものです。経営の要である部分に深く触れることによって、適切なサービスの提供を行うことで顧客の信頼を得られるのがやりがいとなります。

顧客の信頼を得ることは会計事務所が業務を行うにあたり非常に重要なことですが、信頼を得るあまりに業務に必要である以上の関係になってしまうこともあります。例えば休日にゴルフや飲み会に誘われることがあります。
顧客に私的に誘われることは仕事における信頼の証であり嬉しく思うものですが、大事な顧客であることからそのお誘いを無下にすることもできず、プライベートの時間を割くことを負担に感じる職員は少なくありません。

仲良くなりやすい顧客の特徴① 年齢や生活スタイルが近い

顧客と接していくうちに、業務内容に直接関係の無い雑談をするようになります。雑談の中で年齢や家族構成、休日の過ごし方などを知るようになります。一般の友人と同様に、年齢や生活スタイルが近い人には親近感を持ちやすく、仲良くなる傾向にあります。

仲良くなりやすい顧客の特徴② 個人事業主

小規模の事業を営む個人事業主や不動産所得を得ている個人事業主は、大企業に勤務する人と比較をすると時間に余裕がある傾向にあります。特に従業員を雇っていない個人事業主は時間の使い方が自由です。
このことから会計事務所への業務的な応対のみならず私的な誘いを行う時間をとれるため、仲良くなる傾向にあります。

②顧客に振り回されて残業

会計事務所の仕事である月次監査では、顧客が求める期限までに申告や納税を行う必要がありますが、その納期は顧客によって様々です。会計事務所に月次監査を依頼し作成される試算表を、すぐ経営判断に用いたいと思う会社であれば、その作成期限は短く設定され、会計事務所の担当者は忙しくなります。

上記のように早急な対応を求める顧客やせっかちな性格の顧客がいる一方で、会計事務所が急かさないと公的機関に提出や納税が間に合わなくなってしまうような、のんびりとした性格の顧客もいますこのような顧客は期限が迫ってからでないと対応をしないため、こちらの場合も会計事務所の担当者が忙しくなります。

このように顧客の特徴によって会計事務所の担当者の忙しさは大きく変わります。顧客の都合に振り回されて、予期していない残業が発生をする職員は少なくありません。

せっかちな顧客の特徴① 大企業の経営者

大企業では取引規模が大きいことから、銀行から借入を行う、補助金を申請する、といった試算表を必要とする場面が多く、またそれらの場面に早急に応対しビジネスチャンスを逃さないよう目を光らせている経営者が多いです。
このことから結果として大企業の経営者は会計事務所にはせっかちな印象を与える業務依頼内容が多い傾向にあります。

せっかちな顧客の特徴② 男性

ジェンダーフリーが求められる世の中ですが、男性は家庭よりも仕事という考え方が根強くあります。仕事を第一と考える男性の顧客が多いため、会計事務所にも同様に残業をしてでも顧客の要望に応えるべきだという考えの人も少なくありません。
このことから男性の顧客は会計事務所に早急な依頼を行う傾向にあります。
 

のんびりとした顧客の特徴① 小規模の事業者

個人事業主や小規模な事業者には、従業員数が少なく日々の事業運営に手いっぱいで会計のことまで頭が回らない人が多くいます。やらなければならないと分かっていても人手が足りない状況です。
このような状況の小規模の事業者は、会計事務所にはのんびりとした印象を与える傾向にあります。

のんびりとした顧客の特徴② 会計知識の乏しい人

会計知識の乏しい人は申告や納税の期限を把握しておらず、会計事務所に指摘されるまでそれに気が付かないこともあります。
このような会計知識の乏しい人は、自ら会計事務所に対してアクションを起こすことができないため、会計事務所にはのんびりとした印象を与える傾向にあります。

③給料が安い

会計事務所の多くは職員が5人以下である零細会計事務所です。零細会計事務所では昇給基準が明確に定められていないことがあり、給料の上昇率が低く給料が安い傾向にあります。

また会計事務所の職員を、代替が利く人員であるもしくは資格をとって独立するのだろうといった見方をする所長は多く、給料を上げて長く勤めて貰おうとは考えていない場合もあります。更には会計事務所の仕事柄、お金の支出には厳しく、人件費に多くのお金を割きたがらない所長もいます
このようなことから、給料が安いと感じている職員は少なくありません。

④意外とITが活用されていない

お金を扱う仕事のため、業界全体で最先端のITツールを使用しているように思われるかもしれませんが、実際はそんな会計事務所はごく一部です。ツールの導入はおろか、まだまだ紙媒体での管理が主流の事務所も少なくありません

このような傾向が続いている理由として、会計事務所の代表を務める税理士の高齢化があるとされています。税理士という職業に定年があるわけでは無いため、60代以上の代表税理士が多く存在するのが実情であり、彼らがIT化などについていけず古い体質が残ってしまっていることがあるわけです。

