会計事務所の仕事の一般的なイメージはお金に関する事務作業ですが、実際には事務作業のみならず、顧客訪問、アドバイス等といった業務もあり、人との関わりが多く、この人との関わりにやりがいを見出す人が多くいます。
今回は会計事務所の魅力と、その一番の魅力であるやりがいについて解説していきます。
職場の選び方は人それぞれであり、多くのお金を稼ぎたい、他人から尊敬される立場になりたい、等といった自己実現のための職場選びから、元来趣味であった豊富な知識を生かしたい、困っている人を助けたい、等といった社会貢献のための職場選びといったように、多種多様です。
あらかじめ職場を選ぶにあたり、自身が職場に求める最も重要なことを定めておく必要があります。同時に各業界の魅力を知っておかなくては、その職場が自身にとって最も重要なことの要件を満たす良い職場であるという判断をすることが出来ません。
極端な例にはなりますが、趣味が手芸である人が、その豊富な手芸の知識を生かして仕事をしたいと考えた際に、会計事務所をお勧めすることは出来ません。会計事務所に手芸メーカーや手芸用品販売店、手芸教室等の顧客がいない限り、その手芸の知識を披露する場は殆ど無いといって良いでしょう。
今回は会計事務所を職場として選択するにあたり、その魅力をご紹介致します。
会計事務所の仕事はその名の通り会計に特化し、会社の日常的な取引を会計処理する能力、日常的な会計処理から決算処理や税金計算をする能力、決算が行われた財務諸表を読み取る能力等、会計や税金にまつわる知識や能力を網羅的に習得することが出来ます。
この知識や能力は、仕事業務を行うために必要なものとしてだけなく、自身の日常生活にも役に立つ知識や能力です。
顧客の納税金額の算定や節税対策を講じるための知識や能力は、自身が納めるべき税金の節税対策に生かすことが出来ます。
顧客への資金繰りアドバイスを行うための知識や能力は、自身の家計状況の改善に役立てることが出来ます。また自身の節税対策や家計状況の改善のみならず、その知識を身近な人に提供することも出来ます。
更には、会計の知識があれば世の中の経済ニュースについてより内容を理解することが出来、社会の動向の把握がしやすくなり知見を深めることが出来ます。
このように会計事務所の仕事は自身の生活に密接する部分が多いことから、様々な場面で役立つ会計や税金の知識を得ることが出来ることが魅力のひとつです。
職業によっては身体能力が求められ、年を重ねるごとに仕事を継続することが難しくなるものがあります。スポーツ選手は代表的な高齢では難しい職業のひとつです。
一方で会計事務所は事務所やその立場によって顧客訪問や営業活動が必要になるものの、根本的な仕事は事務作業であり、身体能力よりも思考能力が必要となる職場です。よって年を重ねるごとに仕事を継続することが難しくなるものではありません。
また会計事務所の無資格の職員の場合は定年が定められ、65歳前後でその職場を退職しますが、税理士や公認会計士は多くの人が生涯現役で会計事務所の仕事を続けています。
このように何歳になっても仕事を続けられることが出来ることも魅力のひとつです。
何歳になっても続けられることが出来ると同時に、AIが発達して労働に対して人間が必要で無い世の中にならない限り、会計事務所の仕事は消滅しません。
会計はどの顧客にとっても経営の要といえる存在であり、その会計について専門家の知識は必要とされ続けます。国が国民からの税金の徴収を止めることも想定出来ません。
このように何歳になっても続けられると同時に、半永久的に会計事務所で得た知識を生かす場があることも魅力のひとつです。
会計事務所の顧客は、その会計事務所が一定の業界に顧客を絞っていない限り、業種は様々です。それぞれの業種で就業をしたことが無いにも関わらず、会計事務所として会計の部分に携わることで、その業種の内情が伺え、多くの知識を得ることが出来ます。
例えば巷で安くて美味しいと評判の飲食店を顧客に持つ場合、その顧客の会計データからどこから食材を何円で仕入を行っているのか、人件費や地代家賃は何円なのか等の様々な情報を得ることが出来ます。その情報から安くて美味しいその秘訣を伺い知ることが出来ます。
当然業務で得た情報であるため、その内情を口外してはいけませんが、様々な自身の経験したことの無い業種の内情を知ることは面白いものです。
上記の魅力もさることながら、会計事務所の仕事の最大の魅力は、他の職業では感じることの出来ないような、やりがいを得ることが出来ることにあるでしょう。
どのような点でやりがいを得ることが出来るのか、ご紹介致します。
会計事務所の仕事には、月次監査業務の報告や経営アドバイス等を行うために顧客と直接会話をするべき場面が多くあります。顧客の会計事務所との折衝窓口は経理担当者のみならず、社長であることも多くあります。
他社の社長と会話をする機会ということは他の職業では多くありません。自社の社長ですら、大企業では直接会話したことが無い従業員が多いでしょう。
社長は会社を先導したり、その責任を負ったりと、一般の従業員とは異なった社会経験を豊富に持っています。そのような立場の人と直接会話をすることは非常に勉強になると同時に、会計事務所としてサービスを提供し感謝をされる際には非常にやりがいを感じるものです。
また社会人経験を積み年を重ねれば仕事以外の場面で社長と出会う機会が多くなりますが、学校を卒業し社会人経験が浅い時期では、そのような仕事以外の新しい人間関係が構築されていない場合が多く、社会人経験の浅い時期に社長と出会うという場面はそうそうありません。
しかし会計事務所ではある程度の会計知識が身についていれば、社会人経験の浅い人であっても顧客の折衝に関わる仕事を一任され、社長と会話をする機会を得ることが出来ます。
経営に関しては知識も経験も豊富な、人生の大先輩である80歳代の社長が、会計に関しては20歳代の会計事務所の職員を信用し一任している、ということもあるのが会計事務所の仕事です。
会計事務所で働くためには税法等の会計に関する知識は必須です。税法は毎年改正が行われていることから、知識を全て網羅することは出来ず、常に情報や知識の習得は必要になります。
この終わりのない情報や知識の習得が負担と感じる人もいますが、新しく得た情報や知識によって提供することの出来るサービスが増えて、顧客から感謝をされる機会も増えていきます。
例えば昨今の新型コロナウイルス感染症に対する給付金や補助金について、このウイルスの蔓延による経済の落ち込みは誰しもが初めて経験することであり、給付金や補助金の相談を受ける会計事務所もその情報を収集しなければ応対が出来ないものでした。
しかしこの情報収集を怠らなかった会計事務所であれば、顧客が給付金や補助金を受けるための手助けをすること出来、顧客によってはこの給付金や補助金が無ければ事業継続は難しく、会計事務所の手助けがあったからこそ倒産を免れ、非常に感謝をされたことでしょう。
このように自身の知識、経験、スキル等を増やすことによって提供することが出来るサービスが増え、そのサービスを受ける顧客からは感謝されたり、信用をおかれたりと、やりがいを感じる機会は増加していきます。
会計事務所には他の業種には無い上記のような魅力、そしてやりがいがあります。会計事務所への就職、転職を考える方は、是非ご参考になさってください。