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転職前に要確認!会計事務所の仕事内容とは?

岡山 由佳
転職前に要確認!会計事務所の仕事内容とは?

会計事務所に勤務したことの無い人にとって、会計事務所の仕事内容は想像がつきにくいものです。会計事務所は一般企業の経理職とは異なり、様々な会社を相手に幅広い会計知識やサービスの提供をしなくてはいけません。
今回は年間の業務スケジュールや日常業務等、会計事務所の仕事内容について解説していきます。

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会計事務所の1年間

会計事務所が行う仕事には、それぞれ項目毎に期限が設けられていて、その期限が該当する月の前後にしか発生しない仕事が沢山あります。一般的な会計事務所が行っている年間の代表的な業務スケジュールをご紹介致します。
 

1月

年末調整の計算①

年末調整とは各顧客の従業員の年間所得税の精算業務です。この精算業務の結果、顧客が納めるべき源泉所得税を決定し、納付を顧客が行うように指示をしなくてはなりません。源泉所得税の納付期限は1月10日又は1月20日です。

多くの場合12月から年末調整の計算には取り組みますが、その最終期限である1月20日まではこの業務に従事していることが多いです。

給与支払報告書の提出

給与支払報告書とは上記の年末調整の結果を公的機関に開示する書類のことであり、従業員が住まう市区町村に提出する業務です。この提出期限は1月末日です。

法定調書の提出

法定調書とは上記の年末調整の結果やその他の事項について税務署に開示する書類のことであり、顧客の事業所が所在する税務署に提出する業務です。この提出期限は1月末日です。
 

償却資産税の申告

償却資産税とは顧客が1月1日時点で保有する資産にかかる税金で、保有資産の確認をし、資産内容を顧客の事業所が所在する市区町村に提出する業務です。この提出期限は1月末日です。

2.3月

個人の確定申告

確定申告とは個人の1年間の収入や経費から所得を確定し、その算出された所得等から所得税や消費税を計算し、顧客に納付を行うよう指示する業務です。

所得税の確定申告期限は3月15日、個人消費税の確定申告期限は3月31日であり、多くの場合2月から確定申告に取り組みます。顧客に個人事業主が多い会計事務所は、この確定申告時期が最も忙しい繁忙期に該当をします。

4.5月

法人の決算①

法人の決算の期日は、原則として期末日の翌々月末であり、何月が申告期限という決まりはありません。しかし社会的な年度末と同様に、3月末を期末日としている法人が多く、期末日から申告期限までの4.5月は法人の決算作業が集中する傾向にあります。

顧客に法人が多い会計事務所は、この4.5月が最も忙しい繁忙期に該当をします。

6.7月

納期の特例の源泉所得税の計算

納期の特例とは、原則的な顧客の源泉所得税の納付が毎月行うべきものであることに対し、従業員数が10人未満である顧客のみに認められた、半年に1回の源泉所得税の納付期限のことをいいます。この半年に1回とは、上記でご紹介しました年末調整の計算後の1月20日と、7月10日です。

7月10日の納付期限までに、顧客の1~6月の給与を集計し、源泉所得税を算出して納付を行うよう指示する業務です。

8.9月

税理士試験や夏季休暇

例年税理士試験は8月上旬に行われます。会計事務所に勤務しながら税理士試験を目指す従業員は、その試験前に試験対策のための休暇を取ります。税理士試験を目指していない従業員は、一般的なお盆期間に夏季休暇を取ることが多いです。
このように8.9月は比較的休暇をとりやすい、季節業務の少ない時期です。

10.11月

法人の決算②

上記でご紹介しました法人の決算ですが、3月末の次に期末日として多いのが9月末です。よってその期末日から申告期限までの10.11月は法人の決算作業4.5月の次に集中する傾向にあります。

12月

年末調整の計算①

上記でご紹介しました年末調整の計算ですが、顧客が12月に支給する給与で各従業員の所得税の精算を希望する場合には、実質的な作業期限は12月中になります。

日常業務

上記では年間の業務スケジュールをご紹介致しましたが、当然ながらこれらと並行しながら日常的に行っている業務があります。

記帳代行

顧客が法人税や消費税、所得税の青色申告等を行うためには、申告すべき金額の計算根拠となる貸借対照表や損益計算書が必要です。貸借対照表や損益計算書の数字は、日頃の顧客の取引を仕訳を用いて会計帳簿を記録した結果であり、その会計帳簿の記録の代行を記帳代行といいます。

