日商簿記検定3級は、経理の仕事に就くことを目指している人にとって、最初のハードルとなる検定試験と言えます。結論から言うと、最低限この資格を持っていければ、未経験から経理実務の求人に応募することが可能となるでしょう。この記事では、簿記3級の試験の難易度や、取得する具体的なメリットについて解説します。これから経理実務の仕事を目指す方はぜひ参考にしてみてください。
実務未経験者向けの経理求人では、簿記3級を取得していることが必須の応募条件となっていることが多いです。
その理由としては、経理実務の仕事内容が、簿記検定の勉強内容と非常にリンクしていることが挙げられます。
経理の仕事では、会計仕訳を作成したり、試算表を作成したりといった「簿記で習う学習内容」を、日常的な業務としてこなしていく必要があります。
逆に言えば、簿記3級の内容を理解していれば、経理の日常業務にもスムーズに慣れていくことができるということでもあります。
求人を出す企業側も、経理実務のこうした特性についてはよく理解していますから、簿記3級の取得を応募条件としていることが多いのです。
会計分野でキャリアを積んでいきたいと考えている方にとって、簿記3級の合格は最初のステップになるといえます。
これから未経験で経理の仕事を目指す方は、できる限り早いタイミングで簿記3級の合格を目指して勉強を始めましょう。
簿記3級の勉強をしていると、電卓を叩きながら帳簿に仕訳を一つずつ記入して…という仕事のやり方をイメージする方が多いかもしれません。
しかし、現状の経理実務はほぼ全ての企業でIT化が完了しているのが実情であることを理解しておきましょう。
経理の日常業務は会計ソフトへの入力作業という形で行われるのが普通ですし、試算表や決算書といった重要な会計資料は、会計ソフトに入力した内容から自動的に作成されます。
会計仕訳の入力作業なども、銀行やクレジットカード、ICカードなどの利用履歴データから自動的に会計ソフトに同期作業を行えるようになっています。
今後AIの導入が進んでいくにつれて、こうした傾向は、より強まっていくのは間違い無いでしょう。
このように書くと、人間が簿記の勉強をする意味なんてあまりないのでは?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、決してそうではありません。
簿記3級で学ぶ内容は、「企業の活動を数値で記録し、活用する」という会計業務の基本的な考え方を理解することにつながるからです。
簿記の基本的なルールを知っていないと、企業が本当に利益をあげているのかという判断ができません。
これは、会計実務に携わる人にとって致命的なことといえるでしょう。
今後ますます具体的な経理作業はAIやシステムが処理するようになっていくと思われますが、そうした作業の結果として作成される会計データを、どのように経営に生かすか?については、人間の判断が必須となります。
簿記の勉強によって会計的なセンスを身につけることは、今後もビジネスパーソンにとって必須の登竜門であり続けることは間違いありません。
ごくおおまかにいえば、簿記3級はそれほど難易度の高い試験ではありません。
直近の試験の合格率も40%〜50%程度と、比較的高い水準で推移しています。
・2019年6月試験:合格率56.1%
・2019年2月試験:合格率55.1%
・2018年11月試験:合格率43.8%
仕事をしながら勉強をする必要がある人でも、半年程度の勉強期間を確保することができれば、十分合格レベルに達することができるでしょう。
(目安ですが、毎日2時間程度の勉強時間は確保しましょう)
ただし、簿記3級にスムーズに合格するためには、勉強の仕方にコツがあります。
それは、インプット(テキストを読む作業)よりもアウトプット(問題を解く作業)のトレーニングに重点をおいて勉強を進めることです。
簿記3級では、会計仕訳の記入問題も出題されますが、試算表の作成や決算書類の作成問題に配点が大きいという特徴があるからです。
テキストで大まかに必須知識を理解したら、問題集や過去問を何度も繰り返し解くような勉強スタイルが望ましいと言えます。
短期間での合格を目指す方は資格スクールなどを利用して勉強を進めるのがおすすめですが、こうしたコツを押さえて学習していけば、独学でも市販のテキストや問題集を使って十分に合格レベルに達することができるでしょう。
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今回は、簿記3級と経理実務の実情について解説しました。
本文でもみたように、未経験で経理求人に応募する場合には少なくとも簿記3級の取得が必須条件となるケースが多いでしょう。
これから会計分野でキャリアアップしていくことを目指す方は、さっそく簿記3級の勉強を始めてみてください。