「部下や同僚等の育児や介護・ワークライフバランス等に配慮・理解のある上司」を表わす「イクボス」という言葉。その取り組みを宣言する「イクボス宣言」をご存じですか?今回はイクボス宣言とその実施企業や事例の確認方法についてご紹介します。
もともと「イクボス」は働き方改革の一環で生まれた言葉です。
日本では、男性が外で仕事、女性は家庭で家事・育児をするのが伝統だという価値観が根強く、いくら制度を作っても利用したら評価が下がってしまうような状況では、育休をはじめとした育児に必要な制度を利用できるはずがありません。
どんなに制度を整えても、実際には育児休業などを取得しづらいという職場の雰囲気が最後の一押しになってしまい、制度が形骸化した組織は多くありました。
そこで、育児休業の対象者に対して事業主が個別に取得を勧奨する仕組みを整えるとともに、部下や同僚の育児・介護等に配慮・理解のある上司つまり「イクボス」を増やそうとしたのです。
このイクボスを増やすための試みの一つが「イクボス宣言」です。
具体的には、組織のトップやトップを含めた幹部が自らが「イクボスを目指していくこと」を宣言します。
いくら「イクボス」を唱えても、実際の運用が伴わなければ意味がないため、「イクボス」となるべき立場の人がイクボス宣言を行うことで育児支援の体制を整え、活用を奨励することを対外的に表明することを目的としたものです。
イクボス宣言の内容は、以下のような6箇条。
いずれもイクボス本人が業務を効率的に行い、部下の育児を奨励する内容になっています。
1.私は、仕事を効率的に終わらせ早く帰る部下を評価します。
2.私は、土日、定時以降には、仕事の依頼をしません。(できるだけ)
3.私は無駄に残らず、率先して早く帰ります。
4.「え、男なのに育休?」などとは絶対に思いません。
5.私は、部下のどんな相談にも応じます。
6.(自由記入)
6つめに何を書くかは自由です。
1~5を強化するものや、確実な実行を約束するパターンもあり、
次の項の「イクボス宣言」で具体的な内容を確認できます。
(組織や企業によっては5つ目までで、自由記入がない場合もあります)
イクボス宣言を行っている具体的な企業や組織、その内容については、以下のWEBサイトなどで確認できます。
「日本総イクボス宣言プロジェクト!!」(ひろがれイクボスの輪)
具体的なイクボス取り組みも事例紹介しています。
NPO法人ファザーリング・ジャパンではイクボスの必要性を認識し、積極的に自社の管理職の意識改革を行って、新しい時代の理想の上司(イクボス)を育てていこうとする企業のネットワーク「イクボス企業同盟」を作り、加入企業のみが参加できる勉強会や情報交換などを行うなど、活発に取り組みを行っています。
厚生労働省が主管する「育MENプロジェクト」のサイト
では、イクボス宣言を投稿することができるサービスがあり、全国のイクボスから寄せられる宣言を随時更新しています。
※企業、NPO等団体名称での登録必須(店舗・サービス名称での登録は不可)
※商業用の広告・宣伝・勧誘等を目的とする登録は認められません
人事の方でイクボスへの取り組みを考えている方には、これらのページで自社の取り組みを検討されてはいかがでしょうか。
また、就職・転職活動をされる方は、今後のライフプランを考えたときに、育休をはじめとした育児の支援体制は気になるところかと思います。
福利厚生の制度は「ある」だけでは、実際に利用できるかどうかわかりません。かといって、面接などで育休などの利用状況まで質問することは難しいでしょう。
後悔しない就職・転職のために、「イクボス宣言」などの社員に対する福利厚生の利用推進を対外的にアピールしている企業を確認しておくことも、やっておきたいですね。