記帳代行業務とは顧客が管理する現金出納帳、預金通帳の写し、売上台帳、領収書類等の各種資料を預かり、その資料を基に会計ソフトに仕訳を入力する仕事で、簿記の知識が必要となる業務です。会計事務所が行う最も基本的な仕事であり、新入社員が初めに任されやすい仕事のひとつです。

監査業務

監査業務とは、会計帳簿が正しく作成されているか確認をする業務です。監査業務は月次監査と年次監査があります。

月次監査とは毎月顧客を訪問等をし、顧客自身で記帳を行っている場合はそのチェックを、記帳代行を依頼している場合は記帳代行を行いながらそのチェックを行います。そして不明点や問題点があれば逐一顧客に確認を取り、月々の貸借対照表や試算表が正しいものであると定期的に確認をとる業務です。

年次監査とは期末に顧客を訪問等をし、顧客自身で記帳を行っている場合はそのチェックを、記帳代行を依頼している場合は記帳代行を行いながらそのチェックを行います。そして不明点や問題点があれば逐一顧客に確認を取り、月々の貸借対照表や試算表が正しいものであると決算時にのみ確認をとる業務です。

監査業務は顧客の訪問や不明点の解消等で顧客対応が必要であることから、会計事務所の仕事に慣れてきた人、会計知識のみならず顧客応対スキルのある人が任される仕事です。

コンサルティング業務

コンサルティング業務とは、貸借対照表や損益計算書を基に経営アドバイスを行う、貸借対照表や損益計算書を作成するための日頃の顧客の取引の管理方法をアドバイスを行う等、顧客の問題点に応じる業務です。

顧客からの相談に応じることの他、会計事務所の担当者からも提案を行うことが必要であり、会計知識が豊富な人、折衝能力や洞察力に長けている人が任される仕事です。

その他の雑務

会計事務所といえど、上記でご紹介しました直接的な会計に関する仕事のみならず、一般の会社と同様に事務所を運営していくための仕事もあります。

規模の大きい会計事務所や税理士法人では会計事務所や税理士法人の勤務者の給与計算や福利厚生を管理する等、顧客の会計事務には直接的に関わらない総務部の配属となる人もいます。

規模の小さい会計事務所や税理士法人では総務部を設けることが出来ないため、会計事務を行いながら備品の管理や事務所の清掃等、他の雑務を行う必要があります。

その他の雑務

その他突発的に発生する業務

これらの他にも、会計事務所は顧客の要請に応じて様々な業務を行っています。

贈与税の申告

贈与税とは、個人から財産を受け取った際にかかる税金であり、贈与税は、1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産の合計額から基礎控除額の110万円を差し引いた残りの額に対して課税をされます。

毎年贈与を行っている人を除く多くの場合は、その贈与があった年のみ贈与税の申告の対象となるため、突発的に発生する業務のひとつです。贈与税の申告期限は財産を受け取った年の翌年3月15日であることから、確定申告業務と同時期に作業がされます。

相続税の申告

相続税とは、個人が死亡をし財産を受取った際にかかる税金であり、相続や遺贈によって取得した財産及び相続時精算課税の適用を受けて贈与により取得した財産の価額の合計額が基礎控除額を超える場合にその超える部分に対して、課税されます。

死亡時期をあらかじめ推定することが出来る場合を除き、人の死亡によって発生する税金であることから、突発的に発生する業務のひとつです。相続税の申告期限は被相続人の死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内です。

また相続税の申告そのもののみならず、納めるべき相続税を減額させるための相続税対策や、相続税が将来どの程度発生するかを算定する財産金額の試算等、附帯業務の発生もあります。

各種届出の提出代行

顧客が事業を始めるためには開業届出書、顧客の基準期間の売上高が1,000万円を超えたら消費税の課税事業者となった際には消費税課税事業者届出書、顧客が引越しを行った際には異動届出書等、顧客に変化があった際には各種の届出書を税務署、都道府県税事務所、市区町村事務所に提出をする必要があります。

届出書の提出期限はその届出書によって異なりますが、多くの届出書の提出期限がその提出すべき事項があった後速やかに提出しなくてはならないため、突発的に発生する業務のひとつです。

