従来は会社内の一つの部門だった経理部の業務も企業外部に委託されるようになってきています。経理業務を代行する会社も増え、経理業務の外部化は身近なこととなってきました。そんな中、フリーランスで活躍する経理人材に対する需要も高まっています。今回はそんなフリーランスの経理人材について詳しく解説します。
フリーランス経理とは、特定の会社の経理部に属さずに、個人事業主として会社の経理業務を引き受ける人のことを言います。
特定の企業に属さない新しい働き方として注目されているフリーランスという働き方は、今や様々な業界に広がってきており、経理人材もその例外ではありません。
その結果、フリーランスとして活躍する経理人材も増えてきています。従来は会社内で行っていた経理業務を外部化したいという企業の需要も高まってきており、フリーランス経理という働き方はしやすくなっています。
月の労働時間が140時間以上のフリーランスの年収は、100~500万円が約50%、500~1,000万円が約40%です。ただし、職種や労働時間に大きく左右されます。フリーランス経理においてはフルタイムの求人が少なく、大半が在宅での短時間勤務です。賃金形態としては、月額固定報酬・時給制・案件ごとの3種類が多くなっています。
フリーランス経理の働き方は、企業に出向いて働く場合と、在宅で指示された業務を行うリモートワークの2種類です。
フリーランス経理求人の大半が、短時間のリモートワークで占められています。基本的に自分の都合の良い時間に働くことができますが、リモート会議への参加を指示されることもあります。
また、近年はバーチャルオフィスを利用して勤務できる企業も増えてきています。バーチャルオフィスであれば、リモートワークと同様に、どこにいても働くことができるでしょう。
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フリーランス経理の主な仕事は、税務業務や給与計算など、経理業務全般です。経理として働いた経験がなくてもできる仕事から、専門的な知識と実績が求められる仕事まで、幅広い求人があります。契約する企業によって求められる業務が異なるので、求人内容を確認しておきましょう。
フリーランスの経理として活躍するためには、ある程度の実績が必要です。経理の仕事は、企業で行われる様々な取引を記録することが主ではあるものの、この記録という仕事が必要とされるのは、企業外部のステークホルダーと良好な関係を築きたいという企業側の需要があるからです。企業外部のステークホルダーとの関係性が崩れれば、企業の信用は失われてしまい、資金調達も困難になります。
したがって、フリーランスの経理人材には、ある程度の実績が必要です。実績がなければ、フリーランスの経理人材に本当に経理業務を外注しても良いのか不安に感じる経営者は多くいます。そのため、今後、フリーランスの経理人材として活躍したいと考えている人は、まずは経理業務ができるという実績を作るとともに、公認会計士、税理士、日商簿記試験など、経理業務と直接関わりのある資格を取得するなどしておくことが大切です。
この意味では、過去に会社の経理部門で一定の経験を積んできてフリーランスの経理人材となった人ほど実績をを積んだと考えられるので、企業からの需要は大きいと考えることができるでしょう。
フリーランス経理として働くメリットは、以下の通りです。
・時間と場所の制約が少ない
・自宅で仕事ができる
・家事や育児と両立できる
・収入の上限がない
フリーランスの経理となれば、必ずしも会社に出社しなければならないということもなく、セキュリティの問題さえクリアされれば、カフェやコワーキングスペースなど、自分の好きな場所で経理の仕事をすることができるようになります。自宅で仕事を行うのであれば、通勤に時間を取られることもなく、出社時間や退勤時間を意識する必要がありません。
勤務時間の融通が利きやすいため、家事や育児の合間に仕事をすることもできます。複数の企業と契約できれば、収入を大きく増やすことも可能です。
フリーランス経理として働くデメリットは、以下の通りです。
・収入が安定しない
・自己管理が必要
・実力が認められにくい
・福利厚生がない
・失業保険がもらえない
フリーランスは、毎月安定した収入が得られるとは限らない働き方です。企業との契約が解除されれば、収入がなくなります。正社員で真面目に働いていれば解雇されることは少ないですが、フリーランスは突然契約を打ち切られることがあることを覚悟しておきましょう。
また、雇用されて働く場合には健康保険や厚生年金に加入できますが、フリーランスは自分で国民健康保険や国民年金に加入することになります。会社員と比べると、支払う保険料が高くなり、老後に受け取れる年金額は少ないです。さらに、仕事がなくなって収入がゼロになっても、失業保険をもらうこともできません。
フリーランスとして仕事をするためには、企業と直接契約するか、マッチングサービスを経由して企業から仕事をもらうかの2つの方法があります。初めてフリーランス経理として働く場合には、マッチングサービスの利用がおすすめです。
経理として働いていた会社員時代の人脈を活かせる場合や、企業の求人に応募する場合には、企業と契約を結び働くことになります。企業から雇用されて働くのではなく、企業から業務を委託されて働く仕組みです。業務委託の契約書を交わすのが一般的です。
マッチングサービスを利用する場合は、募集されている案件に応募し、企業から認められれば働くことができます。マッチングサービスを経由しているため、契約書を交わすことは少ないです。企業と直接契約するより、比較的手軽に始められます。
フリーランス経理向けのマッチングサービスとしては、以下のようなところがあります。
・Workship
・Waris
・メリービズ
・クラウドワークス
・ランサーズ
フリーランスで活躍する経理人材に対しては、一定の需要があります。今後もこの需要は高まっていくものと考えられます。
特に、新しく事業を始めるようなスタートアップ企業は、高度な専門知識を有した経理人材を確保することは非常に困難です。にもかかわらず、始まったばかりの会社であっても、経理の業務は行われなければなりません。
したがって、経理部を外注しようというインセンティブが高く、安心して自社の経理業務を任せることができる外部人材を常に探しています。フリーランスで活躍する経理としてはそのような会社を狙って売り出していくことが必要となりますが、スタートアップ企業の多くは知名度が低いということも多く、なかなか巡り合う縁がないのが実情です。近年では、高度な経理人材とスタートアップ企業を結びつけるようなサービスを展開する企業もあることから、従来よりもフリーランスの経理人材が仕事を見つけやすくなっています。
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フリーランスとして経理業務を行うことは可能です。しかし、フリーランス経理に需要はあるのでしょうか?あるとすれば、どのような会社からフリーランスの経理人材は求められているのでしょうか?
