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活躍領域は広がっている!?人事コンサルタントがあるべき姿

HUPRO 編集部
活躍領域は広がっている!?人事コンサルタントがあるべき姿

人事コンサルタントの多くが在籍するコンサルティング企業は年間を通して採用を行っています。人財活用による多様なイノベーション推進が求められる環境の下で、組織は業界を問わずその知見を必要としています。ここでは従来までの人事コンサルタントと今求められる人事コンサルタントの姿を比較してその将来性を解説します。

今更だけど、コンサルタントって何する人?

コンサルタントとは、顧客の抱える様々な問題を中立的な立場で見出し、情報収集/分析して、その課題の解決策の提案や策の実行等を行う職種です。とある企業がコスト削減に課題感を抱えているとしたら、どんなコストがあり、何が削減可能かを分析、それに対しての改善策を提案し、実行ベースに移す。ざっくりこういったことを生業としています。

顧客の従業員より顧客の組織を知り尽くすことが求められますので、コンサルとして関わった企業のマネジメント職として転職する(引き抜かれる)例はよく聞かれます。課題解決の提案とか言うといかにもコンサルっぽく感じ、イケてるビジネスマンに聞こえますが、そのプロセスは正に何でも屋です。泥臭いこともやれば単純作業もこなします。

コンサルと言っても色々ある

コンサルタントと一口に言ってもコンサルティング専門の企業から個人でやっているものまで様々なタイプが存在します。マッキンゼーやアクセンチュア等の「ファーム」と呼ばれる外資系大手コンサルティング企業を代表例としてイメージされることも多いと思います。とは言っても、具体的にどう違うのかはイメージできないのもこの業界です。ここでは幅広いコンサルタント領域を5つに分けて解説していきます。

①戦略系

もっともポピュラーで、一番イメージやすいのがこの戦略系です。組織全体の戦略やM&Aによる事業統合支援が主のミッションです。例えば日本市場だけでなく外国市場に展開をしたい日本酒メーカーに対して、その商品を展開すべきか、どの国で展開すると有効か、海外拠点を出すのか現地法人を立ち上げるのか現地企業を吸収するのか、等の具体策と道筋を構築して日本酒メーカーに提案していきます。マッキンゼー、ボストンコンサル、日系であれば経営共創基盤などがこれに当たります。

②総合系

その名の通り「あらゆる業界の組織を顧客として、その組織に関連するすべての課題を総合的に支援する」形式です。例えばとある金属素材メーカーがグローバル経営基盤を構築したいと考えていたとして、総合系コンサルファームはその構築が円滑に行えるようなシステム導入や運用のためにそのメーカーでの実施支援や運用後の課題対応等を総合的に支援します。

上記の戦略系が行う戦略立案や構築策定等の上級フェーズから、実施に関わる実務支援(サービス受託や業務自体の運用等)まで幅広く行うのが特徴です。デロイトトーマツ、アビームコンサルティングなどがこれに当たります。

③IT系

組織のITに関連する課題を解決することに特化したファームです。例えば保険会社が顧客の利便性を高めるため、契約時等の諸手続きをもっと簡単にしたいと考えている場合、査定の自動化や説明事項の読み上げ機能等、それに沿ったシステム導入提案を行い、業務の効率化を図ります。コンサルをしつつ、そのシステム自体を開発する企業も多く見受けられます。アクセンチュア、NTTデータなどがこれに当たります。

④日本系

別名「会計事務所系」や「国内系」と呼ばれるこの形式は日本企業の大半を占める中小企業を主対象に支援するコンサルです。扱う業界や業種を限定しませんが、例えば事業継承や会計、採用支援等、現場に深く入り込んだ内容が多く、専門特化に近しい形で支援を行います。船井総研やタナベ経営がその代表格ですが、税理士や弁護士等もここに含まれる場合が多いです。

⑤シンクタンク系

証券会社や銀行を母体として、公的機関からの依頼を受けて調査分析を行い、直接的/間接的に顧客の支援を行います。例えば地方自治体が学校教育に投資をしたいと考えた場合、シンクタンク系コンサルは情報収集と調査分析を実施し、投資費用とその効果やリターン等を試算し、自治体に提案します。野村総研やみずほ総研などが代表的です。

⑤シンクタンク系

では人事コンサルタントとは?

人事コンサルタント、及びコンサルティングとは様々な経営課題が存在する中で、人事領域に特化した課題解決を得意とするコンサルタントとその支援内容を指します。報酬/等級/評価制度等の構築、M&Aに伴った人事制度の統合、グローバルHR体制構築、育成教育制度の構築、採用代行等が代表例として挙げられます。

タワーズワトソン、コーンフェリー、国内であれば日本能率協会やリンクアンドモジベーション。人事領域の一部分の業務に特化するのであれば(例えば評価制度であれば)あしたのチームなどがイメージしやすいのではないでしょうか。

人事コンサルタントのニーズ

組織のすべてがAI等によって構成されてしまわない限り、人事領域の業務はなくなりません、というのは極論ですが、IT技術に頼る部分は確実に増えているのは人事領域も同様です。現状どの業種においてもIT化(RPA等)が盛んにおこなわれているのはいわゆるルーティンと言われる定型業務が対象で、人事領域の業務に関しては特にこのルーティンが多く、急速にIT化効率化が進んでいます。

それに伴い、人事にはルーティンとは別に、「経営のブレーン」としての役割が求められます。評価報酬、グローバル化、ダイバシティー化等、扱うテーマもより高度化してきており、そのような環境をコントロールする組織の人事に対して、支援を行うスペシャリストとしての人事コンサルタントは需要が増大します。

活躍の領域

以前の人事領域のコンサルティングと言えば、労務関連(就業規則改定、福利厚生等の仕組み構築等)の助言支援や人事制度設計支援など、主に社労士が担っていた業務でした。もちろんこの業務は今でも重要な業務ではありますが人事コンサルタントに求められることは極論ここではありません。「経営のブレーン」を支える立場として、内部からは見えない課題の発見と解決支援がその主たる領域となり、特にグローバル化の促進は人事コンサルタントの活躍の場を大きく広げるものです。

要求される水準

活躍の場が急速に広がっている背景には、ビジネス環境が急速に高度化/ボーダレス化したことにあり、それに比例して組織も高度化していきます。忘れてはいけないのが、人事コンサルタントはその高度化し続ける組織に対して助言や支援をする立場であり、人事コンサルタントへ要求される水準も当然のごとく高度化するということです。

自己研鑽

ニーズの増大と同時に、高度化についていけないコンサルタントの淘汰が進みます。将来性のある市場ではありますが、常に顧客の先を見据え、知識吸収や情報収集等の自己研鑽、(いい意味での)顧客を上から見下ろせる広い視野と視点が必要です。それができているのであれば、人事コンサルタントは大変魅力的な仕事と言えるでしょう。

まとめ(デザイン力)

様々なビジネス領域と同様、人事の領域も大きな変革期を迎えています。DX、ピープルアナリティクス、ノーレイティング等々、新たな潮流が出てくる中で人事領域のコンサルタントに求められることは、ドラマチックに壊して変革していくことではなく、現在ある組織の良さを活かしつつ、新たな考えやテクノロジーをいかに組み込んでいくか、デザインしていくことだと考えます。

コンサルを入れて新しいことをやってみたけど全くうまくいかなかったとなってしまうのは、もちろん依頼する側の進みたい方向が定まっていないことも要因ですが、人事コンサルタント側が汲み取れていない、指摘できていないことも十分考えられます。

この記事を書いたライター

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