顧客との付き合い

顧客と良い関係を築いていくために最も必要なことはこれらの業務をしっかりと行い適切なサービスを提供することですが、時にはランチや飲み会を開催、又はお誘いを受けて親睦を深めることもあります。

顧客に飲食店が多い会計事務所では、顧客の飲食店を利用することが多いです。

会計事務所によっては行われている業務

会計事務所によっては、顧客が求める税務会計に直接的に関わる仕事以外にも様々な業務を行っています。

集客のための広報活動

会計事務所によっては顧客集客のためのイベントとして無料相談会や講演会を開催、またイメージアップとしての地域清掃業務等を行っています。

近年ではインターネットで会計事務所を検索して来訪する顧客が増えているため、会計事務所のホームページの作成、ブログ掲載、メールマガジン送付等の情報発信も広報活動のひとつとして行っています。

保険代理店業務

会計事務所によっては保険会社と契約を交わし、顧客の保険加入の窓口を担っています。

会計事務所の仕事はきつい?

会計事務所の仕事について検索を行った際によく目にする「会計事務所の仕事はきつい」という言葉。上記でご紹介しました仕事内容を見て、専門的な知識が求められているようできつい、と感じる人もいることでしょう。

どの業界に属しても、きついと感じるか、面白いと感じるかは人それぞれです。会計事務所で働くにあたり、きついと感じやすいポイント、面白いと感じやすいポイントをご紹介致します。

求められる専門的な知識

はじめて会計事務所に勤務する人は簿記の知識を習得することに対して難しい、きついと感じることがあるかもしれません。全く簿記の知識が無い人は、会計事務所から日商簿記検定の受験を指示されることもあり、その勉強時間の確保を業務時間外に求められることもあります。

また既に税理士試験に合格している人であっても、税法には毎年のように改正があることから、勉強は常に必要です。このように知識の習得がどのような立場にいても常に必要不可欠であることをきついと感じるポイントとしている人は少なくありません。

一方で新しく得た知識によって顧客により良い提案をしてそれを受け入れてもらえた際、またそれにより顧問料収入を多く得ることが出来て給与が上がることになる際等には、やりがいを感じて面白いと感じるポイントにもなります。

求められる折衝能力

月次訪問等で顧客対応を任されるようになると、折衝能力が必要です。顧客には連絡を急かす人、逆に必要な連絡をなかなかしてこない人、気難しい人、横柄な人等、多種多様な人がいて全ての顧客と簡単に良い関係が築けるとは限りません。

このような顧客に対しての折衝方法が分からない、対応をするが振り回されて疲弊してしまうことがあることがきついと感じるポイントのひとつです。

一方で多種多様な人と、会計事務所と顧客の関係だからこそ出会うことが出来るというのは会計事務所の特色のひとつです。一般企業の社長、年の離れた顧客、全く性格の異なる顧客と、法人の顧客であれば経理部分という経営における心臓部を、個人の顧客であればその人の財産という個人情報の部分についてやり取りをする仕事はそう多くありません。

このように様々な人と繋がりを持てることは、面白いと感じるポイントにもなります。

繁忙期と閑散期が一定

会計事務所の繁忙期は上記でご紹介致しましたように一般的には確定申告時期と法人の決算が重なる時期です。法人の担当をもつ場合、大多数の会計事務所では理由がない限り数年間は同じ法人を担当します。よって数年間は繁忙期が代わりません。

このことから確定申告時期と担当する法人の決算期により、一定の期間は毎年忙しく、時には残業を強いられることから、業務が集中する時期を乗り越えることがきつい、働きにくいと感じるポイントになります。

一方で繁忙期が毎年同時期であるということは、閑散期がいつかを想定することが出来るため、休暇等の予定を立てやすく働きやすいと感じるポイントになります。
 

まとめ

会計事務所の仕事についてご紹介致しました。会計事務所への転職を考える際には、就業先とのミスマッチを防ぐためにも、どのような仕事が会計事務所にはあるかを把握し、どの部分を任されるのか面接等で確認することが必要です。
是非ご参考になさってください。

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この記事を書いたライター

大学在学中より会計業界に携わり10年超の会計事務所、税理士法人での実務経験を経て独立。各業種の会計業務に関するフォローのみならず、ライターとして税務、労務、経理の話題を中心に、書籍やWebサイトに数多くの寄稿を行う等の様々な活躍をしている。
カテゴリ:コラム・学び

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