ここでは、フリーランス経理の需要について考えていきたいと思います。
従来、経理の仕事は会社内の一つの部門として独立していました。経理の仕事は、債権者や株主など、外部のステークホルダーに対して企業の財政状態や経営成績を説明するための資料を作成することであり、日々の取引の仕訳を行うことにありました。
経理部は企業の縁の下の力持ちであり、いわばバックヤードで、営業部などの企業に収益をもたらす部門を支えることに、その役割があったというわけです。そのため、経理部は単なるコストセンターであると考えられており、企業に直接的な収益をもたらすような部門ではないと考えられてきました。
しかし、近年では経理の役割にも変化が起きており、経理部は単なる過去の取引を会計情報に落とし込むという役割だけではなく、外部のステークホルダーとの積極的な対話を通じて、企業の信頼性を高めたり、イメージを良くしたりという役割も担うようになってきています。このように考えると、従来の経理部のようなコストセンターとしての役割だけではなく、むしろ、近年の経理部は、収益を生み出すプロフィットセンターとしての役割を担うようになってきたと言えます。
経理の仕事にPCを活用することができるようになり、会計情報の整理は昔と比較すると効率的に行うことができるようになりました。その結果として、従来の経理部門で行われていた業務よりも、近年の経理部で行われている業務の方が重要視されるようになってきています。
加えて、従来の経理部に期待されていた役割は、企業の内部で行う必要性が無くなってきました。つまり、従来経理部門で行われていた業務はアウトソースされるようになってきているというわけです。企業としては、単にコストがかかるだけの部門を社内においておくよりも、外部化してしまった方が、会社全体としての儲けにつながると考えるようになったわけです。
そのため、経理部の仕事はどんどん企業外部の者に委託されるようになってきています。実際、従来の経理部の主な仕事であった請求書を発行し、請求先の締め日や支払い期日、支払い方法を把握して入金を確認を行う売掛金管理業務、請求書の金額に間違いがないかをチェックし、問題がなければ支払日に支払う買掛金管理、従業員の給与を計算し、支払いを行う給与計算業務などは、特にコストがかかる業務ということもあって、積極的に外部化されるようになってきています。
経理部の機能が外部化されるにしたがって、委託先となる経理サービスを提供する会社が生まれるようになり、これまでに無かった様々なサービスが提供されるようになりました。特に、外部に依頼すると、経理に精通したプロに業務を依頼できるということもあって、業務のクオリティが高く、処理のスピードも非常に早くなります。
従来、会社内で経理業務ができる人材を育てなければならなかったものの、外部に委託すれば、人材の成長にかけるコストも削減することも可能です。社員の経費精算、伝票記入、帳簿入力など、毎日のルーチン作業に追われていた経理部の役割だけを外部化して、近年経理部に期待される役割のみに集中させることもできるようになります。
このように、経理部の仕事は徐々に外注化されるようになっていますが、それに伴って、フリーランスで活躍する経理人材に対しても需要が高まってきているのです。依頼する側としては、柔軟に手頃な金額で働いてもらえるというメリットがあり、フリーランス経理の側としては、複数社から仕事を受注することで、1社ごとは大した金額ではなくても、合計するとある程度まとまった収入を得ることができるので、新しい働き方の1つとして注目が集まっています。
特に、事業を開始したばかりのスタートアップ企業、十分な人材を確保することができないような小規模事業者の場合、わざわざ経理の専門人材を雇うということは難しいという事情もあり、フルタイムではなく必要な時間だけ働いてくれるフリーランス経理への需要が高まっています。