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会計事務所の退職理由は何が多い?激務が原因なのか?

HUPRO 編集部
会計事務所の退職理由は何が多い?激務だから辞めるの?

一般に公認会計士や税理士をはじめとして、会計事務所は激務であるというイメージがあるのも確かです。だから、会計事務所も激務が原因の退職者が多いのではと勘ぐる人も多くいます。本記事では会計事務所の退職理由について、その実態を解説します。

会計事務所を退職する理由

①給与が労働と見合わない!

会計事務所の退職理由で最も多い理由は給与が低いことです。近年、会計事務所の主な収入の源泉であった記帳代行業務は、コンピュータに取って代わられてしまっており、会計事務所で行わずとも、誰でも簡単にできるようになっています。特に、個人事業主は、有料の会計ソフトを使うだけで簡単に記帳業務をすることができるので、わざわざ会計事務所に記帳代行業務を依頼することはなくなっています。

それでは、誰が会計事務所を使うのかと言えば、売上高が月商で500万円を超えるような中小企業です。月商で500万円を超えるようになれば、経理部で行う仕事も膨大になり、従業員も多くなることから、自社の人員だけで経理業務を行うのに限界があるため、会計事務所に仕事を依頼するようになります。したがって、会計事務所には、中小企業からの記帳代行業務が多く依頼されることになります。

記帳代行業務が自動化されていること、そして、中小企業からの記帳代行業務が多くなっているため、会計事務所では、難易度が高い会計処理が必要な業務が依頼されるようになります。その結果、会計事務所で働く人には、難易度の高い数多くの業務を1人でこなさなければならないことになります。しかも、記帳代行業務自体は、自動化の波があって安く請け負わざるを得なくなっています。

その結果、安く大変な仕事を請け負わなければならなくなってしまうので、会計事務所で働く人々の給料も自然に低くなってしまいます。そうなると、仕事の量に対して給料が見合わないと感じる人が多くなり、多くの人が会計事務所を退職するようになります。だから、会計事務所を辞めるのは、激務だからというわけではなく、労働と労働の対価である給与が見合わないと感じるようになって辞めてしまうことがほとんどです。

②税理士試験との兼ね合い

会計事務所を辞める理由としては、税理士試験との兼ね合いも理由の一つとして挙げられます。会計事務所には、将来的に税理士になろうと思って入社してくる人が多くいます。税理士試験に合格するためには、5年10年という期間が必要となるため、その間に少しでも経験を積むことを目的として会計事務所に入社するわけです。

しかし、上でも説明したように、会計事務所の仕事は大変で、多くの人が、理想と現実のギャップに入社後戸惑いを感じるようになります。そんな状況のなかで、税理士試験の合格に向けて勉強しなければならないことになりますから、税理士試験を受験する予定の人にとっては大変です。

仕事が忙しくなると、多くの人が税理士試験との両立が難しくなってしまい、会計事務所を辞めてしまう傾向にあります。つまり、税理士試験との両立が難しくなることも、会計事務所を退社する理由の一つと考えられます。

③税理士事務所の所長との相性が合わない

税理士事務所は規模が小さいと所長の色が強く出るようになります。小規模な会計事務所ですと所長の経営方針や考え方がその事務所の雰囲気に大きな影響を及ぼしてしまいます。もし勤めている所長との相性が合わなかった場合、事務所での居心地は非常に悪いものになってしまうでしょう。そんな環境で長く働き続けるのはとても苦痛です。所長との相性が悪かった場合その事務所はやめるしかないでしょう。

会計事務所を辞めたあとのキャリア

会計事務所を辞めたあとのキャリア

会計事務所辞めたあと、多くの人々はどのようなキャリアを歩んでいるのでしょうか?会計事務所で一定の経験を経た人であれば、もちろん、会計や税務とは関係のない仕事につく人もいますが、せっかく学んだ知識を活かして、キャリアアップすることを目指すことが多いです。そこで以下では、会計事務所を辞めたあとのキャリアアップのためにどうしているのかを詳しく解説していきます。

税理士試験の勉強に集中!

会計事務所に就職する人のなかには、将来税理士を目指しているという人が数多くいます。そのため、税理士の試験に集中して取り組むために、会計事務所を退社するという人が多くいます。この場合、積極的な理由(キャリアアップを目的として)で会計事務所を退社することになります。

税理士試験は科目合格制を採用していますから、残り1科目や2科目程度を残しているという人は、1年間十分に時間をかければ、その年に税理士試験に合格できる可能性が高いです。したがって、この場合には、会計事務所を退社して税理士試験の勉強に集中してキャリアアップを目指すことになります。

コンサルティングファームへ

会計事務所で働いた知識を活かして、コンサルティングファームへ転職したりしてキャリアアップする人も多くいます。会計・税務という仕事に関わるということは、企業経営の根幹に関わることになります。会計数値は経営成績や財政状態を示す鏡です。そのため、会計・税務に関わった経験は企業経営にも活かすことができます。

会計事務所で関わることが多いのは中小企業です。そのため、会計事務所で働いていれば、自然に中小企業経営にも詳しくなっていきます。結果として、会計事務所で働いた経験と知識を活かせば、特に中小企業経営に詳しいコンサルタントとして活躍することができます。

金融機関へ

会計事務所からのキャリアアップや転職を考える場合、多くの人がその選択肢に入れるのが金融機関への転職です。金融機関では与信業務があります。与信業務とは、簡単に言えば、その会社にお金を貸すかどうかを判断する業務です。ここで、判断材料となるのは、与信先の財務諸表となります。貸借対照表や損益計算書、資金繰計算書などから、会社の財政状態や経営成績を読み取ります。

そのため、会計事務所で働いた経験があれば、当然財務諸表を読むことも苦にならず、財務諸表から会社の財政状態や経営成績をより詳しく読み取ることができるため、金融機関における与信業務も問題なくこなすことができます。

先に説明したように、会計事務所を退社する人の多くは、労働とその対価である給与が見合っていないことに不満を抱えて退職していきます。金融機関であれば、給与は一定の水準以上です。そのため、会計事務所を経て金融機関でキャリアアップをするという人も多くいます。

まとめ

会計事務所の退職理由として最も多いのは労働量に見合った給料がもらえていないです。その他にも税理士試験の勉強に集中するため・所長や他の従業員との相性が合わなかったため、といった理由も挙げられます。

また退職後のキャリアとしては、税理士試験の勉強に集中して税理士資格を取得するといった道や、金融機関やコンサルティングファーム、独立といった道も存在します。

この記事を書いたライター

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