⑤働き方改革はまだ発展途上

働く事務所にもよる部分ではありますが、まだまだ「働きやすい業界」とは言い切れないのが税理士業界の現状でしょう。繁忙期に残業が増えることはどうしても避けづらいですし、リモートワークやフレックスといった制度もまだまだ業界全体で整っているとはいえません

ただ、Big4をはじめとした大手税理士法人や、若い税理士が代表を務める税理士事務所などでは、このような環境は改善されつつあります

Part2:人間関係あるある

⑥所長に振り回されて疲弊

零細会計事務所では所長の人柄が大きく事務所運営に関わってきます人員が少ない分、大手の会計事務所と比較し運営方針が変わりやすいです。それが職員達の意見を受け入れて柔軟に対応するものであれば良いですが、ワンマン所長の思い付きで職員達の考えとは異なる新たな仕事が増えることに繋がると疲弊してしまいます。

会計事務所の所長には、先代の会計事務所を引き継いだ二世税理士、会計士であり他の職場での就業経験が無い人、税理士試験や会計士試験の受験に専念をしていた期間が長く社会人経験が乏しい人、他業種での就業経験が無い人などといった、所長になるまでの経験が浅い人が存在します。その結果、経営者としてのマネジメントに長けていない人が多くいるのです。

⑦先輩社員から仕事を教えて貰えない

いずれは資格をとって独立するのだろう、すぐ辞めてしまうのではないか、というのは所長のみならず先輩社員も考えていることがあります。このような場合、先輩社員は仕事を教える時間が勿体ない、手間であると考え、仕事を教えない傾向にあります。

また零細会計事務所では職員の教育体系が整っていないことが多く、先輩社員も教えたくてもその時間をとることが出来ない、教え方がよく分からない等の理由により、新入職員の中には仕事が教えてもらえないと感じている職員は少なくありません。

⑧ベテラン職員の取り扱いが難しい

資格をとって独立する人、資格や経験があれば転職が比較的容易であること、また終身雇用を前提とした教育体系や給与体系が整っていない零細会計事務所が多いことなどを理由に、会計事務所は人の入れ替わりが激しいといわれています。
若手職員が中堅職員になる頃には資格や経験を得て他の事務所に転職してしまうため、若手職員とベテラン職員の年齢差が激しく、間となる中堅社員が不在の会計事務所があります。

このような会計事務所のベテラン社員は、資格や経験を得た人が転職すべき職場だと判断しうる場所にて、長年勤めてきた人達です。多くの人がここにいるべきではないと考える場所にて長く勤めている人というのは、変化を望まない向上心の無い人である可能性が高いです。

そのようなベテラン社員がいる会計事務所に、仕事に対する熱意を持った新入職員が入社すると、新入社員の熱意とのギャップにお互いが疲弊してしまうこととなります。例えばITツール等の業務効率化をはかるにも、ITツールの導入そのものよりも、今までのやり方を変えたくないベテラン社員の説得に手を焼くことになります。
このようにベテラン社員の取り扱いに苦戦をしている職員は少なくありません

Part3:私生活あるある

⑨経済ニュースに敏感になる

会計事務所に勤務をすると、否応にも経済や金融に詳しくなります。増税や税制改正等の直接的に業務に必要となるニュースは知っておくべきであると共に、粉飾決算が行われていた、税金を滞納していた、等のニュースが耳に入ると、何故そんな犯罪が行われたのだろう、と会計事務所に勤務する以前よりも様々な考察をするようになる傾向があります。

⑩家計管理が上達する

会計事務所で確定申告に従事をすると、その個人事業主が行っている節税対策を目にする機会があります。また年末調整に従事をすると、各従業員の年収や支払保険料を目にする機会があります。このような節税対策や金銭事情を知ることは、自身の家計管理にも役立ちます
お金に関して様々な知識を習得することができる環境であることから、自身の家計管理が上達する傾向にあります。

良くない「あるある話」を避けて職場を選ぶには

上記でご紹介した「あるある話」のうち、良くないものは「あるある‼」といえども出来るだけ避けたいものです。当然これらの良くない「あるある話」に該当をしない会計事務所は存在します。
しかし良くない「あるある話」に該当をする会計事務所であるかは、採用条件を見ただけでは分かりませんし、面接時に直接その会計事務所の良くないところを聞き出すことは憚られるものです。
会計事務所に就職、転職活動をする際に採用条件からは分からない不安なことがある場合は、HUPROをはじめとする転職エージェントの担当者に相談することをお勧め致します

まとめ

「あるある話」の中から、会計勤めたことの無い方でも想像がしやすい話、どの会計事務所でもあり得る話をピックアップして解説していきました。 これから会計業界に就職、転職しようとされる方は是非ご参考に、既に会計業界にいらっしゃる方には共感して頂ければ幸いです。

この記事を書いたライター

大学在学中より会計業界に携わり10年超の会計事務所、税理士法人での実務経験を経て独立。各業種の会計業務に関するフォローのみならず、ライターとして税務、労務、経理の話題を中心に、書籍やWebサイトに数多くの寄稿を行う等の様々な活躍をしている。
カテゴリ:コラム・学び

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